月報「コイノニア」
1999年3月号 No.187


悪魔に闘いを挑む

牧師 司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

「さて、イエスは悪魔から誘惑を受けるため、“霊”に導かれて荒れ野に行かれた。そして四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。すると、誘惑する者が来て、イエスに言った。「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」イエスはお答えになった。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』と書いてある。」次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、言った。「神の子なら、飛び降りたらどうだ。『神があなたのために天使たちに命じると、あなたの足が石に打ち当たることのないように、天使たちは手であなたを支える』と書いてある。」イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」と言われた。更に、悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と言った。すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。」         (マタイ4章1節―11節)

 今年は、去る2月17日から、「大斎節」に入りました。4月4日のイースターの日まで、日曜日を除く40日間、この大斎節を有意義に過ごしたいと思います。
 大斎節の意味は、主イエスが、人々の前に姿を表し、この世に来られた使命を果たそうとなさる直前に、荒れ野において、四十日四十夜、断食をし祈りの時を持たれた出来事からきています。
 「そして40日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。」(4ノ2)
 断食というのは、食事をしないことです。人が生きていくために、最も基本的な欲望、食欲に逆らうことです。生命を維持するために必要な食欲を、自分の意志で断ち、肉体の欲望を打ち叩いて意志の力でこれを克服するということです。
ここでなさったイエスの断食は、私たちが一食か二食、食事を抜いて、「あーっ、お腹が空いた」というようなものと、全然違います。
 イエスは、自分の意志で、肉体の欲望にうち勝とうとしたとき、誘惑する者、すなわち悪魔が現れました。聖書には、このような悪魔との対話として描かれていますが、悪魔とかサタンとかいう生き物が実際に現れての誘惑したというよりも、イエスの内側から突き上げてくる思いや幻想が、イエスに語りかけ、誘ってきたのかも知れません。
 空腹の極限に苛まれている時に、目の前の石をパンに変えることができるかと、神を試みる思いに駆られました。また、ほんとうに神の子であれば、最後の瞬間に神は天使を遣わして自分を助けてくれるのかと疑い、そして、この世の栄耀栄華を目の前にして、権力、地位を手に入れる野心と欲望を満足させる誘惑に引きずり込まれようとしました。これこそ、悪魔の働きであり、活発に動き回る悪魔の本領を発揮している姿でした。
 いずれの誘惑に対しても、イエスは、「引き下がれ」と言って、これを退散させました。
 断食するということは、自分の意志の力で肉体の欲望に打ち克とうとすることであり、自らの欲望に打ち克つことによって、いかに「神に心を向けるか」ということです。
 わたしたちは、神の方に心を向けようとすればするほど、そのことに心を集中させようすればするほど、これを引き戻そうとする力が強く働きます。悪魔との対決ということは、自分自身との闘いです。生ぬるい信仰の持ち主には、悪魔は、関心も持ちませんし、寄りつきもしません。
 さて、私たちもこの大斎節中、イエスさまにならって悪魔と向かい合ってみませんか。悪魔の誘惑に闘ってみませんか。
 たとえば、1日1度、神様との会話、お祈りをする時間を取る、自分で聖書の箇所を定めて、毎日、聖書を読んでみる。何とかして神さまに心を集中させる時間を取ろうと決心することです。
 真剣にやろうとすると、きっと悪魔のささやきが聞こえてきます。「忙しい、忙しい」、「睡眠が大事だ」とか、聖書を読むよりその時間は、ボランティヤをした方が、ずっといいとか、いろいろな忠告が、聞こえてきます。イエスに近づく悪魔は、聖書の言葉を用いて、イエスに誘惑を仕掛けてきました。悪魔は、始めから悪魔のような顔をして現れてきません。まず、悪魔を見抜くこと、それこそが悪魔ととの闘いの始まりです。


今年は待ちに待った
 新礼拝堂竣工の年!

一九九九年度受聖餐者総会終わる

2月14日礼拝後、京都聖マリア教会1999年度定期受聖餐者総会が幼稚園ホールにおいて開催されました。
総会の議事資料については、当日配布された「教会のあゆみ」をご覧ください。
「教会のあゆみ」の資料のうち、教会会計の五年間の推移をグラフにまとめてみました。

 今年の総会の議事は滞りなく決議されていきましたが、一部質問のあった会計についてご説明いたします。
 左上の表は過去五年間の推移をまとめたものです。表中備考欄の*1の部分でごらんのように感謝記念献金が1996年、1997年と大幅に減っています。これは、1996年に礼拝堂を使用禁止にしたため、結婚式ができなくなったため、結婚記念感謝献金が激減したためと思われます。また、*2のその他の収入で1996年1997年が多いのは、阪神大震災の献金を教区からの以来で特別に徴収したためです。同じく支出も*3の部分でその支出を対外協力費として出しています。このように、阪神大震災、礼拝堂建築などの予定外の入用に、世の中の景気の停滞等があいまって、1997年、1998年の信施、維持献金、教区費、イースタークリスマス献金等の減少につながっているようです。
 しかし、今年は新礼拝堂竣工という当教会にとっても節目になる年です。待ちに待ったこの出来事を弾みに教会会計もいい方向へ向きますように・・・・。
(特別献金については募金会計との兼ね合いがあり、年度比較は参考になりませんでした)


おりおりの献金

(2月1〜2月28日)

逝去者記念 
上羽邦夫、速水富貴、松本時子・藤田秀明

誕生日感謝 
浦地恭子、宇野祐次、浦地一九、中堀孝志、佐々木亨、佐々木牧子、吉村伸、新実正枝(未由子)

納骨堂維持
速水富貴


建築実行委員会ニュース

 礼拝堂建築委員会は発足以来、毎週一回のペースで委員会を持ち、皆さまがお献げになった建築献金を可能な限り有効に使えるべく努力を続けております。
 設計を引き受けてくださった一粒社ヴォーリズ建築事務所の石田所長、担当の石若、檜山各氏も委員会に交替で毎週出席していただき、私たちの意向を少しでもたくさん引き出し、実現する努力をして下さっています。
 その中で、先日の1999年度定期受聖餐者総会の建築実行委員会報告でもありました通り、着工、竣工に向かって確実に一歩一歩進んでおります。
 写真のように、会館玄関横のフェンスには規定により「建築計画の概要」の看板が約3週間掲げられ、近隣の方の告知をしています。また、同時にご迷惑をお掛けする可能性のある10件についてはご挨拶に出向きました。2月26日に開かれた委員会では、来る4月25日(日)に起工式を行うこと予定に決まりました。
 現在、ヴォーリズ設計事務所は施工設計図の仕上げ段階に入っています。また、委員会では3月末までに施工業者を決定し、12月中頃の完成を目指します。
 教区主教をお迎えしての正式な竣工式は今のところ年が明けてからになる予定です。


新たに
外部献金にご協力
 いただいた方々

(1月11日〜2月20日扱い分)

(敬称略)池袋聖公教会、一宮聖光教会、大阪聖アンデレ教会、三光教会、三条聖母マリア教会、逗子聖ペテロ教会、富山聖マリア教会、長岡聖ルカ教会、中島孝治、林凌公、プール幼稚園教職員一同、守口復活教会


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