礼拝諸式
聖餐式
2057  二階の広間で
An upper room did our Lord prepare
Fred Pratt Green (1903-2000)
O WALY WALY
English traditional
(訳詩 宮崎 光)
 主が十字架につけられる前夜、弟子たちと「二階の部屋 (an upper room) 」で過越の食事をともにした、あの最後の晩餐の光景を主題にした、聖餐の永遠性と派遣的な内容の聖歌です。
 わたしたちは主の弟子として、今も主の晩餐に招かれ、「よみがえりの友」である復活の主を祝っています。そこにおいては死の十字架さえも、わたしたちを立ち上がらせる恵みとなります。
 聖餐のパンと杯は、キリストが永遠に現在することの確かなしるしです。原詩の4節は「そこに終わりはない! わたしたちは平和のうちに出発する。彼はわたしたちを極みまで愛される」と確信し、主は父の家(神の国)の「どの部屋( in every room)」においても、そこに主人として迎えてくださる、というキリスト者の希望が歌われます。
 4節の訳詩に際しては、父の家のすべての部屋(every room)を、伝統的な天国ではなく、この世に来るべき神の国ととらえました。そして、この世にともに存在する主イエスの愛を受けて、歩み出すわたしたちの決意を歌っています。
 また、主が弟子たちの足を洗われて、仕えることを示された出来事にも言及していることから(3節参照)、聖木曜日の礼拝において行われる「洗足式」にふさわしい内容となっています。
 作詩のフレッド・P・グリーンは、B・レン(2034参照)、F・カーンと並ぶ、「ヒム・エクスプロージョン」と呼ばれる現代の創作賛美歌の量産期における中心的な存在です。彼はメソジスト教会の牧師を引退する間際、メソジスト派の歌集“Hymns and Songs, 1969”の編集委員を務めたことから、本格的に賛美歌を書き始めました。その数は約300編にも及び、英語圏の諸聖歌集において実に頻繁に採用されています。『試用版』では他に、2068「今主の家に招かれ」が収められています。  曲は、英国で広く親しまれている民謡です。『試用版』では、2070にもこの曲が用いられています。牧歌的で流れるような旋律によって、キリストの豊かな命と深い愛、あたたかさが醸し出されます。
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