聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

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復活節第4主日(2020/05/01)

「わたしが来たのは、羊が命をうけるため、しかも豊かに受けるためである。」(ヨハネ福音書10:10)
今日の福音が語られる前にイエスは「生まれつき目の見えない人の癒し」を行われます。(9:1以下)ファリサイ派の人々のイエスへの不信が顕わになります。彼らとの対話の過程でイエスは彼らが自分たちは「見える」と主張していることに対して「しかし、今見えるとあなた方は言っている。だからあなた方の罪は残る。」(9:41)と語られています。彼らは、肉体的には目が見えるのです。しかし、目の前におられるイエスもそのイエスが「目の見えない人」に対してなさった行為に秘められている神の働きも見えない。「見えるがゆえに見えない」という悲しい現実があります。いま、わたしたちは新型コロナウイルスの災疫で、これまでの日常生活で当然のように受け止め、享受してきた事柄から遮断され、「軟禁状態」に置かれています。そのような閉塞状態の中でこれまで見えていると思っていた事柄が、実は「見えていなかった」のではないか、無関心による無視また素通りしてきた現実に気づかされています。日常の平穏無事と思えた生活が失われて、はじめてわたしたちは「見えてきた」というか、「目が開かれた」、欲望に支配された現実の虚構が見えてきたように思います。
今日の主日は「よい羊飼い」の主日です。「よい羊飼いは命を捨てる。」それは「羊が命を受けるため、しかも豊かに受けるためである。」と語られます。「よい羊飼い」であるイエスの十字架上の死は、わたしたちの自己中心的で自己完結した罪に支配された生き方への神の愛にもとづくわたしたちの生き方への挑戦に他なりません。イエスの十字架はわたしたちの罪からの救い、また解放です。自己完結・自己実現といった欲望に支配された死に連なる命から「豊かな命」をもたらす、イエスの死と復活です。いまわたしたちがそして世界が直面している困難の只中にあって、「よい羊飼い」であるイエスの十字架と復活を信ずる信仰によって「目が開かれ」、命の豊かさを共に生きる者とされたく願います。(司祭 バルナバ 関 正勝)

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