月報「コイノニア」
2004年8月号 No.252


人の子を裏切るその者は不幸だ

司祭ヨハネ

一同が席について食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている。」弟子たちは心を痛めて、「まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。イエスは言われた。「十二人のうちの一人で、わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者がそれだ。人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった」
         マルコによる福音書14・18―21

 ジオットによる最後の晩餐の場面です。正面には壁を背に五人の使徒がこちら向きに座り、手前のベンチには五人が向こう向きに座っています。左手の壁を背にイエスともう一人の使徒が右向きに座り、イエスの胸に寄りかかる弟子はその足許に跪いているようです。この食事の席全体を天蓋のようなものが覆っていますが、その柱は異様に細く、下部は透明で背後の人物が透けて見える、非現実的な存在です。天蓋の上にはジオット特有の空の色がわずかに見えます。天蓋は同時に建物の屋根を表すのかもしれません。この場面におけるこの空間的枠組みは、そっくりそのまま洗足の場面(次号)でも用いられます。
さて、左端に座って、イエスと一緒に右手を鉢に差し延べているのがイスカリオテのユダです。「わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者」はマタイとマルコの表現です。ルカは「わたしと一緒に手を食卓に置いている」、ヨハネは「わたしがパン切れを浸して与えるのがその人だ」と言います。一方、イエスの胸に寄りかかる弟子はヨハネだけに登場します。ジオットはここでも複数の福音書を組み合わせて描きます。
人物の頭部についている光輪に注目しましょう。後ろ向きの人には顔の前に描かれ、光輪が物体的なものでなく人物の属性を表すシンボルであることを示しています。さらに、この場面での光輪は、イエスだけが黄金色で、他は黒っぽい色で描かれているのが特徴的です。ジオットのこの一連の壁画で、他の絵ではすべて黄金色の光輪が用いられており、使徒たちの光輪が黒っぽいのはこの場面と次号で見る洗足の場面の二つだけです。もう一つ注目すべきことは、イスカリオテのユダにも控え目ながら光輪が描かれていることです。光輪はユダが「十二人のうちの一人」であったことを示します。しかしその光輪は神の栄光の反映としての黄金色ではなく、輪郭もぼやけ、闇が浸透しているかのようです。実は前号で見た、祭司長から金を受け取ったユダには、影のような黒い円盤(反光輪と言うべきでしょうか)がついていました。イエスを引き渡す決定的な行動をとったユダの接吻の場面(4月号)では、もはやユダに光輪はありません。
「あなたがたのひとりがわたしを裏切ろうとしている」とイエスが言われたとき、弟子たちは「まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めたとあります。彼らの誰もが、自分がイエスを裏切る可能性を秘めていることに気づいて不安になったのでしょう。「人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く」。そのためには誰かがユダにならねばならなかったし、誰がユダになっても不思議はなかった。使徒たちにユダと共通する黒っぽい光輪を描くことで、ジオットはこのことを表現しようとしたのではないでしょうか。


マリアの夏
〜キャンプ・行事報告特集

日曜学校キャンプ

○7月18日(日)19日(月・祝)、復活学園北小松キャンプ場にて。

 今年は27名の小学生、大人や幼稚園児、高校生を入れて総勢58名で一泊二日を過ごしました。小学校がまだ夏休みに入っていないこと、塾等で子ども達自身が忙しくなって来ていること・・・等の理由もあり、例年よりやや少なめでのキャンプです。それでも、遠い所からは名古屋や神戸から、常連さんから初めての子ども達までみんなドキドキ・ワクワクしながらキャンプを楽しみに教会を出発!
 今年のテーマは『あつまる!つくる!ひびきあう!』。教会でチョット緊張気味の顔が集まりました。途中参加のスタッフも到着し、北小松で五八名が集まりました。お楽しみの時間には、それぞれが楽器を作りました。その楽器を使って、決められた曲をキャビン毎に発表。二日間で友達を作りました。みんなで、プログラムを楽しみ、キャンプをつくりました。最後は響き合う・・・。自分で作った楽器の音色。大きな歌声や笑い声が響きました。そして、子ども達の気持ちがこのキャンプを通して響き合ってくれていたら、嬉しいなぁと思います。
 スタッフとして参加して下さった方々、準備段階で製作材料をご協力頂いた方々、お祈り下さった方々、有り難うございました。北小松キャンプが復活して、来年で10回目を迎えます。来年は沢山の事が変わるかと思います。・・・が、子ども達と同じように、楽しみにして。
 二日間良いお天気の中、子ども達と楽しい時間を過ごせた事、とても感謝しています。      (キャンプ長・浦地愛)


ジュニアチャーチキャンプ

○8月7日(土)8日(日)、当教会芦生キャンプサイトにて。

 今年のジュニアチャーチキャンプは、残念ながらキャンパーの都合が付かず一泊二日になってしまいました。しかしその中でもキャンパーたちは精一杯の活躍をしました。さすがに芦生慣れしたメンバーが多く、テキパキと自分の仕事をこなしていく姿が印象的でした。聖書研究は例年以上に話が発展し、キャンプ後も引き続いて数回このテーマについて聖書研究を行う予定をし、教会に帰って早々下田屋司祭にも聖書研究におつき合いいただく約束までとりつけていました。 (スタッフ・吉村 伸)

聖書研究も熱心に


京都教区小学生キャンプ

○7月26日(月)〜28日(水)、復活学園北小松キャンプ場にて。

 当教会からは河原林大督、渋谷侑亮、吉村和馬、スタッフとして小林由布子が参加。キャンパー3名ともが前日までカブスカウトのハードなキャンプ直後とあり、体調が心配されたのですがなんのこと、余裕綽々でキャンプ慣れしたところを見せつけてきました。
 今年のキャンプの目玉は、『みんなで学ぶ天地創造』。夕闇が琵琶湖を覆ったメインキャビンに「光あれ」の声でローソクに明かりが灯され、天地創造の物語が、繰り広げられました。聖書の物語をしっかりと頭に入れた子どもたちは、大自然の中での生活を通して体全体で神さまの恵みを感じたことでしょう。神さまが良しとされたこの世界の中で、自分を愛し、お友達を大切にする事を学ぶ機会になりました。「ナン」作りにも挑戦し、神さまが土の塵から人間を創られたように、強力粉をこね、人の形に整えていき、汗びっしょりになって焼き上げました。最終日には「思い出ボックス」に友情と思い出をいっぱい詰め込み元気いっぱい帰ってきました。

ナン作り


24団ビーバー隊キャンプ

○7月31日(土)〜8月1日(日)、京都府綾部市青少年山の家にて。

 大型台風の到来にもめげずに出発したキャンプではありましたがフレンドパークというテーマに沿って川へ入って金貨拾いをしたり芝生の上で数々のポイントにスカウト達は力をあわせて挑戦しました。
 ポイントの最後にはリーダーによる人間もぐらたたきもありスカウトは恐る恐る(?)大きなモグラをたたくことができました。
 日頃の行いが良いのかほとんど雨に当たらず怪我もなく楽しいキャンプをすることができました。 (副長・酒井陽子)


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