教会暦
降誕節
2028  聖なる幼子み母の胸に
Duermete, Nino lindo
Hispanic folk song
A LA LU
Hispanic folk song
(訳詩 宮崎 光)
 アメリカのニューメキシコ州に伝わる愛らしいクリスマス・キャロルです。
 しかし内容は、決して穏やかなものではありません。マタイによる福音書2章に記された、ヘロデ王による幼児虐殺の出来事がその背景にあり、ヘロデの手から幼子イエスを守り抜くため、夫ヨセフとともにエジプトへ避難した母マリアの、優しくも力強い子守唄です。それは同時に、無惨にも命を引き裂かれた、名も無き幼子たちと、その母たちの悲嘆を思わせられます。2024「おねむり愛しの子よ」(コヴェントリー・キャロル)と共通のモチーフで、12月28日の「聖なる幼子の日」の聖書日課に対応しています。
 原詩はスペイン語で書かれており、もとは「Los Pastores (羊飼いたち)」というクリスマスの大衆演劇で歌われていたもので、19世紀に劇と一緒にメキシコから口伝で伝えられました。それをアメリカの音楽家ジョン・D・ロッブ( John D. Robb, 1892-1989) が、『ニューメキシコ州のヒスパニック民謡』(1954年)で収録し、彼自身の作品でも紹介しています。
 『試用版』では『H82』に収められていた伴奏譜と和声譜(改訂委員会編)を用意しました。聖歌隊などのアンセムとして用いることもできますし、たとえば各節を先唱者が歌い、親しみやすいおりかえし(「アラルー」の部分)のみを会衆が歌うのもよいでしょう。
 多くの会衆でゆったりと歌われても意味があるし、またギター伴奏によって醸し出される軽快なフォークソングとしての味わいもまた、素朴でいいものです。
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