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日本聖公会主教会書簡

聖餐式における詩編使用、その他のこと

ACC-12(第12回全聖公会中央協議会)






















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日本聖公会主教会書簡
2002年10月3日
日本聖公会聖職・信徒の皆様
日本聖公会主教会
議長 主教 ヤコブ 宇野 徹
 主の御名によって。
 数ヶ月前、一部キリスト教関係の新聞に、「日本キリスト聖公会」が発足したとの報道がありました。また4月25日付で、二人の海外からの主教と四人の司祭(内二人は日本聖公会退職・休職司祭)の名前で、「日本キリスト聖公会日本管区」の創立礼拝が5月13日に横浜で行われる旨、案内が出されました。そしてその予告のとおり「日本管区」が創立されたとのことです。
この事態をめぐって、日本聖公会の諸教区・諸教会で多少の困惑と混乱を生じたようですので、主教会は、一致した見解を明らかにすることが必要であると判断しました。

 今般の「日本キリスト聖公会管区創立」につながる活動に、これまで様々な形で関与されてきた聖職・信徒の方々がおられたことを、私たちは承知しております。この方々は、言うまでもなく日本聖公会の聖職(退職・現任を問わず)であり、信徒の方々であり、今日に至るまでそれに変わりありません。これまで、その方々の活動は、日本聖公会内の種々の聖職・信徒の自主的活動のひとつであると主教会は考えてきました。

 けれども、その方々が、日本聖公会のいかなる公の機関(たとえば総会、管区事務所、主教会など)に正式には一切相談することなく、あるいは検討・承認を求めることも全く無いままに、今般、日本聖公会と交わりのない海外の一主教を監理主教として戴いて、その主教の権威と司牧のもとに、「管区」を形成したということです。この事実は、成立したという「管区」なるものが、すでに日本聖公会とは全く別個の組織体として存在することになったと、主教会としては理解せざるを得ません。もはや、その活動が日本聖公会内部の運動であるとは認めることができません。

 さらに困惑と混乱を増幅しているのは、その「管区」の創立を準備された方々が、かねてより“日本聖公会と完全相互聖餐の交わり”を求めておられることです(1999年9月29日付「声明」)。日本聖公会は、たとえば、フィリピン独立教会と相互陪餐の関係にありますが、それは、同教会がひとつの実体ある教団として成立しており、その教会と職制やサクラメントを分ち合うことができると、相互に承認し合っているからです。

 けれども、「日本キリスト聖公会」の場合、果たしてそれが、教義・礼拝場所・信徒・職制・法規等を有する実体のある教会あるいは教団であるのかどうか不明ですし、その不明な組織体と日本聖公会が、相互に、何かを分ち合うことを検討したり承認したということはあり得ないことです。

 日本聖公会の聖職・信徒が、日本聖公会に加えて他の組織体のメンバーであることは、大いにあり得ることです。(たとえば、某スポーツ・クラブ会員、某組合会員、某信徒会会員等)。あるいは、居住地やその他の事情で自分の所属教区を離れて、臨時に日本聖公会の他の教区または海外聖公会の一教区の司牧と交わりに容れていただくという場合もあるでしょう。けれども、ひとりの人間が、いのちと信仰と魂にかかわる共同体である日本聖公会の成員でありつつ、同時に同じことを標榜するもうひとつの組織体の成員となり、日本聖公会とは全く別個の主教の権威と司牧のもとに信仰生活を送るということが、果たして可能であるのか、その方の信仰の在り方を大いに疑問とするところです。

 以上の事態は、さらに多くの問題をはらんでいることを、主教会は充分に認識しており、今後も祈りをもって慎重にこの事態に対処する所存です。各教区の教会・聖職・信徒におかれましては、いたずらに心乱されることなく、また興味本位の話題に惑わされることなく、日本聖公会の在り方について、共々一層の理解を深める機会としていただくよう望むものです。

 主の平和がありますように。






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■ 礼拝委員会からのお知らせ ■
聖餐式における詩編使用、その他のこと
礼拝委員会 委員長 司祭 加藤 博道

 2000年5月の第52(定期)総会での管区機構試行に関する議案の可決によって、日本聖公会の礼拝委員会が立てられ、本年5月の総会を経て、正式に活動を始めています。本年5月の総会でも報告や議案提出を行っていますが、その中から現在の日本聖公会の礼拝生活に直接に関係する事柄を中心に若干のお知らせと報告をさせていただきます。

