1 聖職とは?

 「聖職と信徒」とよく言われるように、信徒はよく聖職と区別して考えられます。
まず聖職という職務の歴史を信徒との関連で概観してみたいと思います。
 いわゆる信徒奉事者とか伝道師、執事、司祭など(補佐の教役者も含めて)教役者と呼ばれる教会の奉仕者がどのようにして起こったか、まず見てみたいと思います。
聖職位のことについては祈祷書の聖職按手式の序文が参考になります。主教・司祭・執事という三聖職位の起こりについて次ぎのように書かれてあります。

 「聖書によれば、キリストの救いのみ業は、使徒たちの時代から教会の中で、多様な職務に表わされ、これに召された人びとが、その職務を持って神と人びとに仕えていた。そして、主教、司祭、執事と呼ばれる三重の聖職位がその聖なる公会を特徴づけるのものとして、ごく初期から重んじられていたことは明らかである」(祈祷書四二六頁)

 このように三聖職位というのは最初から教会に存在していたわけではありません。

最初はいろいろな職務があったのです。

聖書に書いてありますけれど、教師、宣教者、使徒、預言者とか、エフェソの信徒への手紙四章十一節以下にも出ています。「ある人を使徒、ある人を預言者、ある人を福音宣教者、ある人を牧者、教師とされたのです。」その他病気を癒す人とか、いろいろな賜物を持った人が職務をになっていたのです。

 聖職按手式にもありますように最初は多様な職務があったのです。
それが監督(主教エピスコポ )とか長老(司祭プレスビュテロス)とか執事の職務にまとめられてきたのです。その様な多様な職務が次第にごく初期から三聖職位、主教、司祭、執事に集約されてきたことが書かれてあります。