NSKK 日本聖公会 東京教区
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一杯のコーヒー

主教 アンデレ 大畑 喜道

 この頃、皆様に感謝ですといって、近くのファミリーレストランでお子様ランチが39円と言う激安のセールが始まりました。確かに100円玉一つか二つで、三人の子供が食べられるなどとは嬉しい限りですが、しかしよくよく考えてみると、こんなことをことをして本当に採算が合うのだろうかと考えます。勿論、採算など合わないでしょう。別にそこで儲けなくても、他で儲ければよいと考えているのかも知れませんが、何となく不安になってしまいます。お米、お肉、野菜、丹精込めて作ったものの代価がたとえ客引きの宣伝であったととしてもそれで喜んでいていいのだろうか。どこかに無理はないのだろうか。企業が無理をするはずはありませんから、その無理は生産者にいってはいないだろうか。
  浅草でカフェをしている李司祭という同労者がいます。そこで話をしていた事ですが、儲けようとすれば安いコーヒーを手に入れることはできる。しかしその裏側では、貧困に喘ぐ生産者がいる。分かち合うと言うことは本当に日本の国でなされていくのだろうか。1杯300円のコーヒーがあるとする。そのうちコーヒー生産農家がコーヒー豆の代金として手にする金額はいくらくらいか知っていますか。2,3年前の統計ですが3〜9円だそうです。どうしてそんなに安いのか、では残りの金額は一体どこへ? コーヒー豆は生産農家から消費者に届くまで、非常に複雑なルートをたどる。そしてコーヒーの価格は、ニューヨークとロンドンの商品取引所で、農家の取り分とは無関係に決められるだそうです。大手コーヒーチェーンに豆を提供している地区では飢餓が発生し、子供たちが栄養失調に苦しんでいるということも起こっているのだそうです。適正な分かち合いということがどれほど意識されているか。私たちはもう一度この社会の仕組みについて考えてみる必要があるようにも思います。