 まず、この委員会の役割は「礼拝および礼拝用書に関する事項を協議、審査し、その改定等につき総会に提案する」こととなっています。現在、世界の聖公会諸教会の礼拝、および祈祷書は非常に深い礼拝学的研究に基づきながら、ますます多様化する方向を示しています。教会の伝統、専門的な研究成果を重んじつつ、現代の聖公会としてふさわしい礼拝をわたしたちが捧げられるよう研究し、日本聖公会における共有化を図り、必要な改定については総会へ提案する委員会として、努力を続けていきたいと願っています。

 さて今年5月の総会で、聖餐式の旧約聖書朗読後の詩編使用について議案を提出しました。これは現行祈祷書に「使徒書の前にその日にふさわしい詩編を用いてもよい」とありながら、どの詩編がふさわしいのか、なんの規定もなかったことを補うものです。旧約聖書朗読後、使徒書の前に用いられる伝統的には「グラデュアル(昇階唱)」と呼ばれてきた詩編にはどのような歴史や意味があるのかについては、この紙面で十分にお伝えすることは出来ません。(1)4世紀中頃にはすでに見られるキリスト教礼拝の中の大変古い詩編使用の位置であること、(2)読まれた旧約聖書を黙想し、続く新約聖書朗読に向けて準備をするような意味があること、(3)聖公会は16世紀の改革の際にこの詩編を当時の事情によって廃止しますが、豊かな古代的礼拝伝統として現在世界の諸聖公会において回復されつつあること、等をここでは申し上げておきます。そして総会で承認された詩編をまとめた小冊子が管区事務所から皆様のお手元に送られようとしています。その巻頭の文章にぜひお目通しいただき、それぞれの教会・礼拝堂で試み、用いてくださいますようお願いいたします。尚、まずは次期総会までの「試行」となっています。

 それから現行祈祷書、したがって現在の聖書日課表も「協会訳聖書」に基づいているのですが、実際に多く用いられている「新共同訳聖書」に基づいた聖書日課表(聖餐式、朝・夕の礼拝)を作成し、これも総会にて承認されました。これは祈祷書を改正したのではなく、新共同訳聖書に基づく日課表を作成し、正式にその使用が承認されたということです。協会訳聖書と新共同訳では、とくに旧約聖書において、時々章・節の区分のズレがあり、それを調整する作業でした。この委員会が歩み出してから、主教会の委託、また管区事務所総主事と連絡をとりつつ扱い始めている事柄には、祈祷書「年間聖書日課・詩編」(祈祷書558頁以下)の朗読個所に関する再研究も含まれていますが、前回総会の報告書に記述がありますので、ぜひお読みいただきたく存じます。

 その他、聖公会の礼拝、祈祷書に関する情報の収集、日本聖公会内での情報の共有化が大変大切と考えています。海外聖公会の礼拝に関する研究文献は膨大ですが、そのほとんどが紹介されていないのが現実です。現在、聖公会の国際礼拝協議会が出している3つの報告書、1991年「トロント報告」(聖公会の入信の式について)、1995年「ダブリン報告」(聖公会の聖餐式について)、2001年「バークレイ報告」(聖公会の聖職按手式について)を研究、翻訳中で、遠からず皆様にお読みいただける形で発行したいと準備しています。その他、現在の礼拝や祈祷書を巡る課題は多彩で、小人数(現在6名)の当委員会が全てにおいて十分な作業を為すことは不可能です。しかしやはり礼拝は聖公会の信仰生活の中心に位置するもの、皆様の叱咤激励をいただきながら、歩んでいきたいと願っています。

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《海外出張報告》
ACC−12(第12回全聖公会中央協議会)報告
司祭 輿石 勇(ACC常置委員)
 第12回全聖公会(中央)協議会は、9月14日から26日にかけて香港で開催された。38の管区から代議員(約90名)、スタッフやエキュメニカル・ゲストを含め約120名が参加した。開会に先立つ14日、次期カンタベリー大主教であるローワン・ウィリアムズ主教が香港聖公会の聖職按手式に出席したもようである(筆者は聖職按手式には間に合わなかった)。

