1999年4月号

日本聖公会全国青年ネットワーク 事務局の紹介

   開設7年目を迎える「日本聖公会全国青年ネットワーク 事務局」。事務局の生い立ちと現在の活動内容について簡単に紹介させていただきたい。

 92年、聖公会神学院の学生たちが中心になって日本聖公会92全国青年大会を開催した。全国各地の青年たち約100名が伊豆に集まった。3泊4日のこの大会では、NCC総幹事の前島宗甫さんによる主題講演の他、礼拝、聖公会史、教会音楽、差別 、環境、日曜学校、アジア、死刑制度などさまざまな分科会に分かれて語り合うことができた。

 大会後、全国レベルのつながりを継続させようと、京都教区の青年たちが中心になって日本聖公会全国青年ネットワーク事務局を立ち上げ、青年ネットワークミーティングの開催やネットワークニュースの発行を始めた。

 96年、京都の青年たちが中心となり、YMCA六甲研修センターで全国青年大会が再び行なわれた。150名ほどの青年たちが神戸・六甲に集った。講師は、鷹取カトリック教会の神田裕神父。震災の中で問い直された教会のあり方や青年たちのボランティアの活躍などを土台に、前回の大会と同様、教会教育、沖縄、女性、震災とボランティアなど、たくさんの分科会に分かれて思いを分かち合うことできた。

 97年、ネットワーク事務局は、常勤スタッフ確保や事務局機能充実のため、名古屋学生青年センター内に移動。現在は、各教会等に配布している「日本聖公会全国青年ネットワークニュース」(年2回発行)の作成や、Mailing Listと資料郵送サービス等による全国レベルの情報交換、他管区や他教派・団体との情報交換、全国青年大会のサポート、青年向けのファシリテーター・トレーニング・プログラムの主催などを行っている。事務局では、あくまでも教会や教区、地域での活動を中心に考えており、様々な場にいる全国の青年たちをつなげてサポートしていくことを目標にしている。

 なお、活動資金については、現在は、管区学生青年運動協力委員会の協力のもと、全国青年大会関係のために管区総会で定められた「日本聖公会青年活動のための日」の信施金を軸に予算化させていただいている。

 これまでのご加祷ご支援に心から感謝するとともに、日本聖公会のいまを担う全国各地の青年たちの働きを覚えてお祈りくださり、またご支援いただければ幸いです。

   日本聖公会全国青年ネットワーク事務局の連絡先は以下の通 り。

466 名古屋市昭和区宮東町260 名古屋学生青年センター内

TEL 052-781-0165  FAX 052-781-4334 

郵便振替 「日本聖公会全国青年ネットワーク」00800-3-23747

  〜プレ青年大会速報〜

 プレ青年大会実行委員会(事務局:京都教区彦根聖愛教会)によると、来年に開催が予定されている全国青年大会の準備のためのプレ青年大会は今年8月13日〜15日、大阪府立青年の家で行うことにしたとのこと。プレの内容については現在実行委員会で検討中。(相原太郎:日本聖公会全国青年ネットワーク事務局)


1999年5月号

東京教区青年プロジェクトの活動

   先月号より、この欄では日本聖公会の青年たちによる様々な活動状況を少しずつ紹介させていただいている。今回は東京。東京教区の場合、各教会には人数に多少の差こそあれ青年たちがおり、教会レベルで青年会活動を活発に行っていたり、個々に多様な活動を展開していたり、と様々な動きを見ることができる。そのような状況の中で、教区的な青年活動の取り組みとして行われているのが「青年プロジェクト」。他教区にはないこの活動を紹介していただくことにした。              (全国青年ネットワーク事務局・相原)

   「東京教区青年プロジェクト」は95年3月の教区会において、教区内の青年たちの交流、「96日本聖公会全国青年大会」の東京教区の窓口となることを目的として設置され、青年たちのそれぞれの活動や思いを分かち合っていくことの活性化を目標とした「定例会」の開催、「ネットワークニュース『Platform』」の発行を軸として、第一期の活動が始まった。プロジェクト制という制約の中で活動するとき、その活動は目的と期間を定め、その期間内に目的を達成していくことを余儀なくされる。その意味では、恒久的な活動としてある青年活動は、プロジェクトとしては相応しくないかもしれない。そのことと葛藤しつつ、かつ充分に踏まえた上で、自主的な青年活動をサポートし、連帯していけるような働きをサポートできれば、との願いから、97年3月の教区会において、98年に「教区青年の集い」を開催することを新たな目標におき、2年の任期でプロジェクトは新たに設置しなおされ、第二期の活動がスタートを切った。その目的の中心であった「教区青年の集い」は昨年8月に中部教区との共催で野辺山で行なわれ、参加者は中部、東京だけでなく、大阪、京都、横浜の各教区からも参加があり、60余名が集まったことは、プロジェクト制において活動してきたひとつの成果 と言えよう。

 今年3月に2年間の活動期限を迎え青年プロジェクトは終了した。しかし、それは青年活動の終了を意味しているのではもちろんない。これまでのプロジェクト活動の中で、さらに教区、教派を超えて与えられた出会いやネットワークが本当に活かされるのはこれからである。これから展開されていく、青年たちの様々な活動への取り組みが、青年プロジェクトの果 たした役割を問うことになるであろう。

 ちなみに、これまで発行していた「ネットワークニュース『Platform』は、プロジェクト終了後も自主的に発行していく予定である。            (東京教区青年プロジェクト・坂根久仁子)

  青年ネットワーク情報

 5月1日〜5日、神戸聖ミカエル教会にて神戸教区青年交流会のワークキャンプが行なわれる。また、5月2日〜4日、サン大淀キャンプ場にて京都教区の青年有志の呼びかけにより「青年交流キャンプ」が行われる。4月30日〜5月2日には、八日市場聖三一教会にて横浜教区青年有志の呼びかけによる青年の集いが行なわれる。いずれも問い合わせは、日本聖公会全国青年ネットワーク事務局(052-781-0165)までどうぞ。


