月報「コイノニア」
1998年10月号 No.182

イエスさまの好き嫌い

牧師 司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

 「イエスさまってどんな人ですか?」と尋ねられたら、あなたはどのように答えますか。イエスさまを紹介する紹介文を書いて下さいと頼まれたら、具体的にどのような文章を書くでしょうか。実際にペンを持って書いてみて下さい。
 多くの人が頭に描くイエス像は、誰に対しても優しくって、柔和で、もの静かで、暖かくって、人を分け隔てせず、誰でもゆるしてくださる、忍耐強い方というようなイメージを持っているのではないでしょうか。それは、子羊を抱くイエスさま、子どもの頭に手を置くイエスさま、弟子たちと食事をするイエスさまというように、どこかで見た「聖画」のイメージから来ているのでしょうか。
しかし、聖書に描かれたイエス像というのは、決してそのような方ではありません。第一に、イエスさまには、好きな人と嫌いな人がはっきりしています。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」(マタイ九ノ十二、十三)
 イエスさまは、徴税人の家に招かれ、罪人と言われる人たちと食事を共にしました。当時のユダヤ教の指導者であるファリサイ派の人たちや律法の専門家たちは、これを非難しました。イエスさまの弟子たちは、漁師であったり、徴税人であったりと、決して社会的に地位があったり、権力を持っているような人は一人もいません。イエスさまのまわりには、病気の人、体の不自由な人、異邦人や売春婦等々、ユダヤ社会から罪人のレッテルを貼られている人たちでした。彼らを招き、彼らに近づき、彼らと共にいたのです。一方、律法学者やファリサイ派の人々には、非常にきびしい言葉を使って批判しています。たとえば、マタイ23章には、「あなたたち偽善者は不幸だ」と、ののしりの言葉を連発しています。律法学者やファリサイ派の人たちは、自分たちこそ神の律法を忠実に守っている正しい人だ、神から義とされることが約束されているのだと自認していました。その律法学者やファリサイ派の人たちを、ことあるごとに、徹底的にやっつけたのです。イエスさまは、誰にでもニコニコしておられたのではなく、好きな人たちと嫌いな人たちをはっきり区別しておられました。
第二に、イエスさまも暴力をふるわれたことがあります。イエスさまは、エルサレムの神殿の境内で、いけにえとして献げる羊や鳩を売る人、両替商人の屋台をひっくりかえし、縄で鞭を作って羊や牛を境内から追いだし、両替人の金をまき散らしました。「神殿は、祈りの家だ。それをおまえたちは強盗の巣にしている」と叫び、荒れ狂いました。信仰の場、神の家であるはずの神殿を商売の場とし、そこには利権や搾取がはびこっている。祭司たちと商人たちの癒着という背景があったのでしょう。イエスさまは、こみ上げてくる怒りの感情をあらわにして暴れまわりました。そのために、彼らはイエスさまを殺そうと計るようになりました。イエスさまは、激しく怒り、涙を流し(ヨハネ11-33、35)、ある時にはよく語り、ある時には頑として沈黙を守り通される方でした。
 わたしたちがイエスさまに対して持っているイメージを壊すようなことを書きました。わたしたちは、イエスさまは、柔和な方、優しい方、すべての人を愛してくださる方というイメージから、何でも赦して下さる方と、自分で都合のいい勝手なイエス像を作り、「イエスさま、イエスさま」と言っているだけということはないでしょうか。たいへんな偶像崇拝の罪を犯していることになります。イエスさまは、わたしたちに、あなたはわたしを受け入れますか、受け入れませんか、わたしの敵ですか味方ですかといつも迫って来られます。イエスさまは、わたしたちにあいまいさをゆるしません。
 それにしても、イエスさまが一番嫌っておられるような人にはなりたくないないと思います。イエスさまの時代の律法主義者や神殿に巣食っている商人です。 今の時代のわたしたちの場にあてはめるとどういうことになるのでしょうか?


