教会暦
復活節
2042  暗い冬は過ぎ
Dong-tian yi wang
汪維藩 Weifan Wang, 1957
JIA-OU
林声本 Shengben Lin, 1957
(訳詩 青木瑞恵)
 『試用版』の中で唯一、中国の聖歌集『讃美詩』からの紹介です。
 各節の前半は文化大革命前、それも、日本の侵略が終結したときに書かれたと言われています。「暗い冬は過ぎ」と喜びを歌ったのも束の間、今度は文化大革命によって宗教が禁止され、教会も破壊されました。しかし、キリスト信者たちは、地下で信仰を守り続けていました。文化大革命後の1982年に書かれた後半は、多くの苦しみ、死をもたらしたその暗い時代を思い、そこからの劇的な回復を歌っています。原詩では「主よ、わたしの側に、近くにいてください」と主によって守られたという信仰が力強く、しかも詩情豊かに表現されています。長い漢詩の歴史を持つ民族であることを考えれば、当然のことかもしれません。
 「暗い冬は過ぎ_死は去り、主こそわが命」という内容から復活節に入れましたが、主を求める信仰の聖歌として、期節にとらわれず、いつでも用いることができるでしょう。 また、葬送式にも適した聖歌です。
 素直で美しい旋律は親しみやすいものです。高揚する旋律を盛大に歌い上げてもよいし、また、ゆったりとしたテンポで、ギターなどの素朴な伴奏で歌っても味わい深いものがあります。
 なお、『試用版』では原則的に、最後に「栄光の歌」(三位一体の神への賛美)が歌われている場合以外は「アーメン」はつけていませんが、この聖歌に限っては「アーメン」も含んだ作曲と考え、オリジナルのままに記譜してあります。
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