1999年6月号

日韓聖公会青少年交流キャンプについて

 このキャンプは、1995年阪神・淡路大震災の年に始まり、それ以後毎年、韓国と日本で交互に開かれている。初回は震災復興支援のワーク。第2回(96年)は韓国・水安堡(スアンボ)にて交わりと学び。第3回(97年)は広島や呉などをフィールドトリップ。第4回(98年)は、ソウルにて日韓の歴史の学びと水害地でのワーク。日本側からはすでに80名以上の青年たちがこのプログラムに参加しており、リピーターも多い。参加した青年たちは、これを機会に個人的な交流が始まったり、お互いの相手の国の言葉の勉強のきっかけになったりしており、着実な成果 が現れている。昨年夏には、東京・中部教区の青年の集いに韓国からの代表が参加。来夏に予定されている日本聖公会全国青年大会への参加も検討されている。

 5回目の今年は沖縄で開催され、日本聖公会の青年たちの多数の参加が期待されている。そこで今回は、昨年この日韓交流キャンプに参加し、現地で韓国と日本各地から青年たちが来るのを迎える、沖縄教区の青年の声を聞いてみる。なお、このキャンプは、日本聖公会日韓協働委員会と大韓聖公会韓日協同委員会が、両国の歴史を見つめ、和解の道を探り、交わりを深めるために始めたものである。(日本聖公会全国青年ネットワーク事務局・相原)

 昨年夏、初めて韓国に行きました。空港を出て感じたことは、あまり日本と変わらない、ということでした。自分でも恥ずかしい事なのですが、”多少日本よりは・・・”と思っていたのでした。3〜4日韓国で生活してみると、韓国という国は、”古きを重んじて新しきを取り入れる”というような、古さと新しさが共存する国で、沖縄とよく似ていると思いました。とても不思議な雰囲気で、居心地はとても良いという印象を持ちました。

 韓国にいる間は何も考えていなかったようにも思いますが、とにかく自分の心の感じるがままに新鮮な雰囲気を味わってきました。目に映るものはすべて吸収しようと思いました。戦中・戦後の韓国の歴史を見に行ったり、韓国の音楽を聴いたりし、言葉の壁がありながらも得たものはたくさんありました。沖縄とある意味で似た歴史を持っている国であること、若者たちにある徴兵制の問題など、色々考えさせられました。そして、まずは韓国語を習いたいと思うようになりました。

 現在、私は大学で週に2時間の韓国語の授業を取っています。来年までには会話ができるようになりたいです。韓国で学んできたことをこれからも大切にし、色々なことを考えていきたいと思っています。(沖縄教区島袋諸聖徒教会・鈴木耕太)

青年ネットワークニュース・ヘッドライン

8月13〜15日のプレ青年大会の案内は、6月上旬に各教会等に配布予定。/今年の日韓青年交流キャンプは、8月5〜10日、沖縄にて開催。戦跡・基地などのフィールドトリップ加え、愛楽園の訪問なども予定されている。/神戸教区の夏の青年交流会は、お盆の時期にワークキャンプを予定。/名古屋学生青年センター主催のフィリピンスタディツアーは8月18〜29日、沖縄スタディツアーは8月18〜22日。/いずれも問い合わせは全国青年ネットワーク事務局(052-781-0165)まで。


1999年7月号

プレ全国青年大会に向けて〜青年活動の流れの中で〜

 この夏、2000年に行われる全国青年大会に向けて協議をする集まりがもたれます。そこで、ここ数年の青年の動きについて振り返ってみたいと思います。

 日本聖公会では、’92年に全国青年大会が開催されました。これは20数年ぶりの全国規模の大会となりました。その後、全国のネットワークを大切にしていくため、全国青年ネットワーク事務局が設けられました。’95年1月の阪神淡路大震災では、多くの青年がボランティアとして貢献できました。その年の夏には日本聖公会宣教協議会が開催され、この協議会でも青年たちがスチュワード(大会運営を円滑に進めるための役割)として参加、’96年の全国青年大会では、震災、また宣教協議会より受けた課題を青年として深めてゆきました。’97年にイギリスで行われた国際青年大会、’98年の日米青年によるハワイ・広島・長崎・沖縄への「平和と和解の旅」にも青年達が参加し、国際的な交わりの中で、正義、平和などについての課題を深めています。これらの動きの他にも、多くの青年活動が各地で行われています。また、全国青年ネットワーク事務局では随時インターネットでの情報発信、年2回のネットワークニュース発信により全国の青年たちの情報交換が行われています。

 今回のプレ全国青年大会、また2000年の全国青年大会では、これらの動きの中で取り組んできた様々な課題を深く見つめるとともに、全国に散っている青年達と交わり、ネットワークを更に深め、これからの教会、これからの青年活動について考え、語り、祈り、そして大きなエネルギーとなってゆきたいと思います。

(プレ全国青年大会 実行委員会)

〜 日本聖公会 プレ全国青年大会 〜 

テーマ : みつめよういろいろな壁〜歩もうキリストと共に〜

日 時 : 1999年8月13日(金)〜15日(日)

場 所 : 名古屋学生青年センター

参加費 : 25,000円(交通費プール分含む)

募集人数 : 約40名

参加資格 : 18歳以上(高校生は含みません)

申込締切 : 7月14日必着 

主 催 : プレ全国青年大会 実行委員会

*詳しくは、各教会に送付しました案内書をご覧ください。



1999年9・10月合併号

1999プレ全国青年大会開催

 

