月報「コイノニア」
2001年1月号 No.209


降誕日と顕現日

司祭ヨハネ

民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。
(ルカによる福音書 第3章21―22節)

 1月6日は顕現日です。降誕日(クリスマス)の12日後にやって来る祝日です。日本ではクリスマスだけが飛び抜けて有名ですが、それ以外のキリスト教の祝祭日は一般にほとんど知られていません。どうかすると教会においてさえ、イースターよりもクリスマスの方がより高い祝祭気分に包まれるほどです。神秘に包まれた復活よりも、だれにでもある誕生日の方がはるかに分かりやすいということでしょうか。
 しかし実は、教会の祝日はもともと誕生よりも死(と復活)に結びついています。使徒や殉教者などさまざまな聖人の祝日はその人の誕生日でなく逝去記念日(命日)です。そもそもイエス・キリストについて、最初から祝われたのは主の復活を記念する毎週の「主の日」(主日)でした。主の死と復活こそ最大の関心事であって、誕生日を知らなくてもあまり支障はありませんでした。それどころか、誕生日を祝うのは異教の習慣だとして退けられたほどです(3世紀、オリゲネス)。
 しかしやがて、十字架の死と復活によって成し遂げられた主の救いの御業には、その前提として神が一人の人としてこの世に来られたこと、すなわち受肉・降誕が伴っていることへの考察が深められます。「まことの神であってまことの人」である主は「聖霊によっておとめマリアから生まれ」た方として、その降誕を祝うようになります。聖書には降誕の日付の手がかりがないため、実にさまざまな降誕日が案出されました。
 東方教会では比較的早くから1月6日を主の洗礼の日(顕現日)として祝っていましたが、やがて5日から6日にかけて主の降誕をも祝うようになります。この日はエジプトの暦では冬至にあたり、異教の神の誕生日として祝われていましたが、それに対置して、キリストこそ地上に現れた真の神であり、その降誕こそ神の顕現であるとされました。東方教会のクリスマスにあたるこの顕現日が西方にも伝わって行きました。一方、西方ローマの暦では12月25日が冬至で、太陽神誕生の大きな祝日でしたが、ここでも「キリストはわたしたちの新しい太陽である」(ミラノのアンブロシウス)として、クリスマスに置き換えられて行きます。こうして西方では降誕日が1月6日の顕現日から分離され、降誕節と顕現節が形成されます。
 顕現(エピファニー)とは、人間の経験世界の中に神的存在が出現すること、神の意志や力が人間に知覚できる仕方で示されることです。主の洗礼の場面では、天が開けて聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降り、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が天から聞こえます。それゆえに主の洗礼は父と子と聖霊、三位一体の顕現であるとされました。東方教会の古い典礼文は次のように述べています。「世々の王であり主であるお方は、ヨルダンの流れの中で腐敗したアダムを新しくし、水の中に潜む古き龍の頭を踏み砕く」。
 上の図は13世紀のプスコフ・イコン「主の洗礼」です。天使たちと洗礼者ヨハネは証人として周りに立ち、ヨハネは十字架をささげて、洗礼がキリストの死と復活であることを示します。上部には「わが主イエス・キリスト、神の顕現」と書かれています。
 (古谷功「イコン」より)


2001 年度  教会委員・信徒代議員決定

 2001年度教会委員・信徒代議員選挙の結果次の方々が当選されました。
〈教会委員〉12名(五十音順・敬称略)
久保田栄三、佐々木亨、菅原さと子、立石昭三、谷嘉明、辻 法子、續木創、新實康男、西逸郎、野本武、南寛、 吉村伸
(次点・森田 朋宏、次次点・續木 泰子)
〈教区会信徒代議員〉3名(同)
佐々木功、谷嘉明、服部卓爾
(次点・新實 康男、次次点・立石 昭三)
 明けて1月7日の聖餐式の中、説教に引き続いて教会委員任命式が行われました。

一月の教会委員会から

《報告事項》
▽青年会会長に住吉恵美さんが選任された。
《協議事項》
教会委員の任務分担(◎印は長)と委員以外に協力をお願いする方々(*印)
▽書記◎南寛、菅原さと子
▽会計◎西逸郎、佐々木亨
▽渉外(信伝協)◎南寛、*佐々木富美子、*大槻明子
▽礼拝(宣教)◎新實康男、立石昭三、辻法子、谷嘉明、續木創、〈礼拝音楽委員会〉◎續木創、*林悦子、*末松玲子、*吉村由理、*森田朋宏
▽営繕◎久保田栄三、野本武、*田中泰之、*服部卓爾
▽広報◎吉村伸、菅原さと子
▽礼拝堂建築実行委員会 教会委員全員および*野嶋久暉、*服部卓爾、*宗像康雄
▽芦生キャンプ場◎佐々木亨、久保田栄三
▽墓地・納骨堂◎立石昭三、*服部卓爾、*邨田志津子
▽各グループ担当
婦人会=辻法子
青年会=吉村伸
ジュニアチャーチ=吉村伸
日曜学校=菅原さと子
GFS=辻法子
幼稚園=菅原さと子
ボーイスカウト=南寛
教区日曜学校賛助会=*續木智子
教区神学生後援会=立石昭三
▽会計監査*小林格子、*森田朋宏

