昨今、「心の教育」ということが、教育の領域をはじめ、さまざまなところで言われています。身の回りで起こっている数々の心痛める事件が絶えないなか、益々このことが各分野で急務のこととされています。
しかし、降りかえってみますと、日本人は、そして広く人間は古くから、この「心」というものを大変大事にしてきたはずです。日本語を見ましても、「心」を伴う文字は数限りない程あります。もちろん良いものばかりとは言えませんが、何か温かな感じを、安らぎを、穏やかさを与えてくれる印象を持ちます。
その中、二つにの文字を取り上げたいと思います。一つは聖書に数多く出てくる「愛」です。似た文字に「受」という文字がありますが、前者は「心」が入っていますが、後者には入っていません。「愛」は受けるだけでは成り立たないからでしょう。「心」を通し合い、与えること受けることがあって初めて成り立つからでしょう。
もう一つは「優」です。「人」と「憂」とを組み合わせて出来上がっていますが、何かしら心に「憂い」を持つ人の傍らに、或いはそういう人の心の傍らに立つという印象を持ちます。バタバタと動き回るのではない、しかし、静けさの中に温かさと柔らかさを感じる気がします。
今、改めてこの時代に、私たちがずっと以前から大事にし続けているはずの「心」により一層思いを馳せたく存じます。
