月報「コイノニア」
2011年4月号 No.332


《聖書を飛び出したイエス様・その29》
   必 死 ! 

曽田正人著『め組の大吾』から

司祭 ミカエル 藤原健久

 彼が担ったのはわたしたちの病、彼が負ったのは私たちの痛みであったのに、わたしたちは思っていた。神の手にかかり、打たれたから、彼は苦しんでいるのだ、と。
                  (イザヤ53・4)

 新刊紹介です。と言っても本屋さんのことではありません。我らが「聖マリア文庫(番外編)」に、新しく加わりました。幼稚園のお母さんが寄付してくださいました。「少年マンガの王道ですよ」とご紹介下さいました。読んでみると、確かに面白い。スポーツ漫画のように、ぐいぐい引き寄せられます。
 消防士の世界を描いたお話です。主人公は、子どもの頃、消防士に火事から救い出されたことが原点となり、消防士になります。無鉄砲なところのある、ヤンチャな彼なのですが、他人が見逃すような徴候を見逃さない鋭い感覚と、何が何でも救助を求めている人を助けるぞという熱い思いとで、現場で大活躍していきます。
 丁寧な取材に基づいてお話が作られているのでしょう。消防士という、私たちの社会に必要不可欠なお仕事を、より身近に感じさせてくれます。危険と隣り合わせに、人を助ける彼らの姿を詳しく知るほどに、彼らへの敬意が増してゆきます。
 この漫画の主人公は、数々の非常に困難な現場に出くわします。そして、様々な、時には超人的とも言える活躍をして、ぐんぐん成長し、最終的には世界的に有名なレスキュー隊員になります。そのあたりは、「さすが漫画!」と思わせるような展開でもあるのですが、この作品の魅力は、そのような奇跡的な展開ではなく、彼の人間的な部分にあります。彼は、現場に出れば、とにかく「必死」なのです。「決して誰一人死なせない!」という思いのみを胸に、思いつくことをできうる限りに行動し、体力、気力の限界まで突っ走ります。そのために、自分が危険な目に遭うこともしばしばです。「こんな事を続けていたら、自分が死んでしまう」と何度も思います。恐くて恐くて足がすくむこともあります。けれども、誰かが助けを求めていると聞くと、矢も盾もたまらなくなり、気がつけば走り出しているのです。そして、苦しむ人を助け出し、鎮火して、無事に解決した後は、彼は喜ぶよりも何よりも、ぐったりとしてしまうのです。精も根も尽き果てて、目つきも虚ろ、意識ももうろうとなって、倒れ伏してしまいます。彼は、次に救助の要請があるまでの間、短い休息を取るのです。
 イエス様も、実は、私たちが思っている以上に、いつも「必死」だったのかもしれません。私たちは、イエス様を、スマートな姿で考えているのかも知れません。微笑をたたえながら、涼しい顔で、奇跡を行うイエス様の姿を、思い描いているかも知れません。けれども、実は、イエス様はもっと必死だったのではないでしょうか。失敗したら自分が悪魔に殺されてしまうような危険を犯しながら、けれども、助けを求める人の姿を見れば、助けずにはいられなくなる。自分の持てる力を振り絞って、使える知恵を出し尽くし、やっとの事で一人の人を助けた後は、精も根も尽き果てて倒れ込んでおられたのかも知れません。
 今回の大震災では、多くの消防隊員の方々が現場に赴いておられます。私たちの教会のボーイスカウトからも、現場に行かれた方がおられます。尊い仕事でありながら、その過酷さは察して余りあります。被災地の方々のためにお働き下さる方、お一人一人の身心の安全を心よりお祈りいたします。神様の御守り、御恵みが豊かにありますように、祈って止みません。


祝 ご復活!

今年は大斎節に入ってすぐの三月一一日に、東日本大震災が発生しました。被災地で苦難にある人を覚えて祈りながらの大斎節でした。被災者の方々の上に神様の御守りが豊かにあり、一日も早く生活が再建されるようにおいのりいたします。


3月9日(水)13時30分
 大斎始日(灰の水曜日)礼拝

 昨年の「しゅろの十字架」を燃やして灰にしたものを用いてお祈りしました。
カトリックの信徒の方と、もう一名が参加。


4月6日(水)19時30分
 京都伝道区大斎集会
  (於・桃山基督教会)

 南明美さんがお話でした。テーマは「自分の言葉での祈り」。バプテスト教会での信仰経験を踏まえて、お話下さいました。


4月10日(日)10時
 しゅろの十字架づくり

 日曜学校の分級で、しゅろの十字架を作りました。今年は復活日が遅いので、いつもなら春休み中に終わってしまう大斎の諸行事を子どもたち
と一緒にすることができました。主要聖餐式の後は、昼食後に、婦人会の皆さんが中心になって、しゅろの十字架を作ってくださいました。ちなみにこの日は、洗礼、堅信式があって、高地主教様が来てくださいました。同じく聖餐式後、聖器みがきを行ったのですが、主教様もとても熱心にご奉仕下さいました。感謝。


4月17日(日)10時45分
 復活前主日(しゅろの主日)

 主要聖餐式の最初に、礼拝堂前室に集まり、お祈りの後、聖歌と共に、しゅろの十字架、またしゅろの枝を手に、礼拝堂を行列しました。福音書は、イエス様の受難の箇所が読まれ、教会委員の方々と会衆で、役割分担をしました。七六名参加。


4月13日(水)19時30分
 京都伝道区大斎集会
 (於・大津聖マリア教会)

 藤原司祭のお話でした。テーマは「祈祷書を生きる」


4月21日(木)午後7時
聖木曜日の礼拝

 イエス様が弟子たちの足を洗ったことを記念する「洗足」の礼拝と、最後の晩餐を覚える「聖餐制定」の聖餐式を行いました。この日まで一週間、仙台でボランティア活動に励んでこられた岩本翔太さんも参加してくれました。3名参加。


22日(金)正午
聖金曜日(受苦日)の礼拝

 人の背丈ほどある気の十字架を正面に設置し、イエス様の受難を覚えて礼拝しました。1名参加。


23日(土)午後11時
聖土曜日・復活祭徹夜礼拝
  イースター・ヴィジル

 礼拝堂内を真っ暗にして、真新しい「復活のろうそく」に日を灯し、イースター最初の礼拝を行いました。4名参加。



24日(日)復活日 午前4時30分
ジュニアチャーチ
   大文字山早天礼拝

 午前4時半に教会出発。ジュニアチャーチを中心に13名が参加。山上で朝の礼拝をしました。

24日(日)復活日 10時45分
主要聖餐式

 聖歌隊の賛美と、ハンドベルクワイヤーの美しい音色、そして会衆の熱心な祈りで、礼拝を捧げることができました。128名参加。


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