月報「コイノニア」
2003年4月号 No.236


三日目によみがえり

司祭ヨハネ

イエスが、「マリア」と言われると、彼女は振り向いて、ヘブライ語で、「ラボニ」と言った。「先生」という意味である。イエスは言われた。「わたしにすがりつくのはよしなさい。まだ父のもとへ上っていないのだから。わたしの兄弟たちのところへ行って、こう言いなさい。『わたしの父であり、あなたがたの父である方、また、わたしの神であり、あなたがたの神である方のところへわたしは上る』と。」マグダラのマリアは弟子たちのところへ行って、「わたしは主を見ました」と告げ、また、主から言われたことを伝えた。
(ヨハネによる福音書20・16―18)

「週の初めの日、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリアは墓に行った」という書き出しでヨハネ福音書の復活物語が始まります。マリアは、墓から石が取りのけてあるのを見、主の遺体がそこにないことを知って、ペトロと、イエスが愛しておられたもう一人の弟子のところへ走って行って告げました。二人は先を争うように墓に駆けつけ、中に入って遺体がないことを確認しました。
「それから、この弟子たちは家に帰って行った」と唐突に書かれています。「イエスが必ず死者の中から復活することになっているという聖書の言葉を、二人はまだ理解していなかったのである」とヨハネは言いますが、それにしても、何事もなかったかのような振る舞いが不可解です。遺体がどこへ行ったか捜し回らなかったのでしょうか。捜したが見つからなかったのであきらめて帰ったのでしょうか。茫然自失して、どうしてよいか分からないままふらふらと帰って行ったのでしょうか。不可思議な事態にただ首を傾げながら帰って行ったのでしょうか。
 対照的に、マリアは墓に留まって泣いていました。泣きながら身をかがめて墓の中を見ると、イエスの遺体の置いてあった所に、白い衣を着た二人の天使が頭の方と足の方に座っているのが見えます。天使たちは「婦人よ、なぜ泣いているのか」と尋ねます。マリアが答えながら後ろを振向くと、イエスの立っておられるのが見えます。しかし、それが主だとは分かりません。天使と同じ言葉で主は語りかけます「婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか」。その後に冒頭の聖句が続きます。
 右の絵はジオットです。「ラボニ」と呼びかけるマリア。「わたしにすがりつくのはよしなさい」と言われるイエス。そのやりとりが聞こえてくるようです。イエスの手と足には生々しい釘跡が見えます。トマスが確かめたがった、あの釘跡です。
 その日の夕方、主が弟子たちの中に立たれた時、トマスはそこにいませんでした。群れから離れていたトマスは復活顕現に与りませんでした。彼は「わたしたちは主を見た」という弟子たちの証言を信じることができませんでしたが、八日後には弟子たちと共に主の顕現に与ります。トマスの物語は、啓示が共同体の中で共同体を通して起こることの例として語られます。
 一方、墓に留まって泣き続けたマグダラのマリアに、主は誰よりも早く復活のみ姿を現されました。イエスの復活についての聖書の言葉を理解していなかった点では、マリアも二人の弟子たちも同じです。しかしマリアは、遺体であるにせよ、誰よりも強く主を求めていました。彼女において、トマスと違い、復活の啓示が共同体を離れた個人において起こります。ただし啓示は個人のものでなく共同体に向けられています。「わたしは主を見ました」とマリアは弟子たちに告げるのです。


祝 ご復活!

4月20日の復活日大礼拝では、聖歌隊とハンドベルクワイアのご奉仕のもと、荘厳かつ活気に満ちた礼拝が捧げられました。今号では、それに先立つ聖週に行なわれた様々な礼拝の中から主なものをいくつかご紹介します。

■聖週について
 聖週は復活日の前の一週間です。大斎節のしめくくりとして、主イエスがエルサレムに入城されてから、十字架上でご自身を献げ、死んで葬られ、黄泉に降り、三日目に復活されるまでの激動の日々を記念します。この世に来られた主イエスのご生涯の目的が凝縮した形で示される一週間であり、毎日朝晩それぞれ固有の意味を持つ礼拝が行なわれますが、特にしゅろの主日と、聖木曜日から聖土曜日までの「聖なる三日間」は古来大切に守られてきました。

■13日(日)10時45分
復活前主日(しゅろの主日)
 復活前主日は聖週の初日で、主のエルサレム入城を記念します。「柔和な王」の姿でろばに乗ってエルサレムに入られる主を、群衆は自分の服を道に敷き、なつめやしの枝を持って歓呼して迎えます。「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように、イスラエルの王に」。全員が聖堂前室に集まり、しゅろの枝を手に聖歌七四番を歌いながら聖堂内を巡る入堂行列で礼拝が始まりました。

