バルナバ栄一の「聖書談話」(マルコによる福音書D) (5)鳩

マルコ福音書の二重性縫について
(市川喜一師著『マルコ福音書講解U355頁』)
 少しスペースが余りましたので、市川師の「イエス伝承」と「ケリュグマ伝承」の二重性についてのご見解を、簡単に説明させて頂きます。私も感心して受け取りました。

 

 マルコは復活者キリストの姿を語るのに、地上のイエスの出来事に重ねて語る。福音書は確かに日常のイエスの働きと訓えの言葉を伝えている。それは決して伝記や歴史ではない。地上のイエスの姿に重ねて、復活者キリストを告知する書である。すなわち、『神の子イエス・キリストの福音』を宣べ伝える書なのであろ。地上のイエスの働きとお言葉は、ペテロを始めとしてイエスの弟子として従った人たちから語り伝えられていた。それは、イエスをキリストと信じた人々に、信仰と生活を導く為に語られたものであった。それが信徒の群れの中で口頭で語り伝えられ保存された。これが『イエス伝承』である。この断片的な『イエス伝承』を素材にして、復活者キリストの福音をマルコが世に告知する文書をはじめて書いた。マルコは、『福音書』と言う類型の文書を創りだした最初の人物である。マルコは福音の展開の歴史において画期的な貢献をしたのである。地上のイエスの姿を語る事によって復活のキリストを告知すると言う二重性は全体を貫いている。

(市川喜一師著『マルコ福音書講解U355頁』)

 

 

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