臨時受聖餐者総会開催

礼拝堂建築事務所は一粒社ヴォーリズ
一九九九年三月着工/十二月竣工を目指す

 去る9月13日、幼稚園ホールにおいて礼拝堂建築のための臨時受聖餐者総会が開催されました。
 第1号議案の礼拝堂建築に伴う設計事務所決定については、服部教会委員が議案を説明。建築実行委員会設立経過、当初設計希望八社から最終的に実行委員会で一粒社ヴォーリズに絞り混んだ選考経過が報告され、原案通り建築事務所は一粒社ヴォーリズ建築事務所に決定しました。
 続いて第2号議案の礼拝堂建築基本計画案について、服部教会委員が外観と礼拝堂内部のイメージパース、平面図を用いて議案を説明。この基本計画案については、トップライトのメンテナンス、段差など高齢者・障害者への配慮、倉庫・空調・音響問題などについて、多くの質問が出ました。これについて、竣工時期を遅らせても議論を重ねるべきという意見や最終案を確認する機会を求める声もありましたが、来年のクリスマスまでに竣工することを前提に、ヴォーリズ建築事務所に説明会を開催してもらい多くの意見を聞き、それを、実行委員会で整理しヴォーリズ建築事務所が図面化する。これを最終基本設計として教会委員会で検討後、臨時受聖餐者総会に諮ることで、議案は承認されました。
 第3号議案の礼拝堂建築資金計画案については、南教会委員が議案を説明。募金期限である2001年12月末の信徒申込額1億2772万円、外部募金総額1452万円、収益事業総額2209万円(納骨箱献金を含む)に募金開始以前からの積み立て2267万円を加えると、最終募金見込み額は1億八8700万円になります。一方支出は、旧礼拝堂解体工事や募金事務費などに1520万円を既に支出。今後、設計管理費及び建築・設備工事費に1億6464万円が必要となり、募金総額との差額716万円が事務費・予備費となります。建築費は募金総額で賄える範囲ですが、募金期間が2001年末に対して竣工が1999年末であるため、竣工時の支払いに2591万円不足します。不足分は信徒から借り入れる教会債で賄うことになりますが、教会債が十分集まらない場合は銀行から借入することになりますので、3000万円を借入最大額として、担保事務手続を進めなくてはなりません。
 以上の提案説明に対して、追加工事などによる建築費の増額と献金の遅れへの配慮、空調などのランニングコストに対する質問、収益事業の見通し・借入金と建築費増額に対する懸念などがありました。これに対して、建築費は施行業者選定においてできるだけ低く押さえ予備費に充当する、ランニングコストについては他教会の事例を調べる、借入については総会決議事項であることなどの説明がなされ、原案通り承認されました。
 今後、基本設計、実施設計を経て来春の着工に至るためには、基本計画案の変更箇所をできるだけ早くまとめる必要があります。作業を合理的に進めるためにも、資料に添付した平面図をもとに、疑問点、改善希望案などをご意見箱へ入れていただくとともに、10月25日の礼拝終了後に建築事務所を交えた「話し合う会」を開催。その結果を取り入れた図面を11月29日に招集を予定されている臨時受聖餐者総会に諮り、最終基本計画を決定して行きます。
後世により良い礼拝堂を残すため、皆様のご協力をお願いします。


基本計画案の外観パース

基本計画案の平面図(一階・二階)

