礼拝諸式
聖餐式
2062  つつしみて近くより
Sancti, venite, Christi Corpus sumite
Bangor Antiphoner, ca. 690
COENA DOMINI
Arthur Seymour Sullivan (1842-1900)
(訳詩 森 紀旦)
 『古今』229番の改訂訳です。
 これは聖餐の奥深い意味を簡潔に表現した歌であり、1節以外のほぼすべての節を原詩から忠実に改訳しました。3節では、「救いの授与者・キリスト・神のひとり子は、その慈しみの十字架と血により勝利を得た」という意味が訳出されました。また原詩4節には、「偉大な者と小さき者のために、主は自ら祭司となり、そのいけにえとしてご自身を献げられた」とあり、これを訳詩では4、5節に配しました。(原詩5節は、 1節と意味が似通っているので訳出していません。)6節の、「天国のパンにより主は飢えを満たし、渇いた魂に生きた水を与える」7節の、「主は、この世の聖徒らを治め守る。すべての信仰者たちに永遠の命を与えるために」という内容が訳出されています。そして8節においては、「わたしはアルファでありオメガである」[黙示録1:8、22:13] の言葉を生かして、世界全体、歴史全体を治め導かれる神の偉大な存在が、今この聖餐の場面に臨在されていることを歌います。聖餐式では陪餐の聖歌として最適です。
 詩は、もとはラテン語の10節からなるもので、7世紀末のアイルランドの歌集“Bangor Antiphoner”に収められました。
 作曲は、アーサー・サリヴァン。19世紀英国の作曲家、指揮者、またオーガニストで、「ミカド」をはじめとする歌劇の作者としても、広く知られています。また、『古今』289番「わがためにゆきて」など、いくつもの優れた聖歌を残しています。
▲聖歌の解説【索引】へ