 8月13〜15日、来年の全国青年大会の方向性などについて話し合うための集まり、1999プレ全国青年大会「みつめよういろいろな壁〜歩もうキリストとともに〜」が開かれた。会場となった名古屋学生青年センターには、ほぼ全教区から約50名の青年が集まった。NCC関西青年協議会を代表して事務局長の吉沢託さんも参加された。

 初日、開会礼拝、4つの窓という手法を用いた自己紹介などのアイスブレーキング、パネルディスカッションなどが行われた。パネラーは神崎直子さん(東京教区)、西原廉太司祭(立教大学講師)、藤原健久司祭(京都教区)。「日米聖公会青年平和と和解への旅」に参加した神崎さんは、今こそ平和を創り出していかなければならない時であり、私たち青年がどこに立つかが問われていると語った。ランベス会議、WCC大会に参加した西原司祭は、世界の聖公会では青年たちこそ教会や社会の中でヴィジョンを提示して預言者的働きを担ってきたと述べ、日本におけるその可能性を示唆した。藤原司祭からは、青年大会は3泊4日で集まることだけを目標にすべきではなく、むしろ日常のローカルなレベルのためのものにすべきであり、その意味でたとえば来年1年間全体を青年大会としてみてはどうかなどの提案が出された。

 二日目は、グループ討議および全体会議で青年大会について議論が行われた。今回のテーマ「壁を見つめる」ことを軸に話し合いが進められ、教会や社会の中で感じる様々な壁について意見を交換した。話し合いは青年大会開催の意味から具体的運営方法にいたるまで多岐に及んだ。その中で、来年の大会の方向性としては、全国の青年たちが教会や社会の様々な課題・現場・物語を通 して出会い、その多様な出会いの中で自らがその物語・課題へと開かれていくこと、そしてその視座から21世紀の教会のヴィジョンを青年たちから開いていけるようなものにできたらと考え、「(壁を)ひらく」「教会の未来、担っていく私達」というキーワードが出された。これらを基に、今後、大会実行委員会がテーマを決定していく。開催場所に関しては、青年の活性化につながり、なおかつテーマにそった場所で開催すべきとの意見が多く、これについても実行委員会に一任することになった。

 実行委員長には聖公会神学院の矢萩新一さん(京都教区)、コアスタッフには相沢みぎわさん(横浜教区)、神崎直子さん(東京教区)、横川裕子さん(北関東教区)、小林祐二執事(横浜教区)、岸本望さん(大阪教区)が選出された。このメンバーが中心となって後日実行委員会が組織され、来年の大会を運営していくことになり、協議を終了した。

 2日目の夜には、同時期に鳴門で開催されていた神戸教区青年交流会の青年たちとの共同企画で、同じ時間に同じ祈りの課題を用いて黙想と祈りの集いを行い、全国の青年の連帯をあらためて感じることができた。3日目は名古屋聖ステパノ教会の聖餐式に参加し、続いて閉会礼拝が行われ、プレ青年大会の幕は閉じられた。プレ青年大会では、多様な祈りの経験をテーマに多くの祈りの時が持たれたが、ボランティアの協力によって全ての礼拝で手話を用いたことなどもあり、祈りの大切さとその豊かさをあらためて感じることができた。

 プレ大会後、コアスタッフを中心に大会運営の話し合いが着実に進められおり、来年の青年大会とそれに連携した各教区の青年活動の活性化、青年への教区や教会におけるサポートなどが期待される。(プレ全国青年大会実行委員会)


1999年11月号

青年たちはなぜテゼに・・・

 「若者の礼拝離れ」と言われることがありますが、テゼ共同体と連帯し日本の各地で行われている黙想と祈りの集いには、聖公会の青年も含め多くの超教派の青年たちが集っています。また、聖公会の青年の集まりでもテゼの歌を用いた祈りが行われることが少なくありません。そこで今回は、黙想と祈りの集いの準備にかかわってこられ、現在聖公会神学院で学んでいる市原さんに、なぜ青年たちがテゼに魅力を感じるかについて書いていただくことにしました。(青年ネットワーク事務局・相原)

 フランスの小さな村にある超教派の男子修道会テゼ共同体。この修道会は、世界中から若者たちが集まってくることで知られている。いったい、何が彼らをこのようにテゼに引き付けるのだろうか

 テゼでの生活はとても単純である。一日三回の共同の祈り。昔の学校給食を思い出すような単純な食事。バイブルイントロダクションと黙想、分かち合い。場合によっては単純なワークが入ることもある。いずれにしても、ある特定のプログラムによって若者たちが引き付けられているという種類のものではない。しかし現実に、そこにはたくさんの若者たちが集まっており、共同の祈りが終わっても教会から立ち去らない多くの若者がいる。

 若者たちが、現代社会の中で渇きを感じており、生きることの意味を探し求めている。自分の存在の意味は何なのか、神とは何なのか、信仰とは何なのか…彼らの問いに対し、既存の教会が答えを与えられていない現実がある。そんな中で、若者たちにとっての「テゼ」とは、そこに行けば「何か」を見つけられるかもしれないという期待の場所なのである。

 テゼ共同体は、和解の共同体である。ここには教派を越え、国境を越え、年齢を越えた交わりがある。テゼでの生活の中で、青年たちは様々な形での交わりを経験する。聖書の分かち合いの中で。食後の皿洗いを共にする中で。そして何よりも、共に祈ることの中で。これら様々な交わりの中で、青年たちはお互いの置かれている現実、それぞれの青年が持っている物語を分かち合う。また、テゼ共同体は静かさの中に身をひたす経験をとても大切にする。若者たちは日常生活から一歩退き、静かさの中で自らの中心に降りていこうとするのである。

 これらすべての経験を通じて、若者たちは自らの内なる泉を見出し、ここで見つけた「何か」と共に、自らの日常生活の場所へと戻っていく。そして、自分のおかれた場所で、世界中の若者たちと共に信頼の旅を続けていくのである。