■17日(木)聖木曜日 19時
洗足式・聖餐制定記念聖餐式・聖木曜日の黙想
 聖木曜日の夜はいわゆる最後の晩餐です。主はパンとぶどう酒をご自分の体と血として弟子たちに与え、「わたしを記念してこのように行いなさい」と言われて聖餐を定められました。この日の聖餐式は夜行なわれます。
ヨハネ福音書によると、主は食事の席から立ち上がって上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰にまとわれ、たらいに水をくんで弟子たちの足を洗い、手ぬぐいでふき始められました。ペトロは「わたしの足など洗わないでください」と言うと、主は「もしわたしがあなたを洗わないならば、あなたはわたしと何のかかわりもないことになる」と答えられました。それにならい、聖餐式の途中で司祭が会衆の足を洗うのが洗足の式です。おのおのに「わたしは新しい戒めをあなたがたに与える。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」と言って足を洗わせていただきます。
聖木曜日の黙想に代えて、ゲツセマネの園でひとり祈られる主と、眠りこけてしまった弟子たちに思いをはせる聖歌八六番を歌います。
聖餐式が終わると祭壇の飾りをすべて取りはずし(ストリッピング)、受苦日を迎える準備をします。

■18日(金)聖金曜日 19時
  聖金曜日夕の礼拝
(十字架の主に対する崇敬と賛美)
 正午からの受苦日礼拝は、京都伝道区の習慣により主教座聖堂で行われますので、教会では朝と夜の礼拝になります。夜の礼拝では、主の御受難について黙想し、十字架の主に対する崇敬と賛美の礼拝が行われ、聖木曜日夜に聖別された保存聖体を拝領します。

■19日(土)聖土曜日23時
イースター・ヴィジル
復活のろうそくの祝福・洗礼の約束の更新・復活の聖餐式
 古来の復活徹夜祭(ヴィジル)です。主イエスが死から命へと移られた最も聖なる夜に目覚めて祈り、キリストの死への勝利にあずかる主の過越の夜の礼拝です。非常に豊かな内容を持つ礼拝で、文字通りの徹夜とまでは行きませんが、二三時から始めて夜半過ぎに復活日最初の聖餐式となります。復活のろうそくの祝福では、真っ暗な聖堂に復活のろうそくが入堂し、各自の持つろうそくに点火していきます。「キリストの光」「神に感謝」の唱和が繰り返される荘厳な礼拝です。今年は初めてヴィジルに参加した顔ぶれが多く見られました。


聖マリア幼稚園コーナー

 2003年度が始まって二週間が過ぎました。花組22名、赤組22名、緑組13名、合計57名の子どもたちと、園長以下教職員八名です。それは、下田屋一朗チャプレン先生と三クラス各々の担任の先生、花組=浅間麻衣先生と新入の北川美貴先生、赤組=藤田尚子先生と昨年9月からの団聡子先生、緑組=生谷朋子先生。そして事務の浦地愛先生です。
 今年度の最初の行事は9日の始園式。下田屋チャプレンから真新しい色の名札を胸に付けてもらって、ドキドキの子どもたちです。中には「・・・していたら緑になれへんよ。」と言われていた子どもたちもいますがみんなニンマリ。ピンクから赤色になる事も、そして、赤から緑になる事はより一層、子ども達にとって目に見える大切な成長であり、認めてもらったという安堵感を得る瞬間なのです。そして小さい人を思い遣る気持ちと共に責任が生まれ、自分達がしてもらっていた事を思い出しつつ、自分達自身でも頑張らねば・・・との心意気が見受けられるようになってきます。早速、一〇日の入園式では、新しいお友達をホールまでお連れしていました。その入園式は本当に気持ちの良い晴天に恵まれ、園庭の満開の桜の花の下での集合写真は泣き笑いのとても賑やかな嬉しい出発日となりました。次の日からは子ども達のみの登園になり、数人の泣く子を先生達が手分けをして対応します。子ども達も不安ですが、後ろ髪を引かれつつ帰られるお母さんも数人。でも、2週間経った今はもう大丈夫です。勿論まだまだ座れない子ども達もいますが、当たり前。初めての集団生活に入って、目に写るものは新しい事ばかりです。じっと座ってなどおられません。しかし、ご本の読み聞かせや紙芝居など「おもしろい!」と思った事にはしっかり興味を示し、生き生きと目を輝かせています。57人になった子ども達がホールに一同に集まるときれいな赤筋の円ができます。また、全お母さんを対象に行った母の会親睦会はホールいっぱいの大きな輪が出来ました。その自己紹介の中から、どのお母様方もこの聖マリア幼稚園の保育方針を理解して入園させて下さっている事が何よりも嬉しく、更にそのどの方もが、大切な幼児期をどのように過ごさせようか、自分の子供達がどの様に受け入れられるかを真剣に考えて選んで下さったのだと言う事が良く分かりました。それは取りもな直さず、私達教職員に課せられた責任が重大だと言う事です。今年は教職員が増えたという事もあり更にチームワークをしっかり行いながら、子供達の成長の時を見極め、受け止めねば成らない事を心に刻みました。子供達の一挙手一投足が「かわいい」と思えるマリアの先生たち。そんなに思える心を大切に、心より子供達に接していけるようこの1年も頑張りたいと思っています。本年度もどうぞ宜しくお願いいたします。感謝。
  園長 ルデア菅原さと子

