| ■長谷川敏彦さんの死刑執行に抗議文 |
| ■日本キリスト者代表の勧告訪問 |
| ■各教区宣教・社会問題担当者連絡協議会 |
| ■「全聖公会正義と平和ネットワーク」に出席して |
| ■路上生活者と共に生きる |
| ■日韓聖公会神学会について |
| 2001年12月27日名古屋聖ステパノ教会の信徒であるステパノ長谷川敏彦さんの死刑が執行されました。これに対し、日本聖公会は下記の抗議文を出しました。 | |
| 2001年12月27日 | |
| 内閣総理大臣 小泉純一郎 様 法務大臣 森山眞弓 様 |
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| 東京都新宿区矢来町65番地 日本聖公会 首座主教 ヨハネ 古本純一郎 |
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| 長谷川敏彦さんの死刑執行に強く抗議します | |
本日、長谷川敏彦さんが名古屋拘置所において死刑を執行され、どのような立場にある人間であれ決して決定する権限を持たない、人間の尊厳の最も基本にある尊い人命を、法務大臣の職権と名前が奪ったことに対し、日本聖公会は強く抗議いたします。 日本聖公会はキリスト教の教団でありますが、私たちキリスト者が共通に持っている最も基本的な信仰によれば、人間は神の創造された天地の管理人として創造されました。その信仰によれば、人間は被造物の管理人であるので、人間のいのちを左右できるのは創造者である神以外にはおりません。人間の尊厳にかかわる原則は本来この聖書の信仰に由来するはずであります。私どもの死刑執行に対する抗議の根拠はここにあります。国法上の合法性は尊重されるべきではありますが、国法は所詮相対的なものに過ぎず、人命は法律にも勝って尊重されるべきでありましょう。 長谷川さんは、犯罪者の多くの例に漏れず、逮捕、拘留、裁判、結審という一連の過程で、自分自身に覚醒して以来、自分の犯した罪の重みに耐えかねて救いを求め、私どもの教会の信徒となりました。獄中にあって自分を厳しく見つめ、またざんげの祈りを通して被害者に対する償いを果たしてまいりました。死刑執行は、このような人間の尊い償いの営みを否定するものであります。 また、国法によるとは言いながら、人間のいのちを人為的に奪う行為を執行する、執行官の内面の重荷を日本政府はどのように考え、どのように補償しようとするのでしょうか。そこにも、人間の尊厳に対する日本政府の配慮の欠如が現れているように思われます。 日本聖公会は、総会で、政府に対し死刑執行の停止を求める決議を行うとともに、死刑制度そのものに反対して参りました。今、兄弟を失うという悲しみの中で、死刑の執行に強く抗議いたします。また、再び死刑執行という人間の尊厳に対する蹂躙を行わないよう、死刑制度そのものの廃止を強く要請するものであります。 |
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日本キリスト者代表の韓国訪問―報告とその意義― 沖縄教区 主教 谷 昌二
ご存じのように、最近とみに日本の右傾化が進んでいます。歴史歪曲教科書問題、小泉首相靖国神社参拝、テロ報復のための自衛隊派遣など。この日本の事態を一番心配し、憂えているのは韓国国民であり、韓国のクリスチャンの方々で、多くの抗議声明が出されています。
この度、12月3日〜5日、日本キリスト者の代表が韓国を訪問し、韓国のキリスト者代表と話し合いをし、下記のような共同声明を出しました。今回訪問の特徴は、1. カトリック(正義と平和協議会)とプロテスタントの合同の代表団であったこと。
