月報「コイノニア」
2003年9月号 No.241


めでたし、恵みにみちたマリア

司祭ヨハネ

六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」      ルカによる福音書一・26―28

 ジオットによる、天上における天使ガブリエルの派遣の図を前号で見ました。その図の左下と右下に、内陣のアーチを隔てて、天使ガブリエルとおとめマリアが向き合っている姿の一部分が見えていました。その天使とマリアを取り出して並べたものが下に掲げた図です。よく目にする受胎告知図のように一枚の絵として描かれているのではなく、二人の間には内陣があり、その奥に至聖所と祭壇があることに注意しましょう。二人の間は至聖所によって隔てられ、天的存在と地上の人間との距離を表わすかに見える一方、この無限の隔たりが祭壇の媒介により結びつけられて一つの出来事を構成する。そのような強い緊張関係が感じ取られます。
ここで「天使」と訳されているギリシア語「アンゲロス」は、旧約におけるヘブライ語「マルアク」と同様、「使い」を意味します。神の使者として天から遣わされて、人間に神の言葉を伝え、教え、導き、守護するのがその主な役割です。天使にはまた、常に天上の神の傍にあって神に仕え、絶えず神を賛美する役割を担うものもあります。いずれも人間を超える力をもつ霊的存在でありながら、神によって創造された被造物であるとされます。
ディオニシオス・アレオパギテース(5世紀―6世紀前半)は『天上位階論』で天使の位階を論じ、最上位のセラフィム、次にケルビム、以下順次下って、王座、主権、勢力、権威、支配、大天使、天使に至る九つの位階を想定しました。セラフィムとケルビムが天上で賛美の役割を果たす一方、使者の役割を担うのがガブリエル、ミカエル、ラファエルに代表される大天使です。最下位とされる一般の天使は、御降誕の夜羊飼いたちに現れたように、さまざまな場面に複数で登場します。
マリアに現れたガブリエルは聖母の純潔の象徴として白百合を持って描かれることが多いのですが、ジオットではほどけた巻物のようなものを手にしています。中世ドイツの絵に、天使が告げた「アヴェ・マリア」の言葉が書かれた巻物を持つものがあります。ジオットもそのような意図を持ってこれを描いたのかもしれません。一方、マリアは右手に聖書を持っています。マリアがイザヤ書の「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む」という箇所を読んでいたまさにその時に、受胎告知を受けたという伝承によるものでしょう。
教会暦で9月29日は「聖ミカエルおよび諸天使の日」の祝日です。天使の位階はともかくとして、上に見たような役割を担う天使の存在と働きを、教会は初代以来受け入れて大切に伝えてきました。天使崇拝でなく天使否定でもなく、聖書の天使をあらためて見直す期節です。


9/6
京都教区主教按手式

 9月6日(土)京都教区に新しい主教様が誕生しました。ステパノ高地敬主教。午前十時から主教座聖堂で主教按手式・着座式が行われました。
 全国からの主教様18名をふくむ56名の大プロセッションで入堂、パイプオルガンに加え、管楽器の奏楽、厳選されそのための練習を重ねた聖歌隊の奉仕、手話の同時通訳等、洗練された聖餐式になりました。式の出席者はなんと600名以上。とうてい主教座聖堂には入りきれず、平安女学院室町校舎に第二式場を設けてビデオの同時中継をし、4名のパテン、8名のチャリスの分餐により聖餐にあずかりました。
 式後の祝賀会も400名以上の大盛況。ザ・パレスサイドホテルと教区センターを併せてこちらも第五会場まで使い、同時中継の画面を見ながら楽しいひとときを過ごし、参会者の親交を深めました。
 ステパノ高地敬主教は現在48歳。主教としての任期は22年間あります。
 マリア教会では、11月29日(土)の宣教百年記念礼拝においでいただくことになっています。

=新主教祭服募金の報告=
当教会の募金総額は14万9千円でした。ご協力ありがとうございました。なお、教区全体としては目標100万円に対し内外合わせて約190万円に達しています。

教区の青年が作った
オリジナルTシャツも
気さくに着てくださいました。


二年ぶりのバザー開催!

皆で楽しめる
バザーを創りましょう

2003年度バザー委員長
    キリル 森田朋宏

 皆さん、もうすぐ秋の大イベントが近づいていることにお気づきになっていますか。日本シリーズ?いやいや11月3日です。そうです、あの恒例のバザーがやってきます。「バザー実行委員長、今年は誰がなりますか?」―― とある夏の教会委員会での一幕。私はまさかその数分後に、自分が委員長に任命されるなどとは夢にも思わず、他人事のように状況のなりゆきを見守っていました。あとは推して知るべし。獲物をしとめたような諸先輩方の熱い視線を一身に受け、かくしてド素人委員長が誕生してしまったのです。でもご安心ください。幸い最も頼みとする前回の委員長南兄がボーイスカウトより副委員長として支えてくださいますし、なによりも経験豊富、知恵も豊富、体格も、いや肝もすわった先輩委員がぐいぐいと引っ張ってくださると確信しています。そんな中、遅まきながら第一回委員会を、T優勝決定のあの瞬間とほぼ同時刻に開くことができました。本当に幸先よいスタートです。
 何よりもまず、皆さんの積極的な協力があってこそのバザーです。教会の常連信徒だけでなく、普段は忙しくて教会から足が遠のきがちなあなたも、ぜひぜひバザーに参加してください。私たち聖マリア教会は教区でも最も大きな教会の一つに数えられています。しかし、いざバザーのような大イベントとなると、実際の働き手は本当に限られてきます。私も数年前のバザーで、普段はあまりお目にかからない青年が、前日から汗を流して働きを共にし、当日も大きな力になっておられた様子を思い出し、今年のバザーもぜひ一人でも多くの方がこのような働き手として参加してくださることを願っています。皆さんも、ぜひ知人・友人を誘っていただき、バザーに参加する楽しみを知ってもらってください。
 そして、なんといってもバザーはこれからの教会、ボーイスカウトの活動を支える収益事業の柱です。そのためには、一人でも多くの人にチケットを買っていただきたい。コンサートのチケット、寄席のチケットとチケットづくしで、さしずめ「ぴあ教会版」のようになってきましたが、やはりバザーはチケットの事前購入の多寡が、集客力の決め手です。そしてもう一つ、寄贈品の提供をお願いします。循環型社会の実現に向けて3R(リデュース・リユース・リサイクル)が叫ばれる中、皆さんのお宅に眠っているモノの提供は社会的にも意義あることです。寄贈品の売上がバザーを制す、といっても過言ではありません。ぜひ魅力ある品揃えで、百均ショップに負けないくらいの売り場を作りましょう。以上、実行委員長からのご挨拶とお願いです。どうかよろしくお願いいたします。


芸術の秋!

マリア教会へお出かけください。

9月28日(日)午後4時半からはJSバッハ・教会音楽の夕べ。大人気の本山秀樹さんの解説付きのコンサートです。
一方、10月19日(日)午後3時半は第3回「まりあ寄席」。出演は笑福亭福笑、桂出丸、桂吉坊。
どちらもチケットはまだございます。すてきな時間をお過ごしください。


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