京都聖マリア教会 月報「コイノニア」
1997年10月号


捨てる―救いを得るためのカギ

司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。」  (マルコ8−34)
「わたしは命を、再び受けるために、捨てる。それゆえ、父はわたしを愛してくださる。」   (ヨハネ10−17)
「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」             (ヨハネ15−12)

 右にあげた聖書の言葉は、イエスさまの言葉です。そして、この言葉の中には、いずれも「捨てる」という言葉が用いられています。新約聖書には、まだ外にも「捨てる」という言葉がたくさん出てきます。
 キリストに従いたいと思う者は、その条件として自分を捨てなさい。父なる神が、わたしを愛してくださるため命を捨てます。そして、愛するということは、あなたの友のため、隣人のために自分の命を捨てることですと言われます。イエスさまは、言うだけでなく自らすべての人々のために十字架の上でその命を捨てられました。
 一人一人の命は、本当に大切なものです。その命を養うために、人々は一生懸命働き、お金を貯め、美味しいものを食べ、美しく着飾り、立派な家に住もうと努力しています。それは言いかえれば自分の命を保つためです。ところが、ある程度必要なものが与えられていても、人間は満足することがありません。欲望は次の欲望を生みだし、際限なく欲望の満足を求め続けます。現代は、物質文明、豊かさを誇る現代社会で、目に見える生活、物質的には満ち足りても、目に見えない部分、心の部分が満たされない、癒されていない時代だと言われます。99パーセントは何かによって満たされていても、最後の1パーセント何かが足りない。このような人間の慢性欲求不満症に対して、イエスさまは、「捨てなさい」と命じられます。
 わたしは、後九年働くと定年退職を迎えます。長年の牧師館住まいから何処かへ移り住まなければなりません。さらに平均寿命を基準に生きる年月を考えると、自分の周辺にある「物」をずいぶん始末しなければならないと、ふと思うことがあります。廻りの人々に迷惑をかけないように、みんな捨ててしまわなければと、焦りを感じたりします。しかし、一つ一つ思い出があったり、もったいないと考えたり、どれ一つとってもなかなか捨てることができません。ささやかな書物や趣味のものぐらいでもこんなに執着しているのですから、「一番大事なものを捨てなさい」そうでないと、ほんとうにいちばん大切なもの、ほんとうの命、ほんとうの愛に生きられませんよと命じられるこの言葉の厳しさにショックを受けます。しかし、「命を救うために命を捨てなさい」という逆説的なこの命題は、わたしたちが求める最後の一パーセントを満たすために開く扉の鍵なのです。


それぞれの夏
日焼けと思い出を残して

 夏はキャンプの季節。湖に山に、子供も大人もよく遊び、よく学び、日焼けとともに多くの思い出を残しました。普段から教会内で顔を合わせているメンバーでも、丸々数日間一緒に生活すると違った側面を発見し、今までとは異なった愛し方?も芽生えます。また、自然は飽くことなくいつも最良の遊び相手であり、先生でもあることも実感します。神の御技は、その時々にかないて美しいことを感じる、そんな夏の一時を紹介します。

 週一度ペースでの委員会を開いて、よりよい礼拝堂建築を目指す建築委員会は、委員会でのある程度の合意をまとめた「京都聖マリア教会礼拝堂建築について」を、教会委員会に提出し、教会委員会名で一般信徒のみなさんに内容を公開し、ご意見をうかがう機会をもちました。 内容は左記の通り。

日曜学校

 7月20日(日)から21日(月)、今年も北小松キャンプ場において、キャンプが行われました。総勢102名の大家族キャンプとなりました。1泊2日というとても短い間でしたが、お天気にも恵まれ、子ども達は充分に水泳・キャンプファイヤーなどを楽しみ、おいしいご飯を気持ちの良い屋外でいただくことが出来ました。今年もキャンプができたことに神さまに感謝し、また、色々な形でみなさんにお手伝い・ご協力いただいた事に感謝しています。

よく遊べ、よく学べ。
日曜学校夏季キャンプ

ちゃんと礼拝もしました。
当たり前か!


ジュニアチャーチ

 ジュニアチャーチの夏といえば芦生キャンプです。今年は8月9日〜10日、キャンパー4人、スタッフその他17人という編成で行われました。少人数ながらキャンパー、スタッフ共にそれぞれのタラントを生かし、プログラムに沿って楽しい時を持つことができました。今年の聖研の箇所は「ノアの方舟」。みんなで模造紙をつなぎあわせて大きな舟を折り、周りに溶かしたロウを塗って補強し、その中にストーンペインティングで作ったつがいの動物たちを乗せて川に浮かべました。その作業を通して、一人一人が少し、旧約聖書の時代に思いを馳せたひとときでした。お天気も大きくくずれることもなく、良いキャンプができたことを、神様に感謝します。

みんなでつくった「ノアの方舟」


青年会

 京都聖マリア教会の青年会は、教区中でも最も活動の活発な青年会だそうです。この「ほっこりキャンプ」には京都聖マリア以外の他教会の青年たちがたくさん参加してくれました。京都復活教会、大津聖マリア教会、桃山基督教会、アグネス教会、そして、桑名エピファニー教会と、どんどん輪が拡がり、まるで教区キャンプの同窓会のようになりました。
 参加者数も、なんと53名。このたくさんの人数を収容できる芦生キャンプ場を持つ、我が聖マリア教会にあらためて感謝、感謝です。
 芦生キャンプ場は、ご存じの通り北桑田郡美山町にあり、由良川の袂、本当に自然に囲まれたすてきなところです。青年会キャンプは、この九月の連休に「ほっこりキャンプ」、5月の連休に「のんびりキャンプ」を実施しています。自然と対話するもよし、一日中寝るのもよし、一日中酒を呑むのもよし、宝石箱をひっくりかえしたような星空を見ながらの「ドラム缶風呂」は絶品です。自称青年の方、ぜひ一度芦生を味わってください。 今年は、天気には少し恵まれませんでしたが、京大演習林散策や川での水浴びなど、すべてこなしました。

芦生名物「ドラム缶風呂」
ゆっくりつかって、のぼせかけたら後ろの川に飛び込むのです。


GFS

 7月31日から8月2日まで、沖縄県宣野湾市において第42回GFSリーダー研修会が開催されました。京都教区からは私、立石みどりと速水純子姉他3人が参加。「私たちの耳を、私たちの口を、私たちの目を開いてください。」とのテーマのもとに、普通の観光では訪れることのできない場所、つまり真の沖縄を目のあたりにし、触れ、未だ消えることのない人々の苦しみを知り、感じました。今回の研修で得たことをいかにして伝えるかが今後の課題ですが、詳細につきましては10月4日に、教区センターで報告させていただきますので、合同礼拝への出席を重ねてお願いします。

上段左から3人目立石姉、中段左から2人目速水姉。
7月31日付の琉球新報では、GFSによるフィリピンでのボランティアも紹介された。


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