4 中世紀 −階層制の発達
中世紀は上と下の位置づけが大変好きな時代でした。
最高の天の神様から、天使、人間(男性が上で女性が下)、それから動物、植物、石、というように全部ランクがつきます。
そういうランクづけ、つまり誰が神様に一番近いか、遠いか、ということでものごとを考えました。
教会でもまず神様、キリスト、地上の世界ではキリストの代理である教皇様がいらっしゃって、次に上級聖職位(メイジャー・オーダー)である主教(監督/司教)、司祭(長老)、執事(助祭、補祭)そして下級聖職位(マイナー・オーダー)である門番(ポーター)、悪魔払い(エクソシスト)、朗読者(レクター)、侍者(アコライト)が続きます。
上級聖職者が三聖職位、下級聖職者が四つの職位です。
「悪魔払い」といっても癒しの賜物をもって奉仕するとか、「門番」と言っても教会の管理という役割があるわけです。
たてまえとしてはローマ・カトリック教会は、このような聖職位を最近まで保持していました。
神学生が助祭(執事)になるとき、形式的ではありますがこういうマイナー・オーダーの四つの段階の叙任を経て執事になっていたわけです。
最近はそうでなくなったようです。
いろいろな職務があるわけですけれども、それを上下のランクづけにするのです。
司祭、執事、信徒。信徒でも男性が上位(人間として完全とみなされ)、女性が下位(人間として不完全とみなされ)というランクづけをしたのです。
従って女性が聖職になるなどということは問題外でした。
中世紀のもうひとつの特質は、ミサを執行する職務としての聖職が教会の中心になったことです。
ミサが大事になりました。ミサでご聖体を拝領して、その恵みによって次第に聖化されて天国に近づくのです。
なにか悪いことをしたら罪の告白をして、償いをして赦しを受けて恵みに与れるようにするのです。
司祭がいないと罪が赦されず、天国に行く道は開かれないのです。
罪の赦しの恵み、ミサのご聖体に与れるのは司祭を通してです。
天からの恵みを聖職は与え、信徒は受けるという上下の立場になり、関係が分離しました。
教会のいろいろな奉仕の仕事に信徒の入る余地が狭くなりました。
聖職が信徒の生活を支配したのです。
さらに、礼拝用語はラテン語ですから、ほとんどの信徒はミサでなにをやっているのか分からないのです。
しまいには聖別祷で司祭がご聖体と杯を高く挙げる時それを仰ぎ見るだけで、陪餐もしないというようなことが起こってしまいました。(ベルを鳴らすのはその時会衆が見過ごさないように注意を向けるために鳴らした名残りです)。
中世紀では教会における信徒の果たす公認の役割は極めて限定されています。