パトリックニュース173号

聖パトリック教会1957年伝道開始
2006年6月18日発行 第173号

今後ともよろしく(その3)

牧師 司祭 ミカエル 加藤俊彦

ニューヨークからアムトラック(列車)に乗り、ボルチモアへと向かい、本来の旅の目

的であるアメリカ聖公会メリーランド教区の「良き羊飼教会」(Good Shepherd)を

訪問しました。駅から車で1時間位のところにあるラクストンという、いかにも高級住

宅地にあるといった雰囲気の整然とした町並みの中に、こじんまりとした教会がありま

した。中に入りまず目に付いたのが壁に貼られていた模造紙大の紙でした。そこにはウ

ォーデン(信徒の責任者)や教会委員(ベストリーメンバー)それぞれの顔写真が貼ら

れ、その下には各人の紹介と役割とが書かれていました。それを見ると、教会形成にお

いて教会委員の責任と役割をいかに大きなものとして考えているかが分かり、また信徒

に対して教会委員がどの人で、またどの教会委員が何の責任を負っているかを積極的に

知らせ伝えようとしているかが伺われました。それには、やはり、信徒が教会の主体で

あり、教会を支えまた動かしていくものという基本的な教会観があるのだと思いまし

た。その後信徒の方々と交わり互いに紹介し合う機会が持たれましたが、同席していた

男子青年が自分は18歳の高校生で教会委員であり教会の会計を担当していると自己紹

介しました。これらのことは、それまで私が日本の教会において見聞きしてきたことの

ない初めの経験であり、同時にそのような発想さえ教会において持たれてきたことがな

いのではないかと、目から鱗が落ちるほどの新鮮な思いを感じました。

その後、訪問者一行は何人かに分かれ、ホームステイ先の家に散って行きました。私は

同訪の青年一人と共に教会委員のジョンの家へと向かいました。生まれてこの方乗った

ことのないほどの大きなステーションワゴンの外車に乗り、家に着きました。そこでま

ず初めに言われたことは、玄関の入り方でした。家には防犯機能が付いているので、玄

関の扉の鍵を開けてもそのまま入って行かないように、そして中に入った後、二つのセ

ンサーを解除しないと赤外線に引っかかり警報音が鳴るから注意するようにとのことで

した。日本ではまだ一般住宅に防犯対策を施すことのなかった当時、これがアメリカの

人たちの社会生活の現実なのかと思い知らされました。そして家の中を案内されまし

た。玄関を入るとソファーのある広い居間が広がり、玄関近くの階段で二階に案内され

ると、この部屋とこの部屋とを使うようにと教えてくれました。一軒の家に二人の外国

人の訪問者を迎え入れ、それぞれに個室をあてがうことができることには驚きでした。

そしてバスルーム(トイレとシャワー)はここを使うようにと教えてくれ、その後バブ

ル機能のついた湯船のあるバスルームに案内され、ここは自分が使うのだと言っていま

した。そして別の階段を降りキッチンを通って居間へと戻りました。そして、家の外に

は屋根のついたデッキが続き、そこにテーブルと椅子が置かれ、柵の向こうには二匹の

飼い犬が新参者の私たちに関心を寄せていました。翌日の朝、朝食が用意されていたと

ころは、まさにあのデッキで、テーブルの上にはオレンジジュース、マグカップのコー

ヒー、卵、パンなどが置かれ、朝から外気を吸いながら町並みの景色を眺めての優雅な

朝食は、その後毎日繰り返されました。ホームステイそのものが生まれて初めての経験

であった私にとって、これらの第一印象は、何よりも日本の生活環境との大きな違いを

感じさせる経験であり、またメリーランド教区の聖公会信徒の暮らしぶりと社会的地位

を知らされた感がありました。

主日はジョンとともに例の外車で教会へと向かいました。その朝のジョンのいでたち

は、上着にネクタイ着用という、いかにも"教会に行く"ということへのこだわりを感じ

させる服装でした。案の定、教会に集まった信徒の姿には同様の感を匂わせるものがあ

り、華やかなワンピースを着て教会に来ている小学生の女の子の姿に、それは代表され

ていました。

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