祝日
全祝日
2052  時過ぎゆけど聖徒たちは
By all your saints still striving
Horatio Bolton Nelson (1823-1913)
HOLY CHURCH
Arthur Henry Brown (1830-1926)
(訳詩 加藤 望 、訳詩協力 加藤博道)
 『古今』149番の改訂訳で、諸聖徒の祝日に用いられる聖歌です。
 『古今』は148〜150番で、すべての聖徒の祝日のための、特定の節が用意されています。それら全節の改訂訳は『本格版』に収められますが、今回は『祈祷書』の改正によって教会暦に新しく加えられた祝日、「聖ヨセフ日」(3月19日)、「マグダラの聖マリヤ日」(7月22日)、「主の母聖マリヤ日」(8月15日)の節のみを収めました。
 聖ヨセフに言及する節では、父親としてみ子イエスをヘロデ王の虐殺の手から守った、エジプトへの避難の出来事[マタイ2:13-15] に着目します。このヨセフの愛こそが、「父」をみ子にとっての神の名前とした、ということを歌います。
 マグダラの聖マリアの節では、彼女が主によっていやされて以来つき従ってきた、その彼女の信仰のゆえに、復活の朝に主から呼びかけられる、最初の復活の証人となったことを歌います。
 主の母聖マリアの節では、受胎告知・処女懐胎の畏れを乗り越え、彼女は身をもって神の栄光を世にあらわし、わたしたちの救いのために主の母となられたことを、喜ばしく歌います。
 これらの聖徒たちの存在を覚え、祝うことを通して、わたしたちは、勝利の王である復活の主イエスの聖なるみ名をあがめ讃え、彼らに倣って、今の時において福音の光を輝かせる心を新たにするのです。最終節は、三位一体の神への賛美で締めくくられます。

 聖徒たちの祝日を守ることの意義を再認識するためにも、各教会で積極的に用いられることを期待しています。
 なお、今回収められた以外の祝日に用いる場合は、当面は『古今』148〜150番の特定節の詩で歌ってください。
 メロディが多様に展開しながらも、力強く格調あるこの曲の作者、アーサー・ブラウンは、英国の教会オーガニスト、また聖歌隊長を務め、単旋律聖歌の改革や保存運動にも指導的な役割を果たした人物として知られています。聖パウロ大聖堂のための“Service Book”等の礼拝用歌集も編集しました。
 今回訳出された詩は、『H82』の編集委員会によって改訂増補が加えられた部分ですが、原作はホレイショ・ネルソンで、彼が1864年に編集した歌集“Hymn for Saint's Day and other Hymns”の中に収められています。彼はまた、J・キーブル(2006参照)の協力により、“Salisbury Hymn Book, 1857”の編集もしました。
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