(解説)

     キリスト教会は行政上、大きく東西に分かれました。10世紀頃のことです。ローマを中心にした西方(カトリック=普遍的)教会、コンタンチノポリスを中心とした東方(オーソドクス=正統的)教会です。

     西方教会の伝統はローマ・カトリック、聖公会、プロテスタント諸教会に、東方教会はギリシャ正教会、ロシア正教会、コプト教会等に受け継がれています。

     聖公会は、ローマ・カトリックとプロテスタントの中間に位置し、両者の橋渡しの教会(Bridge Church)と呼ばれることもあります。また世界100ヶ國以上に広がる聖公会の交わり(Anglican Communion)のなかには東方教会の流れをくむ教会も含まれています。


    (解説)

     英語圏では、Anglican ChurchとかEpiscopal Churchと呼ばれることが多いようです。ちなみに英國では國民的な教会とされ Church of England と呼ばれています。

     「日本聖公会(Nippon Sei Ko Kai - Anglican Communion)」という名称は1887年大阪で開催された日本聖公会の第1回総会で決定されました。日本での活動がはじまって28年目のことでした。

    日本聖公会の略称はNSKKです。

 

    (解説)

     教会では教会の聖職者や教職者を呼ぶ時、教会を一つの家族のようにとらえて、(父親的存在といった意味で)「Father(神父、師父)」と呼び表す教会や、教会を一つの群れとみなして、(群れの指導者といった意味で)「Paster(牧師)」と呼ぶ習慣の教会などがあります。

     また日本の教会では「先生」などと呼ぶ場合も多いようです。

     日本聖公会では「牧師」という言葉を、Rector(管理者)またはVicar(代理)の意味で用いています。

  

    (解説)

     聖公会では、ローマ・カトリック教会や正教会と同様に、古くから主教(bishop)、司祭(priest)、執事(deacon)の三重の聖職位を受け継いできました。この職位を持っている人たちを聖職と呼んでいます。

     主教は教会の監督者、司牧者、礼拝の主宰者です。また世界に広がる教会の一致のシンボルとも言われます。

     司祭は主教の働きを助け礼拝を執行し、教会の管理を代行します。

     また執事は教会の奉仕や分配に奉仕することがその主要な務めとされています。

     これら聖職の他、信徒の伝道師や聖職候補生を含めて、教会で働く人々を、聖公会では教役者と呼んでいます。

   

    (解説)

     東京教区の管轄区域は東京都と定められています。一つの教区の中にはいくつかの教会・礼拝堂(東京教区の場合およそ40か所)が置かれ、教区主教はそれぞれの教会の働きの責任者として、一人の司祭をその教会の「牧師」(主任司祭)に任命します。

     全世界的に眺めると、教区は地方教会とも言われ、世界に広がる一つの教会を構成する基本的な単位となっています。

    
    (解説)

     現在では、信徒の礼拝や集会のため、また広く地域への働きかけと奉仕のために「教会」が設置されています。また活動のために用いられる建物のことも一般的に教会と呼ばれます。聖卓の置かれている礼拝堂(聖堂/チャペル)を中心に、集会室や事務室、また教役者の住居を併設したものが一般的です。

     ちなみに、病院や学校等のように医療や教育といった特定の目的を持った施設に併設されたものを、地域ごとに置かれている教会と区別して「礼拝堂/チャペル」と呼んでいます。

     またそこで働く聖職者はチャプレンと呼ばれています。

 
    (解説)

     イエス・キリストの誕生以前から、神への祈りと賛美は歌をもって捧げられることが普通でした。旧約聖書にある「詩編」なども本来歌い継がれてきたものだといわれています。

     キリスト教会でも、神を賛美する歌が常に用いられてきました。グレゴリオ聖歌や古今のミサ曲等、様々な曲調やリズムの歌曲があります。教会で用いられる歌(hymn)のすべてを総称して聖歌または賛美歌と呼ぶことができます。また特に宗教改革以降に、教会に集まった人々がいっしょに歌うことを目的として編集された歌集を「聖歌」または「賛美歌」と呼ぶことも多いようです。

     聖公会では、長い間「古今聖歌集」を使用してきましたが、 2007年11月に新しい聖歌集『日本聖公会聖歌集』が発行され、 主としてこれを使用するようになりました。

     ローマ・カトリック教会の「カトリック聖歌集」や「典礼聖歌」、日本キリスト教団の「賛美歌」や「賛美歌21」など多くの歌集が出版されています。

 
    (解説)