プロテスタントはN.C.Cの枠を越えて、日本福音同盟、日本キリスト教会の代表も参加されたこと。2. 韓国においても、同じように、カトリック、プロテスタントの広い範囲での合同の代表者が始めて一堂に集い、日本の代表者と共に祈り、協議できたこと。 3. これを機会に、両国の代表者が継続的な交流をし、主イエス・キリストの真光教会によるアジアの平和の実現のために力をあわせて努力を積み重ねることを確認した。 4. 韓国の国会を訪問。教科書問題で日本の国会前でハンストされた金永鎮氏はじめキリスト者国会議員に会い、今回の訪問の意図を伝え、又、韓国の事情を聞けたこと。 急な呼びかけで、事前の準備も十分なものではなかったように思いますが、下記の声明文を練り、韓国の代表者の同意の上、出すことができたことは大変意義のあることでした。 韓国訪問にあたっての 日本キリスト教界の共同声明 私たち、カトリックおよびプロテスタント諸教派と団体からなる日本キリスト教界の代表18名は、現在の日本が再び戦争への道を歩んでいることに深く憂慮し、2001年12月3日から5日までの3日間、韓国を訪問しました。韓国キリスト教界代表も誠実にこれを受けとめ、両国キリスト者は、共に協議し、この地域に平和の主である神の御心が行なわれるよう、共に働く決意をしました。
かつて軍国主義時代の日本は韓国を植民地支配し、この国の人々を極度に苦しめました。当時の日本のキリスト教界が、それをとどめることができず、中でも韓国キリスト者に神社参拝を強制したことは、神のみを神として崇め、隣人を愛しなさいという聖書の戒めに背いた重大な罪でありました。今回訪韓した日本のキリスト教界代表は、神と隣人の前に、この罪を深く悔い、赦しを求めるとともに、これらの犠牲や殉教を無駄にしないことを決意しています。
しかしながら、今年2001年になって、日の丸・君が代の強制、教科書問題、小泉首相の靖国神社参拝、そして自衛隊の海外派兵という事態が引き起こされてしまいました。過去の過ちを認めようとせず、侵略戦争を美化し、戦争準備へと進むこのような状況の中、日本のキリスト者はできる限りの反対運動を展開してきました。「新しい歴史教科書をつくる会」の教料書の採択阻止については一定の成果をみたものの、全体としてはこうした新たな右傾化の流れを食い止められなかったことに対して、私たち日本のキリスト者は大きな責任を感じるものです。このような危険な右傾化の流れは益々強まることでしよう。それゆえ私たちは、過去の歴史を直視しつつ平和と和解のために取り組みをつづけてまいります。
私たちキリスト者は、主イエス・キリストがご自分の十字架を通して、敵意という隔ての壁を壊し、平和を実現させ、神との和解をもたらしてくださったことを信じ、この福音を宣べ伝え、神の意思を世界に実現しようと努めています。日韓の教会とキリスト者が、共に手を携えて現在の諸問題に取り組むことができるよう、神の導きを請い願います。
平和の主、イエス・キリストの御降誕を待ち望みつつ
2001年12月4日
| 日本カトリック正義と平和協議会 | 会長 | 松浦 悟郎 |
| 日本福音同盟 | 常任理事 | 藤田 洋 |
| 総主事 | 稲垣 博史 | |
| 日本キリスト教協議会 | 議長 | 鈴木 伶子 |
| 副議長 | 吉高 叶 | |
| 総幹事 | 大津 健一 | |
| 日本基督教団 | 総幹事 | 竹前 昇 |
| 日本聖公会 | 沖縄教区主教 | 谷 昌二 |
| 日本バプテスト連盟 | 理事 | 小河 義伸 |
| 日本バプテスト同盟 | 理事長 | 天野 邦彦 |
| 在日大韓基督教会 | 議長 | 李 炳 球 |
| 総幹事 | 朴 寿 吉 | |
| 前総幹事 | 姜 栄 一 | |
| 日本キリスト教会 | 議長 | 久保 義宜 |
| 書記 | 久野 真一郎 | |
| 日本キリスト教婦人矯風会 | 会長 | 高橋 喜久江 |
| 日本YWCA | 副会長 | ランデス・ハル |
| 総幹事 | 松下 起子 |
| 各教区宣教・社会問題担当者連絡協議会 |
| 各教区宣教・社会問題担当者連絡協議会が、1月13日から15日まで、在日韓国YMCAを会場に開催されました。この協議会の目的は、第52(定期)総会において決議された「日本聖公会管区機構試行に関する件」によって、管区の機構が見直されることになり、総会後、「正義と平和に関わる六委員会」と管区主事会議とが合同で、管区機構のあり方について協議を進めてきましたが、一応の成案を得たので、これについて各教区の宣教・社会問題担当者の意見を伺うこと、またあわせて各教区が当面している宣教課題について、相互に意見を交換することでした。 