四、 その他さまざまなこと

 聖書朗読のために、やはり気持ちの準備と、多少技術的な準備〜練習〜が必要です。
 そのためには聖書朗読を依頼する方も余裕をもって依頼すべきですし、朗読者も何回かテキストを繰り返し読んでみることが望ましいのは当然です。
 内容が何を言っているのか、誰が誰に言っているのか、理解しないまま読んだりすると、読む方も聞く方も落ち着きません。
 以下には極めて実際的なことを思いつくまま列挙してみます。
  1.  全体の速さ。会衆の規模や礼拝堂の大きさ、音響・残響によって異なります。一般には、かなりゆっくりはっきり読んでいいと思います。ただしそれも文章の流れをつかんでいないと、ただ遅いだけでは自然な抑揚やリズムがなくなり、それもまた聞きにくいものです。
  2.  個々の言葉(名詞や動詞、その他)の強さのバランス。朗読箇所の主題になっているような言葉、また一般的でない言葉(たとえば「エッファタ」とか「ゴルゴタ」等)は、自然な範囲でより丁寧に読まれるとよいでしょう。
  3.  声の大きさ、高さ、語尾の明確さ、言葉の鮮明さ、間、そして自然さ。自分の声や発音のくせを理解しておくとよいと思います。誰でもくせはあるものです。それが完全になくならなければ朗読しないなどと考えては、結局いつまでも出来ません。自分のくせを知った上で、心配りしながら丁寧に読めば十分です。
  4.  聖書朗読前後のアナウンス(ルブリック)はやはり正確に。
  5.  一番後方にいる人に、声を届かせるつもりで。ただしそれは声の大きさというよりも、読み手の心構え、心身の姿勢に関係していると思います。
  6.  マイクを使用する場合は、そのマイクのくせや性能をテストしておくこと。
  7.  礼拝の中での自分の役割の時(いわば「出番」)を理解しておくこと。礼拝に遅れないことは当然ですが、「聖書のみ言葉を聞きましょう」と言われてから、後方の席から億劫そうに出ていくのでは、礼拝の流れが崩れてしまいます。形式的な美しさだけの問題ではなく、これまでお話してきたような聖書朗読に対する喜びと大切さへの理解があれば、そうはならないと思います。「朝・夕の礼拝」の場合も同様です。この辺りの動きについては、礼拝の司式者と事前に打ち合わされたらいいと思います。
  8.  最後に朗読の場所、立つ位置について。これも各教会の構造や礼拝の形、会衆の数等によって異なってきますので、画一的なことは言えません。基本的な原則と思うのは、会衆全体から見えやすく、聞こえやすい位置ということです。聖書朗読は聖餐式の前半部分や、「朝・夕の礼拝」においては大事な「焦点」(フォーカス)です。そのことがきちんと示されればと思います。