新教会委員の面々

パウロ 久保田栄三
ダビデ 佐々木亨
ルデア 菅原さと子
ヨシュア 立石昭三
ヨシュア 谷 嘉明
デボラ 辻 法子
モーセ 續木 創
マルコ 新實康男
パウロ 西 逸郎
マルコ 野本 武
クレネ人シモン 南 寛
ペテロ 吉村 伸

お知らせ

2001年から献金封筒の様式が変わります。

 教会あるいは教区への心からの献金であるという趣旨が、今まで以上によく分かるような形を整えるために、以下のような変更を行わせていただきたく存じます。
1.封筒表側の表記を「教会献金」または「教区献金」とさせていただきます。
2.封筒裏側の様式を次のように変更させていただきます。
(1)教会献金の月約額および教区分担金の金額表示を取り止めます。
(2)「月」の印刷(1月、2月とか)を取り止めます。
3.献金の「受け取り印」の押印を取り止めさせていただきます。
 封筒裏側の記入は、奉献の心覚えと理解していただければ幸いです。
 なお、毎主日の献金受領簿は作成しておりますので、ご希望の向きには、随時ご覧いただけます。いつでもお申し出くださいませ。
◇献金封筒裏側の記入についてお願い
 献金の際は、先ず封筒裏側の欄に月日をご記入下さい。次に、お覚えいただいている献金額(従来の月約額あるいはその内の当日献金していただける額等)を記入し、奉献していただきますようお願いいたします。


連載
京都聖マリア教会の印象(3)

司祭 ヨセフ 小谷春夫

京都聖マリア教会では毎日曜日の午前8時に英語による聖餐式が行われている。これがいつから続けられて来たのかは知らない。私が就任する前、長谷川司祭がおられたときは、タッカー司祭が司式されていて、葵橋ファミリークリニックのデッソウ姉とそのメンバーの上野さんや望月さん達が出席されていたと聞く。しかし、私の就任前のクリスマスにデッソウ姉は逝去され、タッカー司祭は主教座聖堂に移り、そこの英語聖餐式を司式されるようになった。八木主教から聖マリアの英語会衆を主教座聖堂にまとめたらとの話があった。聖マリアの信徒に相談したら止めてはならないとのこと、私でできるかと心配したがやむを得ず続けることにした。はじめ日本聖公会の祈祷書の英訳を用い、それに従った聖餐式を司式した。しかしそれは小さく見えにくく、英語にも慣れるのに苦労した。当時ウイリアムス神学館で勉強していたウイラーさんやマーレーさんが主日勤務してくれたときにはいろいろ手伝ってもらった。浜屋さんにも手伝ってもらった。
1985年シアトルの聖ペテロ教会のテモテ中山司祭と一ヶ月牧会を交換することになり、私はシアトルの聖ペテロ教会に行き一ヶ月そこで聖餐式の司式説教をおこなった。その教会は日本人二世、三世の教会で日本語のできる人が多かったが、礼拝は英語で行なわれた。また牧会も行ないアメリカ人の生活を少し勉強し、特に二世三世についてその問題の一端を知ることができた。牧会交換で聖マリアの人も中山司祭からいろいろ学んだのではないでしょうか?こういうことはもうおこなわれないのでしょうか?
シアトル滞在中にアメリカ聖公会の教会をいろいろ尋ねて回ったが、そこで会衆が使う祈祷書に大判で見易いのを見付け早速必要な部数を注文し送ってもらうことにした。それ以後はアメリカの祈祷書にしたがった聖餐式を司式するようにした。ときにはイギリス人もきたがべつに英国祈祷書を用いるようにとの注文はなかった。会衆に学校や塾の教師をしておられるアメリカ人が数人熱心に主日礼拝を守り、積極的に協力してくださるようになった。その人々のお陰でイースターやクリスマスにはオルガンも弾いてもり立ててくれたし、大齋主日には灰の礼拝をするように求められてそれを行うといった経験もした。礼拝後に簡単な朝食を用意したが、そこでは自由に英語で話し合いができるので集まる人同士の交わりも深められていった。京都には大学が沢山あるせいか、英米だけでなくドイツやインド、アフリカ、東南アジアから留学で勉強にこられたり、また教えにこられたりしている人々の出席も少なくなかった。それに聖公会以外のクリスチャンも多かったが楽しい話し合いがなされた。私がいたとき熱心に協力してくれたひとびとの多くはいまは自分の国に帰って行った。かわって新しい人々がこられているとおもう。しかし京都聖マリア教会の牧師は世界に知られた日本文化の代表都市とし、観光都市でもあるところの教会の牧師として特別な働きを今後も求められていくでしょう。信徒の人々協力も必要です。


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