一般
聖霊なる神
2083  吹きすさぶ風 波おこす風
Wind who makes all winds that blow
Thomas H. Troeger (1945-)
FALCONE
Carol Doran, 1985
(訳詩 大岡 創)
 聖霊降臨を表す歌は多くありますが、これまでの「聖霊」のイメージを一新する内容と言葉が用いられています。『古今』126番に「はとのごとくだる」と歌われている聖霊が、わたしたちの心をやわらげ、慰めを与えるイメージとは異なり、「風」「息」「炎」「舌」といった言葉で「わたしたちの魂を呼び覚ますような聖霊」のダイナミックな面を強調しています。聖霊の息吹によって送り出されようという、福音宣教の姿勢が全面的に込められているのです。
 短調の曲ですが、激しく吹きまく聖霊のような力強さを感じさせます。特に、三段目(9小節目)から「息吹きかけよ」「あふれ満たせよ」「送りつづけよ」というフレーズを、その言葉が示す力に満ちた聖霊を思い描きながら、遅くならずにしっかりと歌いましょう。
 作詩のトーマス・トローガーは、米国長老派教会の牧師で、コロラド州デンバーの神学校で説教学を教えています。ロチェスターの神学校で教えていた頃、同僚であったキャロル・ドランとの共同作業として、その神学校の礼拝のために、三年周期の聖書日課すべてに一つずつ賛美歌を書き、それらは“New Hymns for the Lectionary, 1986”で公表されました。  作曲のキャロル・ドランは、米国聖公会ロチェスター教区の信徒で、礼拝音楽委員。大学や神学校で礼拝と教会音楽を教えています。教会音楽についての多数の論文もあり、聖公会音楽家協会の指導的存在でもあります。
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