 テゼはあくまでも観想的な修道会として始められた。そして、訪問者である若者たちがブラザーたちと直接接触する機会は限られている。しかし、まぎれもなく、テゼ全体をつつむ「何か」は、ブラザーたちが福音の真実を生き抜いている、その姿からもたらされているのである。現代の教会が失いつつある「何か」を、テゼ共同体では感ずることができる。この「何か」を求めて、若者たちは今日もテゼの丘を上るのである。(中部教区聖職候補生・市原信太郎)


1999年12月号

神戸教区の青年交流会について

 神戸教区の青年の中心的な活動は、神戸教区青年交流会という教区レベルの交流です。この活動はかなり以前から行われているもので、最近では他教区との交流も始まるなど、活動の幅をさらに広げています。今回、青年交流会会長の中村香さん(神戸聖ミカエル教会信徒)に青年活動について書いていただくことにしました。(青年ネットワーク事務局/相原)

 交流会キャンプを企画するときには、なるべく多くの人数で集まり、一つの考えに固執することなく、誰でも参加できるような“多様な”キャンプを行うことを心がけています。そして今年は参加のチャンスを増やすごとく、4回行いました。@4/21〜23「礼拝と黙想」参加者23名in徳島インマヌエル教会、A5/1〜5「ワーク一筋五日間」参加者50名in神戸聖ミカエル教会・本町公園(震災避難所)、B8/12〜15「夏のワークキャンプ」参加者25名in鳴門聖パウロ教会、C9/25〜26「教区大礼拝でトン汁を作ろう」参加者40名in神戸聖ミカエル教会。今の目標は、青年たちしかできない、青年たち独自のものをなんとかして創り出し、それを継続していくことです。

 各教会、青年会をはじめいろんな集まりがあります。が、それらが実は、単なる「仲良しグループ」であったりします。私たちが目標とするところは「脱!仲良しグループ」でありまして、好き嫌いで人を選んだり、仲良し同士が集まって自己満足の「愛」を確認するのではなく、『あなたを愛してくれる人を愛したところでなんの得があろうか』を指針に、いろんな人と積極的に交わり、それらを通 して“愛”を見いだせたらなと思います。

 教会を離れていく青年たちは言います。「教会に行っても若い人がいないから面 白くない。」大人は言います。「青年が来ない。」どちらも言うだけではなく、何らかの解決策を自分なりに見つけなければいけないと思います。

 私はこのことを提案します。各教会、主日礼拝後の交わり〜お茶会など〜はなされていると思います。が、しかしその時、年代層グループが結成されてしまいます。そこで、お茶会の時には、まず“ランダム”に着席し、年が離れている人、しゃべったことのない人などとの交わりのときを積極的に持ってはどうでしょうか。おばあちゃんおじいちゃん、おじさんおばさん、青年たち、交わりの時を持たずしてお互い「理解できない。」とは言わないでください。友達というのは、同世代でないとなれないでものしょうか。同じ世代、同じ考え方、同じ環境を乗り越え、本当に愛することが、私たちに求められています。

 私たちの心が広がり、いつの日か、共に交わりのときがもてることを祈ります。(神戸教区神戸聖ミカエル教会信徒・中村香)


2000年1月号

中部教区のユースコーディネーターについて

 青年に関する新しい試みとして注目され始めているユースコーディネーター。中部教区(教務局)が宣教活動の活性化と人材育成の具体策の一つとして設置しました。任命された宮島義人さん(新生礼拝堂会衆信徒)は、早速教区内の多くの教会を丁寧に訪問し、9月には早くも愛知・岐阜・長野・新潟の多くの教会から約50名の参加者を得て教区青年交流会を開催するまでになっています。また青少年プログラム委員会が設置され、ユースコーディネーターの働きを教区的にサポートする枠組みも作られました。今回は、初のユースコーディネーターになられた宮島さんに活動の中身やその意味などについて書いていただきました。(ネットワーク事務局/相原)

 1999年1月より中部教区からユースコーディネーター(教区青年担当スタッフ)を任ぜられ、非常勤ながら3年を任期として活動させて頂いております。

 コーディネーターに期待される役割はそのおかれている状況によって様々ですが、現在の中部教区においては先ず「青年活動の活性化」をあげることが出来ましょう。1年目は教会を訪問させていただいたり「青年交流会in新潟」をはじめとする様々なイベント開催のお手伝いをさせていただきました。

 地方の教会を実際にお尋ねしてみると、予想していた以上に「青年の数」が少ない事に驚きます。またその地理的な広さが教区内の青年の交流をも難しいものとしています。しかしそれ以上に驚く事は、その数少ない「青年」が日曜学校、教会委員会その他教会の働きの主力となって頑張っている姿がある事です。その姿に触れると自分の心の中に元気が与えられるのを感じます。

 中部教区の現状は青年活動に関しても、必ずしも楽観できる材料ばかりではありません。どちらかというと(かなり?)「困ったな」という材料が多いと言えます。しかしこれは逆に考えればすばらしいお恵みかもしれません。多くの教会が「自分のところだけで…」という発想では成り立たず、「持ち寄らざるを得ない」という状況にあることは美しい調和を作り出すことができる可能性を秘めているような気がします。困難を越えながら与えられる交わりは静かな大きな力となっていく事でしょう。

 しかし青年活動がどんなに「活性化」してもそれが限られたグループの中だけで完結してしまっているのでは、「一時的な盛り上がり」に終わってしまうでしょう。青年の達の目が仲間に、教区内外の様々な活動に、そして社会に向けられていくこと……青年が主によって「集められ」「交流し」そしてまた「それぞれの場に帰っていき」自ら様々な事に「共感し」「目を向けていく」こと……そのプロセスを通 して昨年のランベス会議でも確認されたように青年の力が教会の中での「宣教の担い手」となっていくのかもしれません。そのためのわずかなお手伝いですが祈りのうちに歩みを進めていきたいと願っております。どうぞ青年達に託されそして担われている様々なムーブメントが豊かに受け継がれていくようにお祈りください。(中部教区ユースコーディネーター/宮島義人)


