月報「コイノニア」
2003年12月号 No.244


これはわたしの愛する子

司祭ヨハネ

イエスは洗礼を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のように御自分の上に降って来るのをご覧になった。そのとき、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と言う声が、天から聞こえた。
          マタイによる福音書3・16―17

 1月6日の顕現日は、もともと東方正教会で主イエスの洗礼を祝う日でした。主の洗礼は、「これはわたしの愛する子」と言う天からの声によって神の御子であることが明らかにされた、キリスト顕現の出来事と理解されたからです。やがて、神の子の受肉=降誕こそがキリストの顕現と考えられ、顕現日に主の洗礼と降誕を併せて祝うようになりました。さらに、顕現を示すと考えられた他の事柄も顕現日に結びつきます。四世紀には、一月五日の深夜に降誕と羊飼いの礼拝と星の顕現を祝い、六日には博士たちの礼拝とイエスの洗礼を祝ったと伝えられています。カナの婚宴における最初のしるしやパンと魚で大勢の人々に食事を与えた奇跡もキリストの顕現として祝われました。
私たちの教会暦では、1月6日の顕現日に博士たちの来訪を記念し、顕現後第一主日(2004年は1月11日)に主イエスの洗礼を記念します。また顕現後第二主日には、C年だけですが、カナの婚宴の奇跡が朗読されます。かつて顕現日に集中していた顕現の出来事を分散して記念する形です。
 さて、最も古くから顕現として祝われた主の洗礼について見ましょう。主が洗礼者ヨハネからヨルダン川で洗礼を受けられたこと、ヨハネは預言者イザヤが語った「主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声」であり、彼の後から来られるイエスを証しするのがその使命であったことを、四つの福音書がそろって記しています。キリスト教会が主イエスを語るとき、洗礼は欠かすことのできない重要事でした。
 冒頭の聖句にあるように、天が開いて聖霊がイエスの上に降ったこと、および「これはわたしの愛する子」という天からの声が聞こえたこと、この二つの事柄に洗礼の重要性が託されています。この二つについては共観福音書が一致して述べています。(聖霊が鳩のように降って来るのをイエスがごらんになったというマタイ、マルコと、第三者にも見えたかのようなルカの記述のように、微妙な違いがいくつかありますが、ここでは深入りしません。)
 一方、ヨハネ福音書ではこれら二つのことを直接的に描く代わりに、洗礼者ヨハネによる証言の形で語ります。洗礼者ヨハネが、「わたしは”霊”が鳩のように天から降って、この方の上にとどまるのを見た」と証言し、神がヨハネに「”霊”が降ってある人にとどまるのを見たら、その人が聖霊によって洗礼を授ける人である」と言われたので、「わたしはそれを見た。だから、この方こそ神の子であると証ししたのである」とヨハネは語ります。
 イエスは神の子であるという天からの宣言と、聖霊がその上にとどまり聖霊によって洗礼をお授けになる方であるということが教会の信仰にとって決定的に重要でした。主の洗礼は三位一体の神の顕現であり、さらに言えば主イエスご自身が神の顕現であることを意味するからです。

 図版はジオット「イエスの洗礼」


Merry Christmas!

21日(日)10時45分
降臨節第四主日・総員礼拝・祝会

 21日(日)の礼拝は降臨節第四主日(紫)として守ります。聖歌隊、ハンドベルクワイアがご奉仕しました。
 礼拝を終えると一足早いクリスマス祝会。お馴染みの持ち寄り形式で、婦人会の方々を中心に腕に縒りをかけた逸品が並びました。ゲームあり歌ありと楽しいひとときを過ごしたあと、子供たちお待ちかねのサンタさんも登場。楽しい一日を過ごしました。

20日(土)10時
日曜学校クリスマス礼拝

 日曜学校は礼拝後、バプテスト老人保健施設にキャロリングに出かけました。車椅子に乗った入院患者さん達の前で元気な歌声を披露しました。

23日(水)13時30分
ボーイスカウト24団クリスマス礼拝

 ボーイスカウトもクリスマス礼拝。その後ホールで楽しい会を持ちました。

24日(水)23時30分
降誕日第一聖祭(深夜聖餐式)

 ミッドナイト礼拝は聖歌集第五部の聖餐式U(プレイン・ソング)のB、いわゆる「マリア・ミサ曲」による歌ミサです。約四十名の出席で盛況でした。教会員だけでなく、市民新聞を見て来られた方々が十名近くおられるなど、例年にない出来事がありました。

24日(水)19時30分
クリスマスイブ・キャンドルサービス

 クリスマスイブに行われるキャンドルサービスは四年目となる「九つの日課による唱詠晩祷」。聖書朗読・黙想講話と黙想・お祈りを各日課ごとに行う形で、蝋燭の光のもと礼拝を捧げました。聖歌隊の歌声が聖堂に響き渡り、はじめて日本の教会のクリスマスを経験した英国人も含めて数人の参会者から「非常に感動した」との感想も寄せられました。

25日(木) 降誕日 7時
第二聖祭(早朝聖餐式)
25日(木) 降誕日 10時45分
第三聖祭(主要聖餐式)

 降誕日には伝統的に三つの聖餐式が行われます。
@24日深夜の聖餐式は降誕日第一聖餐式です。マリアミサ曲には聖公会の他の教会の方々も大いに関心を持っておられます。
A25日早朝7時から第二聖餐式です。なお、外国人旅行者からの問い合わせが多いので、今年はじめて英語聖餐式を八時から行うことにしました。
B10時45分から降誕日第三(主要)聖餐式です。日本の暦では平日のため、仕事がある方も多いでしょうが、この日が本来のクリスマスです。この第三聖餐式では江口詩織さんと北川美貴さんの聖洗式を行いました。


12月号その2へ