参加者は、各教区の宣教・社会問題担当者と上記六委員会のメンバーですが、この協議会に出席の予定であり、また事前にレポートを送ってくださった大阪教区の小川博司司祭が前日に急逝され、大阪教区からの出席者はありませんでした。協議会の初めに、小川司祭のために祈りをささげ、続いて、輿石総主事から、聖公会は世界規模のネットワークを持っており、世界の動きのすべてが教会の宣教課題と結び付いていること、また宣教とは福音を生きること、体現することであり、これらの観点に立って、協議を進めていただきたいとの趣旨説明がありました。 二日目は、各教区からの発題を受けました。ほとんどの教区が、信徒の高齢化と減少化、またそれに伴う財政的困難などを訴え、日本聖公会が当面している厳しい状況を、互いに確認しあう場となりました。しかし一方、北海道教区や東京教区から、信徒のイニシアティブによって、教区・教会が活性化した事例が発表されました。聖職があらゆる局面で全面に立つというこれまでのあり方から、聖職の聖職たる役割、すなわち執り成しと祝福の働きに聖職者が徹し、信徒が宣教の前線に立つ時、教会が再生するという発題は、参加者に、今後の教会の宣教の在り方についての大きな指針となったと思います。 引き続き、宣教主事より、管区機構改革についての発題がありました。管区機構が改革されることが、これまで取り組んできた日本聖公会の宣教課題の後退ではなく発展となるために、主事と六委員長会が話し合いを重ね、その結果出された成案が示されました。その内容は、従来の六委員長会の働きを継承し、さらなる前進をするために、日本聖公会の中に、正義と平和委員会(部落差別問題委員会、天皇制・靖国問題委員会、日韓協働委員会、「正義と平和」委員会の役割を継承すると共に、これまで担いきれなかった課題を受け持つ委員会)、青年委員会(学生青年運動協力委員会の役割を継承する委員会)、海外協働ネットワーク事務局(海外諸教会の情報を流し、渉外主査会の働きを充実・強化する部門)、宣教研究所(訓練計画委員会の役割の継承と聖職・信徒研修と神学校間の交流ならびに宣教の神学の研究などを行う部門)の4部門を設けることです。 この内、正義と平和委員会と青年委員会は、すでに常議員会の承認を得ていますが、この協議会においても、参加者の賛同を得ることができました。海外協働ネットワーク事務局については、参加者からこのような役割を負う機関が是非とも必要であるとの声が殆どでした。ただ、管区事務所には渉外主査会があるので、これを機構改革してその要望に答えることが現実的ではないかとの見解が総主事から示されました。宣教研究所については、他教派の研究機関がおおむね名誉職的になることが多いので、研究所という名称ではなく、日本聖公会の宣教、ならびに上記の役割を機能的に担う委員会とするのがいいのではないかとの意見でした。 今回の協議会において、教区が担わなければならない課題、管区が担うべき課題について、率直に意見を交換できました。しかし教区や教会が自分たちの当面している課題を見つめているだけでは、その課題を克服できないのではないか、自分たちの教区の外、さらには海外の聖公会が当面している課題に目を向ける時、自分たちの宣教課題の突破口も見えてくるのではないか、との印象を持ちました。 日本聖公会は、全聖公会の中にある宣教協働体です。日本聖公会の各教区、教会は、その一つ一つを見れば、信徒の減少と高齢化、さらには財政面で多くの困難を抱えています。しかし全世界の聖公会とのつながりの中にあることを再確認し、その繋がりの中にある自分たちの位置を自覚することによって、教会、教区、管区の宣教課題が広がり、深まって来るのではないかということです。 主イエス・キリストは自分を救おうとはされませんでした。自分以外のすべての人を救うために十字架につけられました。わたしたちも自分の教会、教区、管区を守るために働くのではなく、自分たち以外の教会、教区、管区、さらには教会外の人々の存在に目を向けて活動するとき、主イエスの宣教の働きに参与できるのではないでしょうか。 |
| (宣教主事 司祭 木村直樹) |
「全聖公会正義と平和ネットワーク」に出席して
