月報「コイノニア」
2001年9月号 No.217


わたしたちの変容

司祭ヨハネ

 主イエスは、御自分の持つ神の力によって、命と信心とにかかわるすべてのものを、わたしたちに与えてくださいました。それは、わたしたちを御自身の栄光と力ある業とで召し出してくださった方を認識させることによるのです。この栄光と力ある業とによって、わたしたちは尊くすばらしい約束を与えられています。それは、あなたがたがこれらによって、情欲に染まったこの世の退廃を免れ、神の本性にあずからせていただくようになるためです。
        (ペトロの手紙二第1章3―4節)

 前号では、西方教会において「主イエス変容の日」が祝日として制定された経緯を述べ、西方ではこの祝日が教会歴の他の祝日から孤立しているのに対し、東方では顕現日や復活日と並ぶ最重要な祝日とされていることを述べました。その根抵に主の変容をめぐる神学的理解の違いがあることに言及しましたが、今回はこれについて考えます。
ローマ帝国が古代地中海世界を一つの世界に組み入れたとはいえ、東方と西方はもともと異質な世界でした。この異質性は一般史の中だけでなく教会生活においても現れます。面白いことに、英国は西方も西のはずれにありながら、2―3世紀頃早くもこの地に伝えられたキリスト教は東方の系統でした。西方教会が入ってくるのはようやく六世紀も末のことです。聖公会は東西両教会の伝統を引くと言えるかもしれません。
全地公会議は全世界の主教や正規代表者が集まって教会の教義・儀式・戒規等について決定する最重要な教会会議ですが、第1回公会議(325年ニカイア)から第7回公会議(787年第二ニカイア)までは東西一致して開催されました。第8回(第4コンスタンティノポリス)は九世紀後半に二つ(869―870と879―880)開かれ、西方は前者を第8回公会議とするのに対し東方は後者しか認めず、東西分裂が表面化しました。したがって東西共通の公認公会議は最初の七つだけとなります。
聖餐式でおなじみの「ニケヤ信経」は、第1回公会議と第2回公会議(381年コンスタンティノポリス)を経て成立した「ニカイア・コンスタンティノポリス信条」に基づくものです。ここで確立した三位一体の教義は、イエス・キリストは神であり聖霊も神であり、「父と子と聖霊は同一のウーシア(本質)をもつと共に、異なる三つのヒュポスタシス(実体)をもつ」と告白します。その核心は「神は人となった」ということです。東西全教会はこの信仰において一致しています。
東西教会の決定的分裂(1054年)後、14世紀のコンスタンティノポリス公会議で、東方教会はもう一つの重要な教義を確立しました。テオーシス(人間神化)=祈りを通じて人は神と一致することができる、いわば「人が神になる」ことです。人間は神と隔絶した存在でありながら、なお神に限りなく近づくことができる。冒頭の聖句、特に「神の本性にあずからせていただく」はその端的な表現です。四世紀ギリシア教父以来の東方の伝統であり、修道士たちが祈りの実践の中で与えられてきた確信を、正統信仰として認めたものです。
テオーシスの観点から「主の変容」は重要です。変容における光は栄光のキリストを現しますが、キリストの変容自体は人間の変容可能性を示します。三人の弟子が主の変容を見たのは、いつもキリストに接しながら見えていなかった真の姿を見ることができたということであり、主の変容と言うより弟子たち自身の変容を示しています。そのように、栄光のキリストを観想することによりわたしたちも自らを超越して変容することができる。この変容は人間から世界・宇宙へと及んでいき、ついに万物の創造の完成に至る。テオーシスはこの希望の表明です。それゆえに「主の変容」は顕現や復活と並ぶ大祝日となるのです。
(図は15世紀ノブゴロード派イコン「主の変容」)。


10/16
敬老の会開催

 マリア教会をいつも支えてくださっているお元気なお年寄り達をお祝いする会が10月16日(日)礼拝後、教会会館ホールで行われました。
 続木創さんの司会のもと、ともにちらし寿司をいただき、それぞれの歌や楽器演奏のプレゼントや、青年会のゲーム、日曜学校の子ども達が作った巾着袋のプレゼントを受け取り、楽しいひとときを過ごしました。特にこの日曜学校の子ども達お手製の巾着袋は、子ども達が二週間にわたり、慣れない手で一針一針縫った心のこもったもので、大変喜んでいただけました。これからもますますお元気で、ともに教会生活を過ごしていきたいと思っています。
 当教会の75歳以上の方は次の方です。(年齢順・敬称略)
速水冨貴・星野富士子・中堀孝志・塩見英子・野嶋喜代子・木村忠一・山本進・中堀妙子・白神芳子・上野久子・望月満子・古和菊子・鎌田梅子・山口ヨシエ・三井みさ子・浅井みよ・松本時子・尾崎泰子・椹木信子・木元民・速水佳子・戸川和子・東清士・佐々木功・東節子


募集
クリスマス電飾のアイデア

 まだまだ暑い日が続きますが、もはやクリスマスの準備を…。アドベントに入ると町はクリスマスカラー一色になります。各教会もいろいろと趣向を凝らしてクリスマスの飾り付けをしておられるのを見かけます。当マリア教会も旧礼拝堂時代には、丸太町通り側にあったシベリア杉に青年が登り、電飾飾りを付けて美しく飾ったものでした。礼拝堂を建て直した時点で、そのシベリア杉も切り倒され、電飾に使う大きな木がなくなってしまいました。現在は、まだ小さな若い杉の木に電飾飾りを付け点滅させているのと、塔屋の東側に、古い電飾をつり下げているのですが、大きな塔にはあまりに貧相で、また、丸太町通西側からは全く見えず、効果的であるとはいえません。現在のマリア教会の礼拝堂によりマッチしたクリスマスの飾り付けについて何かいい案をお持ちの方、ぜひご提案ください。ふとした思いつきでも結構です。かなりの労力が必要でもOKです。何なりとお近くの教会委員までお知らせください。


横浜教区・礼拝音楽研修会に参加して

 「礼拝音楽の源流に触れよう」というタイトルのセミナーが8月22〜24日の日程で清里の清泉寮で行われ、とても充実した3日間をすごすことができました。
 カトリックの聖務日課とグレゴリオ聖歌、そして英国聖公会の唱詠晩祷の成立と音楽的伝統などのお話を青山学院大学の那須輝彦助教授からお聞きし「就寝前の祈り」をグレゴリオ聖歌で、「夕の祈り」をアングリカンチャントでそれぞれ実習しお捧げすることができました。最終日には口語での「マリア・ミサ」で清里聖アンデレ教会において聖餐式もお捧げすることができ、ほんとうにハードで忙しいタイムスケジュールでしたが、他教区の礼拝音楽奉仕者の方々やこれから育ってゆくであろう若い予備軍達と共に過ごす礼拝音楽三昧の生活は本当に素晴らしいものでした。何より清里というすばらしいロケーション、参加者39名中、京都教区から10名(京都聖マリアからは4名)ということで、ちょっとリゾート気分も楽しみつつ、礼拝での音楽のあり方を改めて考えることのできた研修会でした。 
  (セシリア・末松玲子)


ご予定ください!10/21
野外礼拝

 10月21日(日)に野外礼拝を行います。場所は京都大学上賀茂試験地です。
集合場所、時間、内容等はまだ未定ですが、日程の方だけでもとりあえずご予定ください。詳細は追って皆さまにはお知らせいたします。
特に車をお持ちの方、分乗をお願いすることもありますのでよろしくお願いします。


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