     旧約聖書は39巻、新約聖書は27巻、そして続編が15程の文書から成り立っています。

     ユダヤ教の教師たちによってまとめられたといわれる旧約聖書は、歴史、律法、詩と文学、預言に大別できます。

     またキリスト教会が定めた新約聖書は、福音書、使徒言行録、書簡、黙示録に大別できます。

     この他に「旧約聖書続編」がそれらの間に置かれている聖書も出版されています。

     旧約という言葉は、イエス・キリストが来られる前に神と人とが結んだ古い契約、新約はキリストを通して示された古い契約の成就と新しい契約を意味しています。

 
    (解説)

     洗礼には、罪からの解放、神の家族である教会への加入、そしてキリストの永遠の命に与って新しく生まれるといった意味があります。

     わたしたちが生まれ変わって新しくされたことのしるしとして、クリスチャンとしての新しい名前(教名)が与えられます。

 
    (解説)

     一人一人の生命もその他のものもすべては神から与えられ、また世の救い主イエス・キリストによってすべての人が救われると言われています。またそれを伝えるために教会が形つくられました。

     献金は、神の働きに応えて、神に感謝の気持ちを表し、また救いのおとづれを伝える働きのため自由にに献げられます。

 
    (解説)

     キリストはご自身を指して「わたしは門である」といわれました。そして十字架にかかり、その身を裂かれました。これは門はいつも開かれているという意味ではないでしょうか。

     教会はすべての人々に開かれています。ただしその建物の鍵は、いつも開いているとは限りません。あらかじめそれぞれの教会へお問い合わせされることをおすすめします。

 
    (解説)

     一番初めのクリスチャンたち時代からずっと、日曜日には場所を定めて集まって、神に感謝し、神を賛美する集まりを行ってきました。「パン裂き」と呼ばれる集まりで、現代の教会では聖餐式とかミサと呼ばれる礼拝です。

     信者たちは迫害の激しい時代にも集まって、ともに神がイエス=キリストを通して示してくださった救いの業を思い起こし、またパンとぶどう酒、その他様々な献げものを持ち寄ってこの礼拝をいたしました。

     そしてこの献げ物は、困難な生活を余儀なくされている人々に分配されました。教会の社会奉仕の働きの発端がここにあります。

 
    (解説)

     教会ではイエス=キリストは「世の救い主」とも呼ばれてきました。すべての人々、世界の救い主であとの意味です。誰もがキリストによって招かれているのです。

     礼拝の時刻や内容など詳しくは最寄りの教会にお問い合わせください。

    (解説)

     礼拝堂や建物を見るだけでしたら、あらかじめ空いている時間を確認してお尋ねになると良いと思いますが、教会の活動や内容についてお知りになりたいのでしたら、人々が集まっている時に行かれる方が良いと思います。

     また牧師と話しをされたいときはあらかじめお約束をいただいた方が良いと思います。

     いろいろとお尋ねになることができるからです。無理に勧誘されるようなことは一切ありません。

 
    (解説)

     聖公会の礼拝では普通、祈祷書にしたがって礼拝が献げられています。

     その他聖書や聖歌集等が用いられることがありますが、それぞれの教会に備え付けのものがありますので、それをお使いいただけます。

 
    (解説)

     服装にも特に決まりはありません。

     時と場合によって、また入口でスリッパにはき替える教会や、靴のまま入る教会といった具合に、それぞれの教会によっても若干違いがありますが、さほど注意しなければならないことはありません。

     分からないことがあれば気軽に教会でお尋ねください。

 
    (解説)

     人生のあらゆる場面で神との関わりを覚え、感謝を献げ、導きと祝福を祈り求めることは大切なことです。

     聖公会の祈祷書には、聖餐式や朝夕の礼拝の他、入信(洗礼・堅信)の式、懺悔の式、結婚式、誕生感謝の祈り、病者訪問の式、葬送の式(通夜の祈り、葬送式、逝去者記念式)等、人生の節目に献げる礼拝が定められています。

     その他にも、個人の住宅や墓地の祝別などの祈りも用意され、用いられています。

 
    (解説)