2000年2月号

1999年度の横浜教区の青年活動をふりかえって

横浜教区の青年活動はここ最近、何かプログラムを思いついた青年たちが独自に企画を立て、教区の青年のネットワークを通 じて参加を呼びかける、という他教区では見られないスタイルをとりはじめています。教区の青年チャプレン補佐の小林祐二執事に最近の活動について書いていただきました。(全国ネットワーク事務局・相原)

 

横浜教区青年の1999年をふりかえって、印象深かったことをいくつかご紹介します。

教区青年ミーティングin清里

3月5〜7日、青年チャプレン主催で清里を訪れました。述べ10名の参加があり、昼間はほとんどがフリータイムでそれぞれ初春の清里を楽しみました。夜はキャビンに集い、近況報告や各自のアピールに花が咲きました。

高齢者施設での自発的ヴォランティアグループの発足

ゴールデンウイークには有志の主催で「教会めぐりin八日市場」が開催され、八日市場と銚子の教会を訪問、そして八日市場の近くにある社会福祉法人、主に高齢者への働きを担う「九十九里ホーム」の諸施設を訪れました。この訪問がきっかけとなって夏にはチャプレンと数名が一週間のワークキャンプを行い、デイ・ケアセンターを中心にお手伝いをしました。今後も継続的なボランティア活動が展開されることでしょう。

「沖縄めぐり」開催

8月21〜25日には藤沢聖マルコ教会の青年会が中心に沖縄訪問が企画され、教区全体への呼びかけを受け総勢12名の参加者がありました。横浜教区と縁のある高良孝太郎執事のご助力により、沖縄の自然、文化、また、ひめゆりの塔や米軍基地、ヘリポート予定地等、沖縄を通 じて私たちに投げかけられている諸問題について目を向けるきっかけの訪問となりました。参加者皆が今後も沖縄とのかかわりを保ちつづけていきたいとの感想を持ちました。本年の訪問計画もすでに始まっているようです。

教区外の交わり〜青年大会に向けて〜

1月の「‘99全国青年ネットワークフォーラム」を皮切りに、「日本聖公会プレ全国青年大会」を通 じて「2000年全国青年大会」にかかわっている青年たちもいます。横浜からは私を含めて3名が実行委員に選ばれ、月に一度のミーティングを通 じて全国の交わり作りに関わっています。

一年を通じて

ボランティア活動や沖縄訪問など、青年たちの自発的な行動がいくつか見られるようになってきています。数年前から運営されてきた「青年ネットワーク」は、組織面 が前面に出すぎ、そこを流れるインフォメーションが希薄となる傾向が見られました。しかし昨年はそれぞれの教会・個青年の声が教区全体に反映される動きがみられ、ネットワークの再定義が自然なかたちでなされたのではないかと思います。また、本年は全国青年大会を控え、教会青年の交わりの広さを感じられる一年となるのではと思います。今後とも横浜教区青年の交わりをお覚えください。(横浜教区青年チャプレン補佐/執事小林祐二)


2000年3月号

教会に新しい息吹を

〜エキュメニカル青年運動のいま〜

 聖公会は歴史的にエキュメニカル運動の中心的役割を担ってきましたが、その働きに欠くことのできない要素の一つが青年。今、世界の様々なエキュメニカルな動きの中で、青年たちが大きな役割を担っています。日本ではどうでしょう。今回は、NCC青年委員会担当幹事の小泉基さんに、日本のエキュメニカル青年運動の現状について書いていただくことにしました。(全国ネットワーク事務局・相原)

 「教会に青年なんて、ぜんぜんいませんよ!」というのは、NCC(日本キリスト教協議会)常議員会でのある教会長老のご発言です。たしかにかつて教会の主役といえば青年だったでしょう。それが、いつのころからか青年は教会の「脇役」としか見られなくなり、今日でもまだそう見られています。しかし「教会に青年がいない!」と断言されてしまっては私たち青年も立つ瀬がない。聖公会だけでなく、他教派も含めて今日の青年運動について見ていきしょう。

 NCC加盟の6教派では、バプテスト連盟、バプテスト同盟、在日大韓基督教会の3教派が、だいたい50人から150人の規模で継続的に全国レベルの青年大会・修養会を毎年開催してきました。1990年代に入って日本福音ルーテル教会と日本聖公会に全国レベルの青年運動組織化の動きがあり、ルーテル教会では1996以来毎年全国修養会を、聖公会では92年以来4年ごとに全国青年大会が開催されるようになったのはご存じの通 りです。また日本基督教団では、かつて1950〜60年代に数百から千数百人の規模で何度か全国協議会が開催されたものの、現在では全国レベルの集まりは持たれていません。エキュメニカルには、NCCの青年委員会も活動できない時代が長く続いたのですが、1997年に「第1回学生青年運動エキュメニカル協議会」が開催されて以降、活動を再開させ、エキュメニカルな情報交換の窓口となっています。現在、今年の秋に第2回エキュメニカル協議会を開催しようと、関係者が準備をはじめています。また教派を越えた青年の自主的なグループとして、関東ではエキュメニカル・ユースフォーラム(EYF)、関西ではNCC青年協議会(NCCY)が独自の活動を続けています。つながりを取り戻しつつあるエキュメニカルな青年たちの中で、1992年、96年と青年大会を成功させ、今もっとも元気のある日本聖公会の青年たちの、さらなるエキュメニカルな活躍が待たれているところです。

