月報「コイノニア」
2008年11月号 No.303


《聖書を飛び出したイエス様・その1》
見ているだけで

NHK連続テレビ小説「だんだん」から

司祭 ミカエル 藤原健久

 その後、イエスは出て行って、レビという徴税人が収税所に座っているのを見て、「私に従いなさい」と言われた。彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った。
                (ルカ5・27-28)

 いつもの《シリーズ・色々な礼拝》をちょっとお休みして、少し違うお話をしたいと思います。
 最近、年のせいか(若いのですが)、以前よりも随分と涙もろくなりました。テレビや映画、漫画や小説などを前にして、よく涙を流すようになりました。けれども、それは悲しい場面ではありません。(悲しい物語は、堪えられないので、初めから見ないようにしています。)私は、主人公達が活き活きとしている場面や、希望に満ちあふれて前向きに歩き出そうとしている場面で、目頭が熱くなってしまうのです。現在観ている中で、最も涙が溢れる頻度が高いのが「だんだん」です。放送の時間帯が、幼稚園のお出迎えの時間か、お昼の忙しい頃なので、余り観ないのですが、観ると、わずか一五分の間に、何度も目がうるうるしてしまいます。
 お話の中で、いくつも、私を「泣かせる」台詞や場面があります。先日観たお話では、歌を歌うのが大好きな主人公なのですが、彼女はプロ歌手の道を諦め、将来の道を探していました。彼女は初め、家族に勧められ、また自分でも向いていると思い、看護士を目指して勉強を始めます。けれども、何か腑に落ちません。そんな中、老人ホームでバンドのコンサートを開くことになりました。老人ホームで彼女は、お年寄り達に温かく寄り添う職員達に出会いました。その姿を見て主人公は、自分も介護福祉士を目指そうと決意します。その時、彼女が独り言のようにつぶやいた言葉が、「やっと見つけた」でした。この言葉を彼女は、とても嬉しそうに言うのです。長い間探してきた自分の道がやっと見つかった、自分の収まるべき未来にやっと出会えた、その喜びを、この一言で十分に表現していました。
 また、こんな台詞もありました。物語の導入部で、主人公達は双子であり、奇異な生い立ちによって、離ればなれに育ったことが明らかになりますが、余りに奇跡的な出会いによって、二人は互いの存在を知り、交わりを深めてゆきます。それぞれの家族達は、今までの生活が崩れるのを恐れて二人を引き離そうとしますが、主人公達の交わりは深まるばかりです。とうとうある時期から、最も近い家族…父と母…は主人公達の思いを理解し、二人を支えてゆくようになります。その時、親たちは周りを説得するときにこう言うのです。「(二人は)出会ってしまったんじゃ。」彼女たちの出会いは、人間の思いを超えたものであり、周りの人間は、祝福し支えるべきなのだ、という決意を、この短い言葉は力強く表現しています。
 そして何よりも、私の涙腺を緩ませるのは、主人公達の明るい笑顔です。彼女たちは、様々な困難にぶち当たっても、前向きに、希望を持って、明るく笑いながら歩んで行きます。その姿を見ているだけで、私は涙が浮かんでくるのです。
 もしかしたら、イエス様に出会った弟子たちも、私と同じように感じたのかも知れません。日々漁師や徴税人の仕事に励みながらも、何か腑に落ちない思いを抱いていた彼らは、イエス様と出会ったときに、「やっと見つけた」と思ったのかも知れません。この方こそが自分の道、自分の未来と感じたのでしょう。宣教活動の中で、様々な困難に出会い、もうイエス様から離れてしまおうかという思いが胸をよぎるときには、こう思ったのかも知れません。イエス様と自分は「出会ってしまったんじゃ」。この出会いは、どう考えても、神様のお導きとしか思えない、この出会いを捨ててしまうなんて考えられない。そして何よりも、前向きに、希望を持って歩まれるイエス様の姿を見ると、弟子たちは、それだけで、胸が一杯になったのかも知れません。イエス様の姿を見ているだけで、心の底から、嬉しくなってくる、元気になってくる、そして切なくなってくる…。
 イエス様が語り掛けられた「私に従いなさい」という一言。この短い言葉には、弟子たちの心と体の目を、涙で潤ませるほどの力があったのでしょう。


バザー大成功!

 10月26日(日)、残念ながらの雨模様でしたが聖マリア教会内は活気に溢れていました。
 マリア名物のバザーです。これで三年目になる主日の聖餐式終了後開催。藤原司祭が効率的に短時間で礼拝ができるようつくった式分を手に、ボーイスカウト、幼稚園関係者も一緒に礼拝を献げることができました。
 200余名が礼拝堂にあつまり、ともに主を賛美するのはすばらしいことで、とてもうれしいことでした。


 礼拝が終わって午前11時。バザー委員長森田秀樹兄の号令のもと、各売り場がスタート。雨雲を吹き飛ばすような活気で一日楽しみました。 

 今年も障害者施設「あおい苑」コーナーや、電動車椅子サッカーチーム「SONIC京都電動蹴球団」の紹介コーナーもあり、福祉にも目を向けた企画もありました。



幼児祝福式

 11月16日(日)幼児祝福式が行われました。一般に行われる「七五三」に代わるもので、当教会は毎年この時期に行っています。小学生低学年以下の子供たちは藤原司祭から祝福を受け、プレゼントをいただき、とても満足そうな笑顔を見せていました。


クリスマス礼拝のご案内

<クリスマスの礼拝> 2008年12月

21日(日)午前10時45分、クリスマス総員礼拝(降臨節第4主日聖餐式)
     *礼拝後、クリスマス祝会を行います。
24日(水)午後7時30分、クリスマス・イブ唱詠晩祷
     *九つの日課によるキャンドル・サービスです。
    午後11時30分、降誕日第一聖祭(深夜聖餐式)
24th Dec.11:30p.m. Midnight Service(Holy Mass in Japanese)
25日(木)午前8時、降誕日第二聖祭(英語聖餐式)
25th Dec.8a.m. Christmas Service(Holy Mass in English)
    午前10時45分、降誕日第三聖祭(主要聖餐式)

<新年の礼拝>

12月31日(水)午後11時30分、大晦日深夜聖餐式(主イエス命名の日前夜礼拝)
31st Dec.11:30p.m. Midnight Service(Holy Mass in Japanese)
2009年1月1日(木)午前11時、主イエス命名の日聖餐式

<クリスマス諸行事>*詳しくは教会までお問い合わせ下さい。

12月18日(木)午後5時(予定)、ジュニア・チャーチ(中高生)クリスマス会
  20日(土)午後3時30分、日曜学校(幼・小学生)クリスマス会
  23日(火・祝)午後1時、ボーイスカウト京都第24団クリスマス会


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