月報「コイノニア」
2002年8月号 No.228


イスラームをめぐって(11)

司祭ヨハネ

 アブド・アッラー・ブン・アムルによると、或る人が預言者に、どのようなイスラームが最もよいか、と尋ねたとき、彼は「飢えた者に食物を与え、知っている人にも知らない人にも、平安あれ、と挨拶をすることだ」と答えた。 (ハディース『信仰の書』5・1)
 アナスによると、預言者は「汝らのうちの誰でも、自分自身のために望むことを兄弟のために願うようになるまでは、真の信仰には達していない」と言った。  (同6・1)
 アナスによると、預言者は「汝らのうちの誰でも、自分の親や子そして他のすべての人びとよりわたしを愛するようになるまでは、真の信仰には達していない」と言った。 (同7・1)

 コーラン(クルアーン)に次いで重要な聖典に「ハディース(伝承集成)」があります。ハディースは弟子たちによって伝えられたムハンマドの言行録です。アラビアの諸部族は古くからそれぞれの祖先の先例を「スンナ」と呼んで重視してきました。ムハンマドは啓示を受けて神の言葉を伝え、それがコーランとして結集されましたが、神の啓示はコーランの言葉だけでなくムハンマドが人間として語った言葉と行いにも表現されていたはずです。したがって、イスラームにとってはムハンマドの言行がスンナとなります。しかも、神の使徒ムハンマドのスンナは、各部族に伝わる祖先のスンナを超える最高のスンナとして、アラブ諸部族を統合するものとなります。このムハンマドのスンナが後世に集成されてハディースとなりました。
ハディースは一つではありません。ムハンマドのスンナとして語り伝えられたものは膨大なもので、その中から真贋を判定し厳選して集成されますから、集成者によってさまざまに異なるハディースが生まれます。たとえばイスラーム正統派と言われるスンナ派が最も権威あるものとしているアル・ブハーリー集成(九世紀)のハディースは、彼が収集した60万のスンナの中から真正と判定された7300を収録したと言われます。偽作されたスンナが非常に多かったということです。ブハーリーのハディースは『サヒーフ・アル・ブハーリー』と呼ばれますが、「サヒーフ」とは確実なものを意味します。
 ハディースの内容は信仰・儀礼・戒律など宗教的な事柄だけでなく、契約・商取引・結婚・離婚・扶養・相続から飲食・服装に至るまで、公的・私的な人間生活全般にわたるムハンマドの言行が、分類された逸話の形で収録されています。このようにハディースはイスラーム生活の根本文書であるだけでなく、コーランに明確な指示がないような問題について、コーラン解釈学の根拠を与えるものともなりました。
冒頭に引用した句はブハーリーのハディース(牧野信也訳)でたまたま目にしたものです。福音書にある主イエスのお言葉とどこか響きが似ていませんか?
サヒーフと呼ばれるものには他にムスリムという人が編集したもの(『サヒーフ・ムスリム』)があります。しかしやがてこの二つのサヒーフだけではイスラーム世界を完全に体系づける根拠として不十分になり、サヒーフより確実性の薄い(「スナン」を冠して呼ばれる)四つのハディースがさらに編集されました。スンナ派はこれらの六書をコーランにつぐ権威をもつ基本聖典として認めています。一方、シーア派はこれらを認めず、アル・クライニー集成のハディース(『アル・カーフィー』十全の意)をはじめとする四書を認めます。
コーランの絶対性とは対照的なハディースの多様性と変移性は、アラブ世界を超えて拡大して行くイスラームに、異質な文明を吸収し変化して行く柔軟性を与えるものでもありました。


マリアの夏〜キャンプ・行事報告特集

日曜学校キャンプ

○7月20日(金・祝)21日(日)、復活学園北小松キャンプ場にて。

 今年のテーマは『おもいっきり!きたこまつ!!』。おもいっきり琵琶湖で泳ぎました。肝試しやキャンプファイヤー、花火をして、おもいっきり夜の時間を楽しみました。おもいっきりキャビンの外装を変えていたグループもありました。


ジュニアチャーチキャンプ

○8月3日(金)〜5日(日)、当教会芦生キャンプサイトにて。

 今年のジュニアチャーチキャンプのテーマは、「足(た)る」。昨年に引き続き二泊三日ということで余裕を持ったプログラム構成ができ、毎日聖書研究の時間を取るなど、有意義キャンプになりました。
 ワークでは、「芦生に祭壇を・・」ということで、川原から大きな石を運び、セメントでモルタルを練り、石を固めて素敵な祭壇を作りました。早速、その祭壇の前で礼拝を献げることができました。
 キャンプファイヤーも一日目にホーリーファイヤー(静かに火を囲んで行うキャンプファイヤー)、そして二日目にボンファイヤー(普通の賑やかなキャンプファイヤー)の両方を経験できました。
 三日目には去年大好評だった「ディスクゴルフ大会」で大変盛り上がりました。

素敵な祭壇ができました。
旧礼拝堂の煉瓦も使用しています。


京都教区小学生キャンプ

○7月29日(月)〜31(水)、復活学園北小松キャンプ場にて。

 当教会からはキャンパーとして吉川晟史、細田拓の二名、スタッフとして小林由布子が参加。テーマは「笑顔がキラリ☆」。聖書研究、きもだめし等盛り上がりました。また野外料理にも挑戦。マリアのパワーがキラリ☆としたキャンプでした。


京都教区中学生キャンプ

○7月30日(水)〜8月3日(土)、復活学園北小松キャンプ場にて。

 当教会からは末松めぐみが参加。京都聖マリア教会の本領を存分に発揮してきたようです。日程の調整がうまくいって来年こそたくさんの参加をしたいところです。


24団ビーバー隊キャンプ

○7月20日(土)〜21日(日)、京都府立ゼミナールハウスにて。

 今年のビーバー隊キャンプは「森呼吸<しんこきゅう>・森とおともだち」をテーマにして行いました。今年は乗馬に初挑戦。「うわー、でっかい!」とビビリながら乗せてもらった馬にも、数周廻るうちに得意顔。手を離すまでの余裕も出てきました。
 殆どのスカウトが9月には卒業。いい思い出が出来ました。


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