キリスト者の生活
召命と旅
2115  生まれいづるときは
うまれいづるときは
加藤 望 (1948-)
ELLIE
加藤啓子 (1947-)
 新しい聖歌の公募(第一次)によって入選した詩のために曲が書き下ろされて収められた聖歌です。「愛」を主題として応募されたものですが、作者(2107参照)は、葬送式における、後に残された者の深い思いから受けた気づきを、この詩で表現しています。

 「愛すべき人の死に出会わざるを得ない、このうつろいやすい人と世の現実にあって、去りゆく者の安らぎは、後を生きる者の不安をいやすものにはなりません。しかし『とこしえの愛』は、常なるものへ向かう愛を原義とする、普遍の愛を意味しています。栄枯盛衰、流転するふるさとではなく、去りゆく者にも後を生きる者にも約束される、まことのふるさとこそ、神の愛によってかなえられますようにという祈りです」。
(作詩者の書簡より)


 愛する人の死を思い、書かれた詩で、葬送式にふさわしい内容ですが、人は生まれたときから神さまの国へ向かって生きているというメッセージは、項目にもあるように、この世にある者の召命と旅(生き方)を示すものです。復活の希望に向かって歩む意図をもって、大斎節に用いることもできでしょう。
 作曲の加藤啓子は、東京聖三一教会オーガニストで、聖歌集改訂委員。チューンネーム ELLIE は、若くしてみもとに召された作曲者の姪の名からとられ、この歌は彼女の葬儀に際して初めて歌われました。それは、作者たちの思いを越えた、聖歌としての旅の始まりの瞬間でした。
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