5.イエスの登場と、その生涯のメッセージ


 イエスの登場については、マタイ、ルカ両福音書の始めにクリスマス物語として描かれます。彼は30歳頃から約三年間の凝縮された宣教活動を人々の間で行い、そのためにユダヤの支配層とローマ帝国に憎まれ、十字架につけられました。イエスはあまねく巡って人々を教え、また病人をいやしました。小さく弱い人々にとって、イエスの存在自体が「福音=よい知らせ」でした。神から人々に与えられた嬉しい贈り物という意味です。イエスは人びとに対して、神の思いを知り生きること、また、自分を愛するように人びとを愛するようにと教え、また、人びとはキリストを通して、神の呼びかけ、語りかけを聴き、従うようになりました。



6. イエスの十字架と復活


 イエスは、当時のユダヤ教の指導者の手で捕われ、政治的支配者であるローマ総督の命によって死刑宣告を受け、十字架上で苦しみながら死にます。彼は、三日後に復活して弟子たちに現われたと、聖書は証言しています。イエスの弟子たちは、神がイエスをよみがえらせたと信じ、また、イエスの十字架上で流した血を、人の罪の身代わりのささげものだと受け止めるようになりました。

 一度はイエスを見捨てて逃げた弟子たちは、復活したイエスに出会ってから、人々に次のことを伝える活動を始めました。その内容は、次のとおりです。・神が、この世界を愛してイエスをこの世に送ってくださったこと。・神が、愛するご自身の子であるイエスを十字架にかけ、人々の罪を赦そうとしたこと。・神は、そのイエスを復活させたこと。・復活後、神の元に戻ったイエスは、世の終わりに再び来られるということです。



7.信仰によって救われる


 以上書いたことがらを受け止め・信じる、もしくは、そのような神の存在があることを受け入れるということを、キリスト教では「信仰」といいます。このような思いを受け入れるならば罪の赦しにあずかり、どのような人でも神と人との新たな関係に生きることができると教えています。「救い主・メシア」という意味のギリシャ語である「キリスト」という言葉と、固有男性名詞「イエス」をならべて「イエス・キリスト」と書き、「イエスはすなわち救い主」であるということを表すようになりました(イエスは名、キリストは姓だというのではありません)。

 大切なことは、自分自身や人間存在の力には限りがあり、人間を超えた力=神に解決を委ねることです。そのためには決して特別な努力や功績は必要ありません。まず、信じる、あるいは「信じようとする」心が大切です。そうすれば、神さまの方から私たちに方に近づいてくださいます。「信仰によって救われる」(むずかしい言葉では「信仰義認」と言います。)のです。



8.弟子達から拡がり伝わった信仰共同体=教会


 このような信仰が、2000年にわたって代々受け継がれ、民族や国を超えて世界に広がり、世界の多くの人々がイエス・キリストを信じるようになりました。そして、神の愛とゆるしを心に受け止めて生きようとする人びとが日曜日に集って聖書の教えを聞き、また、神に自分自身を向けようとするのが、キリスト教会の礼拝だといえるでしょう。あなたも神からの招きと愛を受けていることを、ぜひ実感していただけるようお勧めいたします。


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