 最後に個人的な経験になりますが、私が自分の教派(日本福音ルーテル教会)を意識するようになったのは、エキュメニカルな集まりで他教派の青年に出会ったことがきっかけです。また日本という国を意識したのは、韓国をはじめとするアジアのキリスト者青年との出会いがあったからです。エキュメニカルな出会いは、自分自身を振り返らせ、自分のたっている場所を教えてくれます。

 教会に青年がいないと嘆くより、今いる青年たちがいきいきと活躍することによって、青年が主役となる教会を取り戻したいものです。(日本キリスト教協議会青年委員会担当幹事・日本福音ルーテル教会大森教会会員)


2000年4月号

アジア学生青年エキュメニカル大会に参加して

 7年ぶりにアジアレベルで、プロテスタント諸教派やYMCA、カトリックの青年が一同に会する大会が行われました。アジアのキリスト者の青年たちは、今回のテーマである「グローバリゼーション」を、富んでいる国や企業が自由競争によって貧しい人々への経済的な支配を強めるもの、すなわち新しい形態による植民地支配として認識しており、各国の労働運動などとも連携しながら、批判を強めています。

 日本からの参加者の一人である横山美樹さんに報告を書いていただきました。(全国青年ネット/相原)

 1月21日から28日まで、タイのチェンマイで、アジア学生青年エキュメニカル大会が行われました。この大会は、アジアキリスト教協議会青年セクション(CCA-Youth)、YMCAアジア同盟、世界学生キリスト教連盟アジア太平洋部やカトリックの学生組織・青年組織など、アジア地域の5団体が主催したものです。参加したのは、100人ほどのアジア各国の青年たちでした。

 元々は台湾で行う予定だったものが、地震のためにタイに変更になり、主催者側には苦労があったようですが、とても素晴らしい大会になったと感じました。

 テーマは「見直そう、考えよう、新しくしよう:持続可能な共同体の構築」というもので、そのなかでのキーワードは「グローバリゼーション」でした。

 この、「グローバリゼーション」という言葉は、日本語にうまく訳すのが難しい言葉です。「国際化」などと訳されたりしますが、「国際化」という言葉のイメージは割合、肯定的だと感じます。しかし、他のアジアの人々と話す場合、「グローバリゼーション」という言葉は、かなり否定的な意味合いが強いように思います。西洋や、日本が自分たちの価値観を押しつけてくるアと、と感じているようです。アジアの多くの国々は、1950年代以降、植民地支配からの独立を成し遂げ、発展しつづけてきました。そのような中で、教育や文化、価値観などの変化ももたらされ、それによって、自分たちのオリジナリティを失いつつある、という危機感を持っているのです。

 会の6日目だったか、テーマ別 に別れて議論をしたことがあり、私は「グローバリゼーションと高等教育」というテーマのグループでした。その中で、他の国の青年たちは、「ごく1部の優秀な人のみが大学へ進むが、自国に職がないので海外(日本)に流出してしまう。そのことを政府が防ぐよう対策を練るべきだ」と熱弁をふるっていましたが、かなりの割合の人が大学に進み、アジア各国からの移住労働者たちが暮らす日本から来た私はかやの外という感じでした。同じアジア人であるのに、こうも違うものかと感じたことがたくさんありました。

 日本は、社会構造の中では、多ュの部分でアジアよりもヨーロッパやアメリカに近い部分があります。そのことを、真正面 からつきつけられた感じがしました。

 それでも、議論を離れると、同じアジア人同士、それぞれの音楽の話、趣味の話、楽しく過ごすことができました。インドネシアから来た男性は、私に「僕は日本人の女性と結婚したいんだ」と話しました。理由を聞くと、「インドネシアでは、『おしん』がはやっているんだよ」という答えでした。私は、申し訳なく思いながら、『おしん』は私たちのおばあさんたちの世代の話で、今はまるで違うということを説明しました。

 私たちは近いようで、お互いに知らないことがまだまだあるようです。これからも、さまざまの形で交流をもっていけたらと思っています。(東京教区三光教会信徒/横山美樹)


2000年5月号

平和を考えるプログラム「長崎に立つ」

 今回は、九州教区。柴本孝夫司祭が中心となって、現在も継続している阪神淡路大震災被災地へのボランティアなど、いくつかの青年層のための小さなプログラムがありますが、今回は教区的な規模で行われたもので、青年層に限ったプログラムではないものの、企画した青年たちの力によって教区内の多くの青年たちが参加しました。企画者の一人である柴本司祭に書いていただくことにしました。(全国青年ネット/相原)

 去る3月18日(土)から20日(月)までの2泊3日間、長崎において、九州教区有志の集まりである「平和を考えるプログラム」実行委員会の主催による第1回平和を考えるプログラム「長崎に立つ」を開催いたしました。

 今回のプログラムは、昨年、行われた「沖縄週間/沖縄教区プログラム」に、九州教区から、私たち3名の青年が参加したことがそもそものきっかけでした。沖縄に実際に訪れ、沖縄戦の歴史、米軍基地の押付けといった沖縄の現実と向き合い、そしてその現実が実は日本の現実そのものに他ならないことをあらためて感じたのでした。

 この体験の後で私たちが考えたことは、ただ感想文を提出するようなことだけに終わらせてはいけない、ということでした。もっとこのような学びを他の人たちとも共有したい、そう思ったのが今回のプログラム企画の第一歩でした。沖縄での学びから始まったことなので、そのつながりはきちんと踏まえ続けたい、そして、きっとこの私たちが生活する九州にも、沖縄で見聞きした状況と同じ根を持つ問題はあるはず…、そう考えるうちに、初回は被爆地・長崎を切り口として学んではみてはどうか、という意見にまとまりました。幸いにも長崎では、一昨年の夏に「日米聖公会青年平和と和解への旅」のメンバーが来訪した際、そのメンバーと教区の青年たちとで原爆についての学びのプログラムを開催した経験があり、それを生かすこともできました。

