NSKK 日本聖公会 東京教区
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クリスマスの前に

主教 植田仁太郎

 教会の十二月といえば、クリスマスとその準備と相場が決まっているようです。クリスマス(イエス・キリストの誕生)を祝うのも、イエス・キリストの復活を祝う復活祭も、一年間をとおして教会のカレンダーがあり、そのカレンダーを、日々守る中で、そういう大きなお祭りの日を迎えることになります。クリスマス前の四週間は、私たち人類にとって決定的な存在となった方、すなわちイエス・キリストの到来を「待つ」という大切な期間として、教会のカレンダーに定められています。
 
  現代という時代は、「待つ」という生活と人生の間合いが、どんどん無くなる時代のようです。人を待たせるのは失礼なことだし、なるべく待たずに電車に乗ったり、サービスを受けたりできることが良いこととされています。電話がかかってくるのを待つこともなくなり、ケータイがあればどこに居てもつながります。とりたてて「待つ」必要はなくなりました。

 ある哲学の先生はこう書いています。<「待たない社会」、そして「待てない社会」。意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっとしているしかないもの、そういうものへの感受性を私たちはいつか無くしたのだろうか。……時が満ちる、機が熟すのを待つ、それはもう私たちにはあたわぬことなのか……。>

 神の与える、私たちに決定的な意味を持つものが、必ず明らかになる、それを信じて「待つ」。そのことに習熟しようとするのが、クリスマス前の期間です。