日々の礼拝
夕の礼拝
2008  栄えあれ神よ
Glory to thee, my God, this night
Thomas Ken (1637-1711)
TALLIS' CANON
Thomas Tallis (1505?-1585)
 『古今』189番の改訂訳です。
 宗教改革以後の英国の夕の礼拝において用いられてきた、最も古い聖歌の一つです。ウィンチェスター・カレッジの学生たちの日々の礼拝のために、1674年頃に書かれたものといわれ、原作は12節もありました。
「我が神よ、汝に栄えあれ」と始まる詩の勢いを生かし、全体を原詩の内容に忠実に改訳しました。今夜のみ守り、罪の赦し、そして死を想起しつつ、朝の目覚めを復活の命に重ね合わせ、主に仕える力を与えられるために今、眠りにつく、という信仰生活の志を誠実に歌い上げています。最終節は、三位一体の神への賛美として「アーメン」が付けられています(2003の解説等を参照)。
 作詩のトマス・ケンは、17世紀英国の賛美歌作家で、英国聖公会のバース・アンド・ウェールズ教区の主教に任命されていましたが、1689年の「名誉革命」に際して、オレンジ公ウイリアムの即位に臣従を拒否し、主教職を剥奪されたノン・ジュラー(臣従拒誓者)の一人です。
 作曲のトマス・タリスは、16世紀英国のオーガニストであり、生涯にわたって宗教曲、世俗曲を数多く残し、音楽史にその名をとどめています。
 『古今』で「この譜はソプラノとテノールとで歌うことができる」と特記されていたように、二声部で、また無伴奏でも美しく歌え、さらにカノン(輪唱)でも歌えることから、それがチューンネームとなり、“タリスのカノン”として広く親しまれています。
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