上に掲載しました新礼拝堂の基本計画案は、あくまで ヴォーリズ建築事務所が提出した図面であり、実際にこの礼拝堂ができあがるというものではありません。 この図面の中には、まだまだたくさんの解決しなければならない問題がたくさん残されています。このデザインが本当に京都聖マリア教会にふさわしいかどうかを始め、母子室親子スペースはどうなっているのか、ベストリーは本当にこの広さでいいのか、エレベーターの安全性は?、倉庫の広さは、幼稚園との使い勝手は・・・・・まだまだたくさんの議論が必要なようです。
 ヴォーリズ建築事務所は、確かに教会建築の経験は豊富であり、大変信頼できる事務所であることは間違いありません。しかし、京都聖マリア教会についてはまだまだ知ってもらわなければならないことがたくさんあります。主日の聖餐式にも出席いただき、実際の礼拝での動きもその目で見て理解してもらわなければなりませんし、実際にそこで奉仕するオルターギルドでないと解らないベストリーの使い勝手、実際にオルガンを弾いているオーガニストでないと解らない至聖所内の死角、そういう状況をすべて理解していただき、その問題をすべてクリアしていってもらわなければなりません。ですから当然、たくさんの手直しが必要になるのです。
 建築実行委員会は、この基本計画提出以来、週一度ペースで委員会を重ね、さらに各セクション別のご意見交換会など、頻繁に開催し、何とか少しでもたくさんの意見をお聞きし、実際にその立場でしか気づかないことを見いだそうと日夜努力しています。
 この図面を見てお気づきのこと、ご意見等ございましたら建築実行委員まで何なりとお申し付けください。また、渡り廊下に「基本設計についてのご意見おうかがい箱」を設置しております。些細なことでも結構です。ぜひご利用ください。
 10月25日(日)礼拝後には、ヴォーリズ建築事務所の設計担当者をお迎えして、説明会、質問会を催す予定をしております。ぜひ積極的にご参加ください。
(礼拝堂建築実行委員会)


予告

ヴォーリズ建築事務所
設計担当者をお迎えして

礼拝堂基本設計について
話し合う会

10月25日昼食後
幼稚園ホールにて

あなたの目で見た礼拝堂建築を
設計者に伝えてください。
是非積極的なご参加を・・


外部献金にご協力いただいた方々

(8月30日〜9月30日扱い分)
(敬称略)坂口順治、大岡信一、大角恵子(復活)、京都復活教会、有村一夫(芦屋聖マルコ)、石田幸史郎、今井斐呂子、熊内弘次、小池俊男、小泉妙子(田辺聖公会)、三条操子(柏聖アンデレ)、瀬戸けさ子(長坂聖マリア)、高橋和子(奈良基督)、田川玲子、B.D.Tucker、丹波新生教会婦人会(森美由紀、小西恵子、浦野とし子、中村恵子、渡辺享子、森光枝、伴政子、西村明子、寺尾政子、高橋よしゑ、井本保子、小谷真奈美、久保末子、金谷恵美子、遠山ミチ子、上原嘉子、主原公枝、清水敬子、中村祥子、今井坤、山内和子、大石迪子、平野ふじ江、萩原献)、西村秋子(川崎聖パウロ)、土師晴子(聖光)、日高和夫、源豊宗、室家洋子、山中功二、万木恵子、大西祐資、圭子、芝野哲郎、克美、美代子、重則、新実末由子、畑野研太郎、速水正憲、平安女学院同窓会、堀内絢子(田辺聖公会)、三浦恒久、宗像千代子、八木基督教会、山本保彦(奈良基督)、和栗妙子


京都聖マリア教会
芦生キャンプサイト

野外礼拝開催

とき:1998年10月18日(日)
   午前9時教会集合
   午後5時頃教会解散予定
       (雨天中止)

お待たせしました。春に雨天のため中止になった芦生キャンプ場での野外礼拝が、皆さまのあつい「もう一度コール」により再度実現の運びとなりました。
今回は観光シーズンのため、前回のような貸し切り観光バスのチャーターが不可能であり、各乗用車に分譲して現地に向かうことになりました。つきましては車が必要になりますので、可能な限り車でマリア教会に集合していただけるようお願いいたします。一方、現地でも車を置くスペースの方も限られており、乗り合いで台数を絞り込んで行くことも考えられます。集合時間をお守りいただき、段取りが迅速にできるようご協力ください。よろしくお願いいたします。
お問い合わせは佐々木亨さんまで。


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