2001年11月23日−30日まで、ニュージーランドのオークランド郊外にある聖公会のリトリートセンタ−を会場に、世界各地の聖公会から約30名の代表が集められ、「正義と平和」の諸問題について情報の分かち合い、活発な審議が行われた。前回の1999年春に韓国で行われた会合以降の世界の状況についての報告、2000年9月にスコットランドで行われた第11回全聖公会協議会の報告、1998年ランベス会議決議についての再確認が行われ、加えて特に今回は9月11日におきたアメリカでの悲しい事件ついても各国の教会の立場から貴重な意見の交換が行われ、議場における口頭での報告以外にも各国教会から出された9月11日事件に対する文書の配布等もなされた。
地域としてブラジル、グレートレイクス(コンゴ、ブルンディ、ルワンダ等)、ジンバブエ、パレスティナ、スリランカの諸地域と聖公会の様子、アメリカ聖公会が取り組んでいるジュビリーミニストリーの報告がなされた。課題としてHIV/AIDS、環境問題、青年について報告された。これらの報告は地域の問題に課題が深く関わっており、それぞれの報告の後に活発な質疑応答が繰り返された。たとえば、HIV/AIDSの問題はアフリカのみならず、多くの地域に関係する事柄であり、女性、青年、貧困、経済、と多分野にわたって深刻に考えていかなければならない問題である。都市化と貧困の問題にしても同じことが言える。多額の費用をかけてこのような会議を行ない、報告をきいて審議・決議をし、その後に行動を起こすのを待つより、その費用を現場で役立てるべきだとの意見も出された。しかしながら、各地域での課題や意見を知る上で情報の交換は重要なことであり、現状を知ることなくしては適切な行動を起こすこともできない。多くの課題は共通の課題であってもその地域によってとらえ方も対応の仕方も異なることが多い。会議の報告書が出されるのを待つという受身的な態度ではなく、ここで得た情報に基づき、それぞれが各地域の教会に持ちかえり、自分たちが行動を起こす積極的な態度が重要であると感じた。日本聖公会が全教区に予算の0.7%を重債務国開発援助資金として献金するよう呼びかけていることも紹介され、各地域でこの献金を必要としているプログラム等があったら報告してほしいとの呼びかけも行った。
ニュージーランド聖公会の配慮により、ニュージーランドの先住民族であるマオリの人々の生活にふれるプログラムも用意された。彼らの99%はクリスチャンである。日本の焼き芋とおなじような調理法の料理、近くの海で採ったばかりという、うに、あわび、かに、ほたて、ムール貝などの新鮮な魚介類のもてなし、口のまわりに刺青をした女性にも会った。北海道の新鮮な魚介類やアイヌの人々に思いをはせた。土地を奪われ、言葉や文化を奪われるという歴史があったなかで、現在はマオリ語や文化を教える小学校もあり、マオリの人々だけでなく、ニュージーランド全体が英国からの文化のみならず、古来の文化の継承も大切にしていることが感じられた。マオリの人々の奪われた正義を復活させるために教会が多くの働きをしてきたことを聞き、興味深かった。
「正義と平和」というと、とかく戦争と平和、差別といった言葉を連想するが、「神が創造されたこの世において人々がともに語り合い、ともに生き、繁栄していくために何をしなければならないか?」という素朴な課題であると思う。その実現の為に教会としてするべきことは何なのか、日々の生活の中で祈り、考え、行動していきたいと思う。(渉外主事 丸山悦子)
| 路上生活者と共に生きる |
| 現在、名古屋市には約1,500〜2,000名の人が野宿生活を余儀なくされています(ボランティアグルーブ調べ)。中心地の大きな公園や高速道路の高架下などはブルーシートで作ったテント小屋が立ち並んでいますが、駅周辺のビルの軒下などにはダンボールだけ敷いて寝ている人や公園のべンチで寒さに震えながら寝ている人もいます。そのため、年間30名から50名の人が路上などで尊い命を失っています。しかし、過去二十数年の間、行政は根本的対策をとろうとせず、対処療法に終始していました。今年になって、国の指導などもあり、やっと重い腰を上げようとしています。 野宿生活者への支援活勤には炊き出し、夜回り、労働相談、医療・生活相談、識字学佼などいろいろなものがあり、市民のボランティアだけでなく野宿生活者も参加しています。 