するとイエスは、「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる。」と言われた。ルカによる福音書23:43
この言葉は、ルカによる福音書の特徴をよく表している。ルカによる福音書のイエスさまは、「実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ」(17:21)と言われる。イエスさまの隣で十字架に架けられている罪人は、自分は神の国を望むことさえ無理だと思ったので、イエスさまに、せめていつか神の国にイエスさまが入られる時、隣に一緒に十字架で苦しんでいたことを思い出してもらいたいとお願いをする。イエスさまの答えは表記のように、いつかとかではなく、しかも思い出すとかではなく、「あなたは今日、わたしと一緒に楽園にいる。」というものだった。わたしたちが、自分の無力さや資格の無さを受け入れつつ、しかし、希望を抱き祈る時に、神の国は既にわたしたちに臨んでいるということを表しているのではないだろうか。(司祭シモン・ペテロ上田憲明)