教会暦
降臨節
2015  み子の民よ目を覚ませよ
Remember, O thou man
English Carol, ca. 16c.
REMEMBER
Ravenscroft's Melismata, 1611
(訳詩 加藤啓子)
 英国のキャロル集に収められていた、厳かで美しいハーモニーによる曲です。英国では「降臨節前夕」のコーラル・イーブンソング(唱詠晩祷)等において、聖歌隊により歌われてきたものです。この訳詩は、東京聖三一教会で1990年頃から始められた「降臨節前夕の礼拝」において用いられてきたものを基本にして、改訂委員会で改めてまとめたものです。
1節では、「目を覚ましていなさい」[マタイ24:42] とのみ言葉に対応し、また救い主到来の先駆けとしての洗礼者ヨハネの言葉、さらには主ご自身の宣教開始の第一声、などを思わせる内容が歌われます。降臨節第1主日(A年)の聖書日課に、特に相応する聖歌です。
 3節では、クリスマスの夜の天使の賛美が歌われていますが、4節には、ベツレヘムに生まれた幼子が、わたしたちのために十字架を背負わされるという定めに言及しています。それゆえにこの歌は、降臨節や降誕日の他に、大斎節にもふさわしく用いることができます。その際には、5節を省いて歌いましょう。
 『古今』251番や450番のように、白玉(2分音符)で表記した楽譜がいくつか見られますが、これは4分音符の場合と音の速さが変わるわけではありません。古い時代には一般的に使われていた記譜法で、この曲が16世紀のものということもあるので、その雰囲気を残しました。ややゆったりした印象ですが、遅くなり過ぎずに、4小節のフレーズが切れないように言葉を歌い上げましょう。
 短調による緊張感ある前半から、後半の長調への転調によって、救い主の訪れ、救われた者の感謝と喜びが感じられる聖歌です。
▲聖歌の解説【索引】へ