     結婚式はいわば公のものとして執行されます。

     結婚は基本的に当事者である男女が契約を結ぶ時です。結婚式はいわばその調印式のようです。神と人々の前で、結婚の契約が結ばれようとしていることについて、支障がないかが問われます。

     続いて当事者の意志が問われ、聖書の言葉と説教で結婚の意味(契約の内容)が確認されます。その上で当事者は、神と人々の前で結婚の約束を交わします。そして集まった人々はこの契約の保証人として、神の導きと祝福を祈ります。

     この時から、当事者はお互いを神から与えられた賜物・大切なパートナーとして認め、生涯をともにします。また教会は結婚式をあらかじめ予告することになっています。

 
    (解説)

     結婚式の時、新郎新婦が歩くため白布等を用いてつくる通路の飾りを指しているようです。

     ドレスの汚れを防ぐためまたは新しい生活への門出を祝う意味で発案されたものだと思われますが、キリスト教の礼拝においてそれ以上の意味はありません。

 
    (解説)

     教会では結婚式を人生の節目に献げられる礼拝の一つと考えています。そのため教会では、担当の司祭が当事者とともに学びと準備の時を持ちます。

     言うまでもなく結婚式は人生のゴールではなく、新しいスタートであると考えられます。そこで結婚しようとする者は、新しい生活に踏み出す準備として、結婚式の式文にしたがって、教会が認めた有資格者から結婚について学びます。そして結婚式を通して神の祝福を受け、教会はその結婚を公に宣言します。

 
    (解説)

     なぜなら結婚式を通して、神のみ恵みと祝福を多くの人々と分かちあう機会が与えられると考えるからです。

     信徒の結婚については教会で行われます。信徒以外の結婚式は必ずしもすべての教会で受けつけているわけではありません。それぞれが希望する教会に問い合わせてみてください。

     また式の日程等についても、早めに(少なくとも披露宴等の会場予約より先に)一度ご相談するようにお勧めします。

 
    (解説)

     教会は事業として結婚式を行いません。あくまでも教会の礼拝の一つとして執行されます。

     教会によってはおおよその目安を定めている場合もありますが、教会の慣例でいえば、感謝の献げ物は挙式の総費用の5〜10パーセント位はということになるでしょうか。

 
    (解説)

     結婚式は披露宴ではありません。聖公会では、式は式文に従って執行されます。

     当事者の様子に目を配り、心を込めて祈りを唱え、また歌うという姿勢が大切だと思います。服装やご祝儀等について特別な定めはありません。他の人の迷惑にならないように心がけることで充分です。

     また教会用の祝儀袋等を入手したい場合、キリスト教書店等で販売しています。

 
    (解説)

     キリスト教会では、死は神の御許に帰る時、いわば天国への凱旋であると考えられています。

     そして葬儀は、神に召された人と生きて世にある人々がともに、キリストが死に打ち勝ったことを覚えて神の前に祈る時となっています。

     故人に対して祈るのではなく、わたしたちと同じように神から命をいただいている故人とともに神に祈りを献げているという理解が大切だと思います。

 
    (解説)

      諸聖徒日や諸魂日はすでにこの世を去って神のもとにに召されたすべての人々を覚えて祈ります。多くの教会や墓地では、この日あるいは11月に逝去された人々を記念する礼拝が行われています。

     その他にも教会で聖餐式が献げられる時には、必ず逝去された方々のための祈りが含まれています。また特に逝去された方々を記念して祈る場合、教会や墓地、あるいは自宅で逝去者記念式や逝去者記念聖餐式(レクイエム)が行われます。

 
    (解説)

     「泣く者とともに泣き、喜ぶものとともに喜ぶ」という聖書の言葉にもある通り、共感を大切にしていただければと思います。

     普通教会の葬儀(通夜の祈り、葬送式など)は、式文に従って行われます。

     式中では、祈りと歌、説教が行われます。参列者は、故人や遺族とともに、礼拝に参加します(祈りは故人に対してではなく、故人とともに神に献げるものです)。

     献花が行われる場合がありますが、これは棺を埋葬する時、参列者が土を被せることのシンボルだといわれています。喪章、数珠等は必要ありません。

     また教会用の不祝儀袋がお入り用の時は、キリスト教書店等でお求めになれます。

 
    (解説)

     内容は

    1 教会と聖書  問 1〜11

    2 祈りと礼拝  問12〜27

    3 神の民    問28〜34

    となっています。