NSKK 日本聖公会 東京教区
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それぞれの信仰、それぞれの神

主教 植田仁太郎

 

 アメリカの大統領選挙の候補者指名についてのニュースが毎日報道されています。その背景解説の中で、アメリカ人一般と宗教の関係が紹介されていました。
 ある調査によれば「人生にとって宗教は重要だ」と考えるアメリカ人は、「とても重要」「ある程度重要」を合わせると、全人口の82%だそうです。また「神を信じる」と答える人は86%にのぼり、天国や地獄を信じる人も70%以上ということです。
 このような答を出した人の理解する「宗教」「神」「天国」「地獄」は、みな、キリスト教の教えが前提になっているようです。「神」はともかく、天国や地獄の存在は、キリスト教本来の教えというより、はるか昔からどの文化の中にもあった、言わば人々の「俗信」に近いものでしょう。アメリカ国民の宗教的背景は確かにキリスト教的ではあるでしょうが、人々の信仰表明が、そのままキリスト教の説く真実だとは言えないでしょう。
 ひるがえって、日本の状況はどうでしょうか。お正月に初詣でに出かけた人は、全国で九八一八万人だったそうです。しかし、その人々全てが「神を信じている」とは答えないでしょう。福田総理大臣は伊勢神宮へお参りした後の記者会見で、「五穀豊穣をお祈りしました」と語っていました。でもいわゆる神を信じているのかどうかわかりません。
 明らかに、日本人一般とアメリカ人一般の神観念は異なっています。唯一絶対の神もあり得るし、自然界に色々な形で宿る神々もあり得るでしょう。キリスト教は、聖書の伝統の中で形造られてきた神のイメージの上に、イエス・キリストという方の生き様こそ、神を示すものだと理解しています。そして、神は、いつも私たちの真剣な問いかけに、応答してくれる、そのような「生きた」神であると、私たちは信じています。イエス・キリストがそういう方であったからです。