月報「コイノニア」
2012年1月号 No.341


《聖書を飛び出したイエス様・その38》

大地との和解

ドストエフスキー著『カラマーゾフの兄弟』から

司祭 ミカエル 藤原健久

 神が言われた。「ここに近づいてはならない。足から履物を脱ぎなさい。あなたの立っている場所は聖なる土地だから。」             (出エジプト3・5)

 以前に買い揃えておきながら、なかなか読めなかったのですが、今回、東北を往復する新幹線の中で読み通すことができました。
 ロシアの文豪ドストエフスキーの代表作です。とにかく「人間」というものを、徹底的に描き出していきます。それも、人間の醜い面、罪深い点について、これでもかと言うほど暴いていくのです。この重厚な長編が、新しい翻訳で出版され、それがよく売れていると言うのですから、軽佻浮薄な世の中の潮流にあって、実は人々は人間をしっかりと捉えようとしているのかも知れません。
 殺人事件を巡るミステリーという主題がありながら、そこで描き出そうとしているのは「人間」の姿であり、そして「人間」を通して「神様」を探ろうとしています。極めて信仰的なテーマの作品です。
 ロシアが舞台ですので、その信仰形態も、ロシア正教会のものです。私たちのベースにある西方教会の伝統とは、少し違うように感じられます。その中でも特に私が気になったのは、「大地」です。登場人物たちは、何度か、作品の重要な箇所で、大地に口づけしたり、大地に言及したりするのです。「彼は大地に泣きながら口づけし、むせび泣き、涙を注ぎながら、有頂天になって誓っていた。大地を愛すると、永遠に愛すると…。」(3巻107頁)もしかしたら、ロシアでは大地を神様がおられる場として捉えているのかも知れません。私たちの信仰の伝統では、「天」を神様の場として捉え、天を仰いで祈り、思いを天に昇らせるようにしてきました。けれども神様は、天上で鎮座されるだけでなく、地上にも降りてこられる方です。イスラエルの民の苦しみを耳目にし、燃える柴の中に降りてこられました。神様の愛は、受肉され、人として地上で生活されました。
 そのように考えると、神様についてのイメージが膨らみます。大地はすべての人の足を支えます。大地は、人間の最も汚れた部分である足に踏まれます。人間は死ぬと、大地に埋められ、土に帰ります。そして大地から食物は生え、すべての生き物を養ってゆくのです。人間の醜さや罪深さも含めたすべてを吸収し、そこから新しい命を生み出すもの、大地。そのように考えると、大地は神様を表現するのに、大変相応しいもののように思えてきます。
 そうすると、大地に口づけするのは、神様への愛の表現であると同時に、神様との和解を求める祈りなのではないでしょうか。大地におられる神様との和解、それはとても具体的で現実的です。
 今回の原発の事故では、放射能によって広大な大地が汚染されました。多くの方々が愛する故郷を追われ、避難しています。これから大地を少しでも元通りにしようとするのは、極めて社会的な行為であると同時に、信仰的には、大地と和解するものであるような気がします。悲しみ苦しみの涙と血は、地面にしたたり落ちます。人間の罪が引き起こしたことは、すべて大地に吸収されるのです。私たちは、祈りながら大地と和解しなければならないように思います。


新教会委員の抱負とひとこと

 1月15日(日)聖餐式中に教会委員任命式が行われ、新教会委員が藤原司祭から任命書を受け取りました。
 この日午後から新旧合同委員会が行われ、各担当、連絡係の任務分担が次のように行われました。
 委員のみなさん、一年間よろしくお願いいたします。

教会委員任務分担 (◎は長、*は委員以外に委嘱する方)

書記、総務=◎辻法子、菅原さと子、小林格子、続木泰子。
会計=◎佐竹登、続木泰子、辻法子、南明美、*南寛。
礼拝(宣教)=◎佐々木亨、前田潤(上記二名礼拝当番表担当)、末松玲子、野嶋敦代、*續木創。
野外礼拝=◎末松玲子、*吉村伸、*田中泰之。
営繕、お掃除活性化担当、墓地、納骨堂=◎小林格子、前田潤、吉川まゆみ、*田中泰之、*野嶋久暉、*服部卓爾、*邨田志津子。
広報=◎吉村由理、菅原さと子、*吉村伸、*浦地愛。
シニア担当(男子会検討)=◎野嶋敦代、*野嶋久暉、*立石昭三、*新實康男、*星野謙、*松本昇、*野本武、*佐々木栄。
芦生キャンプ場◎南寛、佐々木亨、*久保田栄三。渉外(信伝協)=◎南明美、末松玲子、*野嶋久暉、*浦地愛。
〈各グループ担当〉
婦人会=吉川まゆみ、
青年会=前田潤、
ジュニアチャーチ=吉村由理、
日曜学校=菅原さと子、
幼稚園=菅原さと子、
ボーイスカウト=吉川まゆみ、
教区日曜学校賛助会=*續木智子、
教区神学生後援会=*立石昭三、
会計監査=*野本武、*続木創。


書記・総務担当
営繕、お掃除活性化担当、
墓地、納骨堂担当

マルタ 小林格子

教会委員のお顔ぶれがかなり変わった今年度、不慣れですが営繕、それと書記・総務を担当させていただくことになりました。仕事範囲の広さをお聞きして、恐れおののきつつ、今さらながら前任の先輩方に感謝しております。行き届かないことが多いと思いますが、どうか皆さまのお力添えをよろしくお願いいたします。


礼拝(宣教)担当
芦生キャンプ場担当

ダビデ 佐々木 亨

 三年目で来年は休める佐々木亨です。芦生と礼拝と前田潤君を手伝って当番表係りを担当します。なかでも昨年実施できなかった、サーヴァーとオールターの研修会はぜひやりたいと思っています。新たに奉仕したいと思われる方は私までお申しでください。また、アッシャーや聖書朗読当番などご要望等ありましたら遠慮なくお申しでください。今年もよろしくお願いします。


会計担当

クロス 佐竹 登

 マリア教会にお世話になってまだ六年程ですが、教会委員に任命をいただきありがとうございます。会計の奉仕を主にさせていただくことになりますが、お役に立てることがあれば、いろんなことにお手伝いできればと思っています。よろしくお願いします。


礼拝(宣教)担当
野外礼拝担当
渉外(信伝協)担当

セシリア 末松玲子

 「教会委員会」の感覚をすっかり忘れたころに、2012年の教会委員をおおせつかりました。
オルガン設置など、興味深い問題も沢山ありますが、何とか皆さんの後をついて1年走り続けることを目標に頑張ります。
 どうぞよろしくお願いいたします。


書記・総務担当
広報担当
日曜学校・幼稚園連絡担当

ルデア 菅原さと子

 今年度は、再び大役の書記(総務)を大御所の三人とご一緒させて頂く事になりました。広報と幼稚園担当もさせて頂きますので、しっかり任務が果たせるかどうか? 教会と幼稚園、更にはボーイスカウトとも良き関係を保ちながらのこの教会での日々。関係を築く事の大切さとお互いを理解する気持ちの大切さ。それぞれの立場を守りつつ、助け合える今年も良き一年であればと願います。神様に感謝しながら、みなさまのご指導を仰ぎたいと思っています。


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