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統一協会問題について
日本聖公会正義と平和委員会
委員長 司祭 前田 良彦
 1998年ランベス会議報告に、キリスト教でないことがはっきりしているグループとして、いくつかの教団の名前が挙げられています。それらの教団は、日本においても布教活動を行っています。ことにエホバの証人は、輸血問題などによって、日本社会においても有名です。しかしランベス会議報告書に名前が出ていないもので、日本社会に非常に大きな問題を起こしているのは、統一協会(世界キリスト教統一神霊協会)です。

 の教団は、韓国人である文鮮明によって、韓国で設立され、1958年に日本でも活動するようになりました。キリスト教を自称していますが、教祖の文鮮明が、再臨のキリストであると主張するなど、わたしたち聖公会の信仰と相容れるものではありません。しかし統一協会の問題性は、その信仰内容にあるのではありません。日本にはさまざまな宗教が存在し、共存している社会です。わたしたちは、キリストの和解の務めを、他宗教の人々とも分かち合いたいと願っています。

 たしたちが統一協会に対して問題を感じるのは、次の点です。まず伝道方法です。統一協会は、最初決して、自分たちが統一協会の者であることを明らかにせずに、人々に接近し、勧誘します。そして勧誘された人のまじめな人生上の不安や悩みに乗じて、さまざまな手法を用いて、入信へと導いてゆくのです。入信へと至った人々は、家族、友人、社会から隔てられ、ホームと呼ばれるところで共同生活を営むことになります。家族には、入信後の消息がまったく知らされないことも多いのです。

 うして統一協会の信者となった人々に課せられるのは、新しい人を勧誘することと、統一協会の経済を支えるための活動です。この経済活動は、霊感商法と呼ばれています。ことに信者でない人に対しては、自分たちが統一協会であることを隠して、その人たちの不幸の原因を、祟りであるとおどし、統一協会が作った壷を販売します。この壷の値段は、原価が5000円もしないものですが、販売されるときには、1000万円以上になることもあるのです。

 一協会は、さまざまな関連団体を持っていますが、不当な経済活動で得た資金を、これらの団体に使用して、キリスト教にも接近してきています。

 本聖公会の信徒の中にも、子どもが入信し、その後、消息不明になっている方がいます。また統一協会を脱会したものの、心に深い傷を負って聖公会の教会に来ている方もいます。

 のような統一協会の問題に対して、日本では、まず日本キリスト教団・統一原理問題連絡会が、被害者救済活動を行ってきました。そしてこの度、日本キリスト教団の呼びかけに応じて、カトリック教会広報部、日本福音ルーテル教会、日本バプテスト連盟宣教研究所、そして日本聖公会正義と平和委員会が、統一協会問題キリスト教連絡会を結成しました。

 して、統一協会によって、経済的、精神的な被害を受けた人々の救援活動と、また統一協会の実態を人々に知らせてゆく広報活動を、協働で行うことになりました。

 たち日本聖公会は、先にこの問題に取り組んでいる教団との協働によって、統一協会をはじめとするカルト教団問題について学びを深めてゆくことができると思います。

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