月報「コイノニア」
2002年2月号 No.222


イスラームをめぐって(五)

司祭ヨハネ

慈悲深く慈愛あつき神の御名において。
讃えまつれ、汝の主の御名を。至高なるお方。
創造し、ととのえたもうお方。
決定し、導きたもうお方。
牧草を育て、黒い枯れ草となしたもうお方。
(中略)
畏れる者は、教訓を受けいれようが、
もっともあわれな者は、これを避けようとする。
そのような者はいずれ業火にはいるが、
その中で、死ぬことも生きることもできない。
おのれを浄める者は、かならず栄える。
主の御名を唱え、礼拝を守る者は。
いや、おまえたちは、この世の生活を好む。
来世こそ最善にして永遠なるものであるのに。
このようなことは、昔の啓典にも記されている。
アブラハムやモーセの啓典にも。
   (第87章「至高なるお方の章」)

 「六信」すなわち神・天使・啓典・預言者・来世・天命のうち、来世と天命について見ます。
来世は復活と結びつきますが、キリスト教の影響を強く受けながらも独特のものがあります。第一章「開巻の章」(11月号)で、アッラーは「審判の日の主宰者」と呼ばれます。審判の日の恐るべき有様は「出来事の章」(56)など各所に記され、きわめて具体的です。大地が大揺れに揺れ、山々がこなごなに砕けて飛び散る日、人間は三つの組に分けられる。率先して先頭を進み、アッラーの近くに召されて至福の楽園に入る者たち、これは昔の者に多く後の世の者は少ない。同じく楽園に入る右の組の者たち、これには昔の者も多く後の世の者も多い。楽園はあたかも現世の快楽を与えてくれる所のように描かれています。一方左の組に入れられるのは、以前に贅をつくし、神を偽りとして傲慢に振る舞い、大罪を犯した者たち。業火の炎に焼かれ、煮えたぎる熱湯を飲む。そこには涼しさも楽しさもまったくない。
復活の日、「集団の章」(39)によれば、大地はすべて神の御手にひと握りされ、天は神の右手に巻かれる。ラッパが鳴り響き、大地は主の光で輝き、帳簿が備えられ、預言者や証人たちがみな列席して裁きが行われる。すべての者がその所業に十分報いられる。背信者たちは集団をなしてゲヘナへと追い立てられ、主を畏れる者たちは集団をなして楽園へと駆り立てられる。そこでは天使たちが玉座をとり巻き、主の栄光を賛美して「万有の主、神に栄光あれ」と唱える声が聞こえる。
来世と復活、最後の審判、天国と地獄の存在は、人間の意志と行為の自由が認められていることを意味します。しかしそれと対照的な天命の思想もイスラームの特徴です。冒頭の句にあるように、アッラーはすべてを創り、ととのえ、行く末を定めて導き給う方です。ここから一種の宿命論が出てきます。自由と宿命はイスラーム神学においてもしばしば論争されてきました。しかし、ムスリムがよく口にする「イン・シャー・アッラー」(神の御心のままに)は、事実上宿命論に立っているようです。すべてが神の御心のままにしか行われないとすれば、人間の努力や約束など最初から無意味です。「明日何時に会いましょう」と言うと「インシャラー」、約束を違えても「インシャラー」だ、と嘆く非ムスリムの声はよく聞くところです。

(写真はムスリムの葬儀。遺体をモスクに運び、葬儀礼拝の後に土葬する。埋葬は右脇腹を下に、顔をメッカに向けて横たえるので、墓はすべて同じ方角に向く。火葬は地獄の業火に等しいとしていかなる場合も禁じられる。葬儀全体は急いで執り行われる。)


