教会暦
降臨節
2013  主の民久しく待ちにし
Come, thou long-expected Jesus
Charles Wesley (1707-1788)
CROSS OF JESUS
John Stainer (1840-1901)
(訳詩 渋澤博子、訳詩協力 西村克彦)
 人々を解放するキリストの救い、キリストの支配を、預言から受肉、現在の統治、そして最後の勝利へと、個人の、共同体の、更には宇宙的な広さから描いたこの聖歌は、降臨節の意図そのものを表しているものです。
 イエスこそが待望された救い主であると信じる群れとして、わたしたちは罪の縄目から解き放たれ、慰められ、強められます。そして神の愛であるみ子の降誕こそが救いの始まりのしるしであり、終わりの日の究極的なみ国の到来を、今も待望して歌います。
 作詩のチャールズ・ウェスレーは、メソジスト運動に生涯をかけた兄ジョン・ウェスレーの協力者でもあり、6500余の聖歌を書き残した、量・質ともに英語賛美歌史上で最も重要な作者です。
 作曲者のジョン・スタイナーは、聖パウロ大聖堂のオーガニストを務め、英国の聖歌集『HA&M』の編纂の初期にも、深く関わっていました。
 この曲は1922年版『改訂古今聖歌集』223番に第二譜として収録されていましたが、あまり馴染まれることがなかったようです。しかし音楽的にも、過度の和声進行を避け、会衆に親しめるシンプルで力強い曲に仕上げられています。オーガニストには一見難しそうな和音ですが、上述したように、基本的にはシンプルな和声で、アルト声部だけを取り出してみると、8分音符の半音階通過音によって音楽が豊かになっていることが分かります。どうしても難しいところはメロディ以外の声部では8分音符を省くことも可能でしょう。8分音符は急いでしまう傾向がありますから注意して、堂々としっかり弾くことで、力ある旋律と微妙に変わる和声に彩られたこの曲の美しさを引き出しましょう。
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