女性司祭按手に向けて

いつ頃のことだったか、時期は憶えていないのですが、今から七、八年前だったと思います。
竹田主教さんが昼近くに教区事務所に出勤されました。普段は、朝早くから主教室におられるのですが、その日は、税務署へ確定申告を済ませてのご出勤でした。
いつもは事務所に顔を出されると、挨拶程度で、余計なことはおっしゃらず、郵便物の確認をして、お部屋に行かれることが多いのです。ところが、その日は、チョット違った様子です。少し、もじもじして言うか言うまいか、迷ったあと、「税務署から出て帰ろうとしたら、年配の女性から『お茶しない』と声をかけられてね」と。

事務所の職員は、一斉に仕事の手を止めて、興味津々。
「いくつぐらいの女性でしたか」、「どんな感じのひとですか」、「身だしなみは」、「それで、どうなさったのですか」と矢継ぎ早に質問をぶつけました。
「『これから仕事がありますから』と言って断った」と、ちょっぴり恥ずかしそう。
「主教さん、余程、お金持ちに見られたんですよ」とか、「折角の機会だから、お茶、なさったら良かったのに」など、野次馬の面白半分の冷やかしの声と笑いに包まれたのでした。主教さんの戸惑いと真面目な応対振りが、目に見えるようでした。
竹田主教さんに、わたしがいつも感心し、尊敬していることの一つは、どんなことに対しても真面目に取り組み、責任を果たそうとする姿勢です。このエピソードもその一つ(?)でしょうか。

教区主教として、監督下にある教役者がしでかしたいくつもの失敗を、叱責して責任を取らせるのではなくて、ご自分の責任として受け止めて来られたことには頭が下がります。
また、時代が要請する課題にも、リーダーシップを発揮して取り組んで来られたことは、ご承知の通りです。

女性の司祭按手の方向性を、いち早く示したのも、その一つです。聖公会神学院という場所で、バーバラ・ハリス主教と共同司式で聖餐式を捧げられたのは、日本聖公会の歴史に残る出来事です。
教区フェスティバルで、メリーランド教区から招いた女性の司祭たちが、フィリピンのドミニコ会の神父さんたちと共に聖餐式に加わったことも印象的でした。
しかし、法規の改正がなされるまでは、女性の司祭按手を強行しようとはされなかったことも、教区主教としての配慮と責任を深く考慮してのことであったと思います。

竹田主教さんのお働きを祝福して下さった神さまに、感謝致します。

司祭 山口千寿(前教務主事)

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