教会を飾るステンドグラス

礼拝堂の正面に掲げられたステンドグラスは、1889年英国ロンドンの Cox, Son and Buckley & Co. で製作された もので、米国ロードアイランド州プロビデンスのクライスト・チャーチから贈られたものです。Cox, Son社は19世紀の 著名なステンドグラス・教会備品メーカーであり、英国各地の大学や教会、ロンドンで開催された万国博覧会などで 同社の作品が数多く採用されたことで知られています。このステンドグラスも、カットされた色付きガラスを鉛線で 固定し隙間をパテで埋めるというヨーロッパの伝統的な工法で作られ、工芸品として優れているだけなく、高い芸術性 を兼ね備えた作品です。
それぞれの大きさは縦2.6メートル・横1.2メートルで、3枚1組で構成されています。左側には「ベツレヘムに向かう聖母 マリアとヨセフ」、中央に「馬小屋でお生まれになり飼い葉桶に寝かされたイエス・キリスト」、右側は「東方の3人の 博士たち」が配置され、「キリスト降誕の物語」が描かれています。

この作品は、製作された英国から米国へ、そして日本へと100年の時間(とき)を経て、いくつもの 海を越えてきました。礼拝堂に飾られたステンドグラスは、キリスト教会の代表的なシンボルであると同時に、そこを 訪れる者の「心の安らぎと信仰への道しるべ」でもあります。これまでも、そしてこれからも、多くの人々の心の拠り どころとなることでしょう。

この作品の主題に関心をおもちの方は、こちらもご覧ください。

このステンドグラスは、前記ステンドグラスを譲り受けたことへのお礼を兼ねた親善旅行(1984年)の際、聖ペテロ 聖アンデレ教会牧師のケント司祭(当時)から寄贈されたものです。現在は、玄関から礼拝堂に続く廊下に掲げられて います。
十字架上のイエス・キリストが描写されたそのステンドグラスは、あたたかな心安らぐ降誕物語の作品とは対照的に、 見る者の心を強く揺さぶります。西洋の宗教画として数多く見られる題材ですが、この作品におけるキリストの姿は 実に痛々しいものがあります。しかし、信じる者の苦しみをキリストご自身がともに担ってくださるということ、 そしてキリストが誰のために十字架にかかり、苦しまれたのかをこの作品は思い起こさせてくれます。このように 教会の信仰はキリストの受難、そしてその後の復活のうえに立っています。

この作品の主題に関心をおもちの方は、こちらもご覧ください。
戻る