2002年度
受聖餐者総会開催

2月17日(日)
礼拝堂にて

去る2月17日、礼拝堂において信徒総会が開催されました。午後1時5分、出席者48名、委任状56通、合計104名。現在受聖餐者195名の過半数の出席を確認して、議長下田屋司祭が総会の開会を告げました。開会祈祷の後、教勢報告と各部門代表による活動報告に続いて、会計報告、教会の目標と行事計画、予算について議事が進められ、各議案とも原案通り承認されました。
2002年度の教会の目標は、「ハレルヤ、心を尽くして主に感謝しよう。神をたたえる人の集いの中で。(詩編111・1)」。「神をたたえる人の集い」として主日礼拝出席常時百名超、現在受聖餐者三百名という具体的な数値目標も示されました。厳しい財政状況の中でも次世代への宣教に関する予算は増額されています。また、牧師給与のあり方についても予算案の中で示され、幼稚園と教会との関係を信徒全員で考える年にふさわしい総会となりました。

礼拝堂建実行委員会解散

1998年、礼拝堂建築が具体化するに伴い、礼拝堂建築委員会と募金委員会を合同して礼拝堂建築実行委員会が発足しましたが、建築献金期間が01年末で終了すること、完成後の定期点検は営繕担当が対応すること、により委員会の任務は終了したと判断し、同委員会を解散することになりました。
谷委員長からは、教会員による内部献金約1億2千4百万円をはじめ、外部献金約2千7百万円、バザー等の事業献金約9百万円など、総額約1億6千万円の献金が献げられたことに対する感謝が述べられました。なお管区からの借入金残額300万円は今後一般会計から返済されることになります。建築献金は今後も受け付けていますので、諸事情により約束額に対して献金が遅れている方は、特にご協力をお願いします。


礼拝音楽委員会

礼拝音楽委員会のもとにハンドベルクワイアが発足しました。林悦子さんの指導のもと、昼の部、夜の部に分かれてそれぞれ月二回の練習が行われています。多くのメンバーが60歳以上という年齢も感じさせず、楽しい雰囲気で演奏しておられる姿は皆さんもご存知のとおりです。
また、昨年のクリスマス深夜ミサで行われた文語唱詠聖餐式「マリア・ミサ」は、今年も深夜ミサのほか、6月、9月の第五主日にも実施されます。
4月から導入される「改訂聖歌集試用版」への準備や昨年病気のため中止となったオッカー先生のコンサートが11月17日に開催されることなども報告されました。


幼稚園と教会について

幼稚園は学校法人として法人格的には教会と別物ですが、教会の幼稚園であり宣教面で大切な役割を果たしています。少子化の現状を踏まえ、教会にとっての幼稚園の意義、発展のための方策について検討するため、昨年5月、教会委員会のもとに聖マリア幼稚園中・長期ビジョン検討委員会(新實康男委員長)が設置されました。同委員会は、幼稚園の理念と特色、幼稚園と教会の連携の強化、幼稚園の経営基盤の強化、幼稚園創立百周年についての提言を行いました。今年はこの提言をもとに信徒全員で幼稚園と教会の関係を考えていく年になります。
幼稚園では補助金等の実際の収入時期が支払時期より遅れるため、教会運営資金(特別会計)から三百万円を運転資金として幼稚園に貸し付けた旨報告がありました。この貸付金は補助金等の収入に合わせて02年度に返済されます。
牧師給与について、歴代の司祭は幼稚園の園長職を兼務したため幼稚園が負担してきました。下田屋司祭は着任以来園長でなくチャプレンとして関わっており、本来教会が基本的に全額負担すべきところを、従来のまま幼稚園負担となっていました。これを正すため〇二年度の幼稚園寄付金を約150万円増額するとともに、着任時に遡及して精算するために二年分相当の300万円を幼稚園宛特別寄付金として特別会計に計上しました。
                         (書記・南寛・菅原さと子)


BSK24団も総会開催

 2月16に日(土)午後六時半より佐野屋においてボーイスカウト京都第24団の総会がありました。ビーバー・カブ・ボーイ・ベンチャー・ローバー隊報告の後、懇親会で楽しい時を過ごしました。


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