 今回のプログラムを紹介すると、長崎原爆資料館見学、証言(高橋ヨネ子姉・西本信夫兄‐共に長崎聖三一教会信徒)、主日礼拝(5名の参加者による証し:私の平和)、岡まさはる記念長崎平和資料館見学、交流会、恵の丘老人ホーム(被爆者・戦争体験者)訪問・交流、といった内容でした。被爆体験について直接お話を聴いたこと、被爆者との交流などをはじめ、プログラムの一つひとつは参加者それぞれの心に様々な気づきや思いをもたらしてくれたようです。

 今後の取り組みについては、近々、実行委員会でふりかえり検討しますが、とりあえずは年一回程度のプログラム開催を目指しての活動となる見込みです。とにかく「平和を実現する人々は、幸いである」と主が祝福されていることを覚え、私たちも小さいながらこのような取り組みを継続したいと思います。そして願わくは、教区内外の方々をはじめその他多くの人々と、ぜひ平和について学び、思いを分かちあう場として、この取り組みが用いられればと思っています。(九州教区・司祭 柴本孝夫)


2000年6月号

あけぼの

〜未来という夜明けに向かって再出発〜

今夏いよいよ全国青年大会が行われますが、4年前の大会をきっかけにスタートしたのが東北教区の青年活動。大会に参加し、東北で中心的にリーダーシップを発揮した越山哲也さんは、現在東北教区聖職候補生としてウィリアムズ神学館で学んでいます。その越山さんに、東北教区の青年活動について書いていただきました。(全国青年ネット・相原)

主の平和

 東北教区の青年活動について少し紹介したいと思います。わたしたちの活動は1997年の夏からスタートしました。一部の青年たちから「青年同士で何かしたい」とか「交流がしたい」との声が以前からありました。私もその内の一人だったわけですが、そのような純粋な気持ちが始まりでした。それから何人かの志の有る者たちが集まって教区内の教会に呼びかけて、仙台でワークキャンプを行うことが出来ました。参加者は20名ほどではありましたがとても有意義な楽しい一時であったと思います。そしてその年の暮れも暮れの12月29日から30日にかけてクリスマス交流会を開き、共に祈り、歌い、食べ、遊び、語り合うことが出来ました。その後も1998年、1999年と交わりの時を持つことが出来ました。しかし、昨年頃から少し異変が起きました。それは青年会のメンバーの何人かが就職や進学のため東北の地を離れてしまった事により、また仕事が忙しくなり教会になかなか来られなくなったりと様々な理由により青年活動が思うようにできなくなってきました。これは私たちにとってはつらい現実でした。しかし、このような現状を決して悲観的にはとらえていません。わたしたちはキャンプや交流会の主題聖句としていつも次の御言葉を選びました。「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。」(ヨハネ15:5)

 そして「できることからはじめてみよう」を合い言葉にしてきました。これは1996年の夏に開催された全国青年大会の主題聖句でもあり、合い言葉でしたBわたしも青年大会に参加をしたのでそこで得たものを教区のみんなに伝えなければと思いました。常に主イエス様を中心に一人一人がお互いに声をかけあってつながっていこう。そして歩みは遅くても一歩ずつ前進して、いつか豊かな実をつけることができるようにこれからも希望をもって活動を続けていきたいです。東北教区は今年教区成立80周年を迎えます。教区報の「あけぼの」のように未来に向かって新しいスタートです。常に主に寄りたのみ、M頼をしてこれからも青年活動の輪を広げていきたいです。(東北教区聖職候補生 ステパノ 越山哲也)


2000年7月号

青年大会、近づく

 いよいよ4年に一度の全国レベルの『日本聖公会全国青年大会』が近づいて来ました。 同実行委員会では、大会当日に向けて着々と準備を進めております。今回はそのテーマを『ひらこう!私を、教会を〜今、私たちの生活(いき)ている現場から〜』とし、様々な地域・現場で生きている青年達が、それぞれの課題を持ちより、分かち合い、元気になって帰ろうという思いが込められています。

 主題講演者には、日本基督教団・山谷兄弟の家伝道所の菊地譲牧師をお招きし、自らがひらかれる、教会がひらかれるという事についてお話して頂く予定です。菊地牧師は、その伝道所の名前からも分かるように、路上生活を余儀なくされている方々と共に生きることを日々追い求め、『まりや食堂』という低価格のお弁当の販売を通 して、労働者の方々に使えておられます。この主題講演を通して、『ひらかれた私、ひらかれた教会』について考える上で大切な視点を私たちに与えて下さることを確信しております。

 また、今大会では、そのほとんどの時間を分科会に費やしています。全11の分科会は、それぞれに関心のあるテーマを選択し、十数名の青年達と共に分かち合いをしようというプログラムです。そのテーマだけをあげてみると、[平和][礼拝音楽][メディアと信仰][礼拝][恋愛そして結婚][ジェンダー・セクシュアリティー][グローバリゼーション][カルト宗教][学校と教会][働くこと][地域の中の教会]です。どれも、現代社会に生き、キリストの枝に連なる私たちにとって、欠かすことのできない課題ばかりです。毎日毎日、学校や仕事で忙しくしている私たちは、関心がありつつも、なかなか腰を落ち着けてその課題を捉える時間を持つことが少ないのではないでしょうか。チャレンジ精神や柔軟性というものが、青年であることの証しであるとするならば、これらの課題について熱く語り合い、何らかの形で参与していく道を模索し、歩んでいけるのではないでしょうか。様々な課題に対して、私たちの心が開かれる時、教会もその使命を果 たして行けるのではないでしょうか。