北川美貴(きたがわみき)先生
 北川美貴先生は、今春平安女学院短大の保育科を卒業されました。ピカピカの幼稚園の先生一年生です。子どもと同じように、一年生は右も左も何もわからない状態です。二年目、三年目の子ども達の後輩です。今年花組の麻衣先生の下、頑張って勉強中です。命あるもの、感情あるもの…育てていくという事は大変な事です。美貴先生がどれほど吸収し、感じ、また神様からの賜物を先輩の先生方が引き出し、本人が充分に生かせるかを期待しながら見守りたいと思います。よろしくお願いします。

団 聡子(だんさとこ)先生
 団先生は、昨年度の花組のお手伝いとして九月より来ていただきました。花組の人数が定員の二五名いっぱいになったため、従来の花組担任二人制を復活させました。
 団先生は数年前(?)、他園で四年間経験しておられますが、各園での保育のあり方が異なりますので、新たに勉強してもらっています。また今年度は、花組の子ども達とともに赤組に進級していただきました。いずれも子ども達が帰ってのちしばらくして帰られるので、なかなか出会いがないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。


各部からのおしらせ

=日曜学校=
毎日曜日9時30分より朝の礼拝(礼拝堂)。
5月4日(日)お誕生日会。
11日(日)母の日プレゼント制作。
18日(日)絵画(絵の具を使って)。
25日(日)あい・愛・LOVE・アイ。
5月13日(火)午後8時より教師会。

=ジュニアチャーチ=
5月は11日(日)、18日(日)10時より朝の礼拝(礼拝堂)。
4月29日(火・祝)に春の遠足。近江八幡方面でイチゴ狩りをしました。

=幼稚園=
4月28日(月)〜5月2日(金)家庭訪問。
7日(水)花組午後保育開始。
8日(木)五歳児園児大会。
12日(月)春の遠足(植物園)。
13日(火)15日(木)グループ会。
23日(金)内科検診。

=婦人会=
4月27日(日)午後1時半より教会会館二階集会室にて4月度例会<新しい聖歌を美しく歌う>。

=まりあ寄席=
5月18日(日)午後3時半より第2回まりあ寄席。
桂吉朝「まんじゅう恐い」・桂出丸「青菜」・笑福亭生喬「野崎詣り」。

=ボーイスカウト24団=
<ビーバー隊>五月11日(日)ビーバーランド(第四錦林小学校)
<カブ隊>5月25日(日)親子ハイキング(宝ヶ池方面)
<ボーイ隊>5月24日(土)〜25日(日)合同班キャンプ(静原キャンプ場) 


ニュースとお知らせ

=教籍異動=
マリア浦地恭子さんが4月1日付で聖アグネス教会へ転出されました。
片岡霊恵さんが4月2日付で聖アグネス教会から転入されました。

=住所変更=
セホラ半谷雅子さんが転居されました。住所は教会へお問い合わせください。

=教会実習神学生=
4月19日(土)からダビデ林和広神学生(神戸教区、下関聖フランシス・ザビエル教会出身)の教会実習が始まりました。

=卒業・入学おめでとうございます=
新実玲菜ちゃん―聖マリア幼稚園入園。
吉村真綾ちゃん―聖マリア幼稚園入園。
大槻真友子ちゃん―聖マリア幼稚園卒園、ノートルダム学院小入学。
続木光君―ノートルダム学院小卒業、自由学園男子部中等課入学。
河原林皓平君―錦林小卒業、岡崎中入学。
藤原なつきさん―岡崎中卒業、日吉ヶ丘高入学。
末松めぐみさん―近衛中卒業、鴨沂高入学。
深見嘉貴さん―嘉楽中卒業、大谷高入学。
豊里祥加さん―修学院中学卒業、平安女学院高校特進Uコース入学。
佐々木敦子さん―北稜高卒業、仏教大学社会学部健康福祉学科入学。
小林丈二さん―ヴィアトール学園洛星高卒業。
伊庭菜緒子さん―玉川高校卒業、京都ノートルダム女子大英文科入学。

=逝去者記念聖餐式(レクイエム)=
4月16日(水)次の方々を記念して逝去者記念聖餐式が行われました。
1日―マリア山岡知代(1961)、
5日―立石静(1937)、
10日―中堀瑞枝(1945)、
16日―ベニヤミン津田雅之介(2001)、
21日―司祭W・J・カスバート(1929)、松田重雍(1978)、
24日―司祭アブラハム法用繁造(1975)、
29日―続木路南(1971)、ベタニヤのマリア宮西良子(1998)。

=マリア会記念式=
4月27日(日)礼拝後、宮西良子さん他マリア会関係逝去者の記念式を行ないました。

=「新しい歌を主に向って歌え―みんなでつくる聖餐式」延期=
4月27日の予定でしたが、マリア会の礼拝が入ったため延期されました。6月1日(日)になる見込です。青年会がベンチや聖卓の配置と平和の挨拶の仕方などについて知恵をしぼっています。

=教区婦人会大会=
5月24日(土)―25日(日)ガーデンパレス。申し込みは4月27日に締め切りました。

=芦生のんびりキャンプ=
5月3日(土・祝)〜5日(月・祝)、恒例の芦生のんびりキャンプが行なわれます。参加希望者は吉村さんまで。


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