挨拶と経緯

去る3月11日(金)午後、東北地方、関東地方など東日本一帯を襲ったマグニチュード9という国内観測史上最大の地震と、それによって引き起こされた巨 大津波は、とりわけ岩手県、宮城県、福島県、茨城県など東日本沿岸部を中心に壊滅的な被害と犠牲をもたらし、現在、死者・行方不明者約3万人という未曾有 の災害になりました。多くの人々が家族や友人、家や財産を失い、今尚、不自由な避難所生活を余儀なくされています。また、この地震と津波によって重大な損 傷を受けた福島第一原発の放射能汚染によって、住み慣れた場所を離れざるを得なくなった人々も少なくありません。

日本聖公会では、大震災発生直後、管区事務所に「東日本大震災日本聖公会対策本部」を設置し、緊急募金を全国に呼びかけました。また、「東北教区災害対策 本部」(以下「東北教区本部」)との連携により、さし当り、緊急支援として必要な物資を全国の教会に呼びかけ、中部教区センター(名古屋)と東京教区・聖 アンデレ教会に集積することにしました。そして、集積された物資を、各教区のご協力を得て、随時、東北教区本部に運び入れ、そこから支援を必要とする被災 地の教会、信徒、関係施設、避難所などに配布するという働きを行いました。

4月1日(金)に開催された「第1回東日本大震災各教区対策本部担当者の会(仮称)」(以下「担当者の会」)では、少しずつライフラインや物流も回復し始めていると判断し、4月15日をもって物資の集積を終了し、東北教区への搬入も4月中に終了しました。

4月12日(火)に第2回目の上記担当者の会が開催され、聖公会の支援活動も次の段階に向かう時が来たという共通理解を得ることができました。この大震災 の被害の甚大さ、長期にわたる回復・復興への道のり、原発被害に対する国際的責任などを考えると、被災教区だけに重荷を負わすわけにはいきません。被災地 が持つ固有の社会的背景や歴史を尊重しつつ、日本聖公会全体として組織的に取り組むことの必要性が分かち合われました。今後は、仙台はじめ被災地に全国か ら選出されたスタッフやボランティアを派遣することも含めた新しい支援体制を立ち上げ、全国的な協力のもとで被災者支援活動を行うことを確認いたしまし た。

この内容について4月14日(木)に行われた常議員会での承認が得られ、後日、「日本聖公会東日本大震災被災者支援復興本部運営委員会(仮称)」(以下 「運営委員会」)が設置されることになりました。そして4月29日(金)に第1回目の運営委員会が仙台にて開催され、仙台オフィスの開設など、今後の活動 内容や体制について検討がなされました。

運営委員会では、以下のような「被災者支援活動方針」を策定し、日本聖公会の諸教会、関係諸団体のみならず、他教派や海外の教会との連携と協働により、被 災者への支援活動を呼びかけることにいたしました。つきましては、皆様の尚一層のご理解とご協力、またそのためのお祈りを賜りますようお願い申し上げま す。
尚、去る5月6日(木)午前10時から、仙台基督教会にて行われた聖餐式をもって、仙台オフィスを開所しましたことをご報告申し上げます。

主にあって
2011年5月19日
日本聖公会 首座主教
ナタナエル 植松 誠