一般
2079  み座を囲める
Round the Lord in glory seated
Richard Mant (1776-1848)
RUSTINGTON
Charles Hubert Hastings Parry (1848-1918)
(訳詩 梶原史朗)
 イザヤ書6章1〜4節をモチーフにして書かれた、三位一体の意図に好適な聖歌です。「聖なる 聖なる 聖なる み神」と節ごとに繰り返される言葉が、天にも地にも、天使と人々の賛美の歌声として満ち溢れます。単純ながら広さを感じさせる詩に、壮大な曲が組み合わされた堂々とした賛美の聖歌です。
 作詩のリチャード・マントは、英国聖公会の牧師からアイルランド聖公会の主教に選ばれ、三教区の主教を歴任(兼任)しました。ラテン聖歌の翻訳家として、彼の作品の多くが“Ancient Hymns from the Roman Breviary, 1837”に収められています。
 作曲のヒュバート・パリーは、19世紀英国音楽史において忘れてはならない作曲家の一人です。スタイナー (2013参照)を継いでオクスフォード大学で音楽を教え、ジョージ・グローヴ George Grove の招きで『音楽と音楽家事典』の編纂に加わり、グローヴの後任として王立音楽院の監督を務めました。作曲家、オーガニスト、ピアニスト、教師といった音楽の分野以外にも、著作者、評論家、科学者、行政官、ヨットマンなど実に多彩な顔を持ち、様々なことに関心をもっていたことでも有名です。聖歌や合唱曲の他にもオーケストラ曲など作品が多く、19世紀後半に起こったイギリス音楽の復興を担う一人とも言われています。チューンネームのRUSTINGTONは、パリーが亡くなった地、英国サセックスの小さな村の名にちなんでつけられたものです。
▲聖歌の解説【索引】へ