 今回の大会は、社会・人・世界へとひらかれた生き方を模索できるような、互いに励まし合い元気になれるような、そんなネットワークを拡げるまたとないチャンスであります。キリスト降誕2000年という記念すべき年に開催される全国青年大会、韓国からも1人の青年をお招しますが、日本聖公会は勿論、教派を超えて、国境を超えてネットワークを築いていきたいと願っております。皆様のお祈り、御支援をよろしくお願い致します。(全国青年大会実行委員長 京都教区聖職候補生 矢萩新一)


2000年11月号

大阪教区青年の働き

 

 今大阪の青年が熱い。全国青年大会を終えそれぞれの思いは強く、大会に参加しなかった他の青年と分かち合いたいという気持ちが出てきた。

 ちょうどその時、青年が合唱を頼まれている大阪教区礼拝まで1ヶ月少しのところまできていた。その礼拝では、以前ゴスペルワークショップに参加し、何か確信したものを得た荒川真紀さんの提案で、ゴスペルを歌おうという事になっていた。そこで、教区礼拝にむけてのゴスペルの練習、また他の青年と出会いと分かち合うという2つの目的を達成すべく、10月6日から9日にゴスペル隊強化合宿が行われる事となった。4日間もの合宿を組んだ理由として、「healing」という歌の難しさもあったが、普段忙しさの中で教会に来られない青年が1日でも1回でも練習に参加してくれればという思いがあり、よって朝・昼・晩と練習時間を設け、1回の練習で発声から皆で合わせるまでのプロセスを盛り込んだ。教区を越え、教派を越え参加者を募った結果 、カトリック・バプテスト・ノンクリスチャンの参加者と共に歌うことができた。また青年大会でのネットワークを通 し、京都・神戸・中部・沖縄からも参加してくれたのは喜ばしい限りであった。

 ゴスペルは周知の通り、抑圧の中にあった黒人達が神を賛美した霊的な働きのある歌である。ここで日本人である僕達がどのような思いを込めて歌うのか?日本には戦時中に強制的に連れてこられた朝鮮人が多くいる。そこで今回、聖公会生野センターの呉光現さんを招き、違いと差別 という視点から在日朝鮮人、障害者について講演をしていただいた。開くという意味で、Healing(癒し)という意味で僕達の歌う意味を深めてくれた。付け加え、同じように教会で黒人の中から生まれたとされるラップの導入は、新しい礼拝音楽の可能性を探る一歩となった。

 この合宿を通して僕が学んだのは、企画が多くの人達によって成り立っているという事。青年の柔軟な発想や創造性は、大人の理解と協力により発揮されるという事。また、自分は良い事をしているという傲りが、時に人が協力してくれる事を普通 だと思ってしまう危険性を包含するという事。そういう部分からおしつけなどの見えない力が働くと思った。それぞれが意志をもって参加し、1つの曲を完成に近づけていくという過程は、歌っている自分たちに大きな感動を与えてくれた。

 さて、大阪での青年の働きが続けて熱くある為にも、教区礼拝後の青年の集まりというのが重要となってくる。青年のいない教会に来た新しい青年の受け皿としても、月1回のペースで行われてきた井戸端会議は大きな意味をもっている。大阪教区の地理的な利便がそこには活かされるべきである。しかしながら内容の無いものは実を結びにくく、どのように続けていくかが今後の課題である。青年大学というそれぞれのタレントをいかした授業を行うという構想もあり、今後の大阪の青年の動きにぜひ注目していただきたい。僕達は今、導火線に火をつけたところなのである。

(鈴木淳/大阪教区尼崎聖ステパノ教会信徒)


2000年12月号

学生青年運動エキュメニカル協議会

 

 十月二日〜四日に御殿場の東山荘において、NCC青年委員会・日本YMCA同盟学生部委員会SCM協力委員会の共催で、第2回学生青年運動エキュメニカル協議会が開催された。これは、教派を超えた青年とそれを支えるシニアたちが集まり、今後青年たちがどのようなエキュメニカルな活動を展開していけるかというものを協議する場であった。参加者には、カトリックからバプテスト連盟・日本キリスト教団・聖公会・在日大韓基督教会など、バラエティに富んでいた。

 一日目は五人の方に、現在行われているエキュメニカルな活動について発題してもらった。中でも興味深かったものは、CCAのシンシアさんが語ってくれたCCAの理念についてと、学Yの水谷さんのASYG(アジアの青年のエキュメニカル集会)についてのお話だった。シンシアさんは、エキュメニズムには、教派の超越、宗教の超越、全人類の一致の三つの側面 があるとおっしゃっていた。また水谷さんの言われた、「自己の信仰と実社会への実行の隔たりに気付き、思ったら言え、言ったら行動しろ」という言葉に深い感銘を受けた。

  二日目はまず立教大学の李鍾元先生の主題講演から始まった。李先生はご自分の体験から、韓国の民主化運動においての日本の青年との協力活動について話された。その後、これからは国家の枠を超えアジアという視点で私達のアイデンティティを形成しなければならない。そして他国の文化を理解するためにも、自己のアイデンティティを確かなものににしなければならないというお話しをなされた。この発題に対し、いくつかの分団に分かれ、今私達に何ができるかについて話し合った。そしてその結果 を発表し合い、この協議会のまとめとした。その決定事項として、エキュメニカルなML・HPの作成、地域レベルの交流の推進、本協議会の継続開催、青年のリーダーシップの開発が挙げられた。

 今回この協議会に参加して感じたことは、同じキリスト教徒でも色々な考え方の教派があるということだった。しかし同時にその根幹では、「神の前には皆一つ」という言葉のもとで繋がっているということも感じた。この協議会に参加して、教派間の無関心さ、さらには対立すらある現状を変えていき、協力し合うことは可能なのだと、またそれは大変すばらしいことなのだということを感じられ、私達のこれからの可能性として何ができるかについて考えることができて良かったと思う。

(大畑智/東京聖テモテ教会信徒)