炊き出しは、市内のキリスト教各教派(聖公会、カトリック、日キ教団、ルーテル)と市民グループが協力して、毎週月、木曜日の19時から高速道路の高架下を会場に行っています。毎回約500人の方に食事を提供していますが、全国から寄せられた献金・カンパが基となります。炊き出し活勤は、食事の提供を目的とするのでなく、炊き出しをしなくてもよい社会の実現を目指して行っていますので、配食準備の間は「寄り合い」という情報交換の場があり、仲間作りの貴重な一時となります。また、ビデオによる映画上映コーナー、ゲームコーナーなど娯楽も常時あり、ボランティアによる医療相談も行われます。散髪コーナーは、髪の毛を切る機会がない人達に喜ばれています。 昨年東海地方を襲った集中豪雨の際には、日本聖公会中部教区事務所を拠点として、全国からいただいた衣類・食料などを被災した野宿生活者に提供しました。 名古屋聖マルコ教会では、デイサービスとして風呂・休憩・散髪・衣類提供などを週一度行っています。また、私の属している名古屋聖ステパノ教会では、バザーやイースター、クリスマスなどに野宿生活者の人と共に礼拝をささげ、祝会では楽しい一時を過ごしています。そのうちの何人かは堅信を受け、姉妹兄弟となり、私たちは彼女彼らとの出会いにより、本当に豊かなものを与えられています。 野宿をしなくてもよい社会を目指して、教会が何をしていけばよいのか明確でない所もありますが、一人の人間としてこれからも共に生きていきたいと願っています。 |
| マリア 高木栄子 (名古屋聖ステパノ教会) |
| (この稿はNSKKニュースレター2001年冬の号に掲載したものです) |
| 日韓聖公会神学会について |
| 東京教区 司祭 アンデレ香山洋人 |
| 日韓両聖公会の関係において、これまで歴史認識や人権問題が重視され、交流それ自体が重要な基礎的作業と位置付けられてきたことは当然だっただろう。それは、侵略、植民地化という歴史的関係、それに起因する在日韓国朝鮮人差別といった深刻な問題が、そのまま教会の宣教課題でもあるからだ。しかし、こうして継続され活性化してきた関係の中から今回新たに出発したのは、神学研究を通しての日韓両教会の共同の営みである。 1997年に韓国で第一回の「聖公会日韓神学会議」が開催されたとき、両教会に属する神学徒有志は、「ポストモダン」と呼ばれる時代の中で神学や教会がこれまでとは違う新しい枠組みを設定する必要があるという共通理解に至っていた。そして、「北東アジア」という地域性、その中で「アングリカン」として生きることの積極的意義の模索が、必要不可欠の作業であることが確認された。北東アジアという固有の文化的、社会的、宗教的文脈に立つ教会にとって、英米神学の輸入と翻訳だけではない、より主体的で自立的な神学的営みが必要であることは言うまでもない。「日韓聖公会神学会」は、日本と韓国による神学的共同研究を通して、アジアの聖公会神学、アングリカニズムのアジア的再解釈を追求するために発足した。 当初の「神学会議」という枠組みを閉じ、神学研究に従事する人々が管区や教区の既存の枠組みに依存せずに自由な共同研究と学びを行うため、学術会議というスタイルが選ばれた。もちろん、神学の教師だけが神学研究の主体ではなく、聖書の真理を探求し、信仰の営みを人々と共有し得る形で表現しようとするすべての人が、神学を行うもの、神学徒であり本会に招かれている。総会後、さっそく第一回の研究発表が行われたが、期せずして、他宗教との対話をも視野に入れた教会一致運動に関する研究発表が行われたことは自然なことだった。北東アジアにおけるアングリカン神学の研究が、他宗教、他教派との関係抜きに語られることはありえないからだ。今年は韓国で学会が開催される予定だ。神学者の養成という点で、韓国聖公会は日本聖公会よりはるかに積極的であり、すでに多くの優秀な人材が活躍している。この学会の活動が、日本聖公会における神学研究の活性化と神学者養成の重要性の再認識へとつながることを願っている。 |
| 詳しくはホームページ www.rikkyo.ne.jp/univ/kayama/jktheol/ |