 既に、9月9日付けのACNS-3118(Anglican Communion News Service)で報じられていたが、コンゴ聖公会のACC代議員でボガ教区のバシマキ・ビャバサイジャ司祭が内戦の戦闘に巻き込まれて殺害され、ジョイス・ツォンゴさんはおそらく隠れているものと推察されるという、同教会首座主教によるより詳細な情報が総主事を通して発表され、聖公会が置かれている状況の厳しさを改めて実感した。

 9月15日夕刻から、福音記者聖ヨハネ大聖堂で開催された開会礼拝の説教で、香港聖公会のピーター・クウォン大主教は、多くの国際会議が参加者の関心事を論ずるために集まっているが、ACCは「神に関する事柄」のために心をくだきたいと聴衆に訴えた。

 ACC−12は、総裁であるジョージ・ケアリー大主教、議長であるサイモン・チワンガ主教、総主事ジョン・ピーターソン司祭、その他スタッフ、や代議員の半数以上が交代するという大転換期にあたっているところに一つの特徴が求められる。最後の総裁演説の中で、カンタベリー大主教は、ACC−11から今回にいたる3年の間に、2001年9月11日の出来事による、世界の根本的転換が生じたことを冒頭で述べた。次いで、だからこそ全聖公会をもう一度新たに構想しなおす必要があるとして、1)個人化と断片化、2)平和への願いと脅威、3)宗教間対話と宗教間対立、4)諸文化間の緊張と対立、という二律背反の中で、「キリストの働きを前進させよう」と訴えた。また、教会の機構は宣教に方向づけられなければならないこと、成長し続ける全聖公会はわれわれの信仰伝承を尊重する必要があると主張した。この関連で、同性愛者の共同生活に祝福を与えることを決議したカナダ聖公会ニュー・ウエストミンスター教区における主教に不服従の聖職・信徒に触れ、また当該教区が単独で(ユニラテラルに)ランベス会議の思いを無視した決議をしたことは遺憾であると述べた。

 最後に、世界の政治的対立を克服するために、宗教者間の対話と協力の重要性を重ねて強調して、ケアリー大主教はACC最後の総裁演説を終えられた。

 また、2004年12月末をもって引退する総主事ジョン・ピーターソン司祭は、その総主事報告の中で、まず朝鮮半島の平和統一の問題と9月11日の問題に、ACC常置委員会のメンバーが個人的に関与していたこと、コーガン、ランシーの二人の前カンタベリー大主教、ACC総主事であったジョン・ハウ主教が逝去されたことをはじめとして、数々のネットワークの集会について報告した。スタッフの交代に関しては、エキュメニカルおよび神学担当の主事であったハミード司祭が英国教会ヨーロッパ教区の補佐主教に選任されたため、暫定的ではあるが後任としてローマ・アングリカン・センターの総主事であるベイクロフト主教が担任すること、会計担当者が交代することなどが報告された。また懸案となっていた全聖公会事務所については、1〜2年の内に現在のパートナーシップ・ハウスから、パディントンに近い聖アンデレの家に移転する予定で、そうなると、ゲストルームを設けることも可能であることが述べられた。また、全聖公会代祷表は2003年度から新しい形になることが伝えられた。

 堅い決意をもって今期限りで議長を辞任すると再三言明した、サイモン・チワンガ主教(タンザニア聖公会)は、ACC−6(1984年)以来からの最古参のメンバーであったが、その最後となる議長報告の中で、1968年ランベス会議によって設立されたACCの歴史を振り返りながら、ACCは教会の存在理由が常に宣教にあることを確認し、全聖公会に対してそのことを喚起し、宣教のために自己変革するよう訴え続けて来たと総括した。キリストの贖いが深く求められている今、ACCのその預言者的な働きがますます重要であると、その報告を結んだ。

 事務セッションに属する、首座主教会議およびACC共同常置委員会、全聖公会財務委員会、全聖公会事務局のエキュメニズム、宣教および伝道協議会、アングリカン国連オブザーバー等の報告などの他に、今回は特別な講演として、南アフリカ聖公会HIV/AIDS専門担当者テッド・カーフ司祭による「エイズ問題」、ルーテル世界連盟総主事イシマエル・ノコ牧師の「今日教会が直面する諸問題―世界的な視点から」、またクォン大主教による「香港聖公会の働き」などが行なわれた。また、恒例の聖書研究は「他宗教間対話ネットワーク」代表のケネス・フェルナンド主教(スリランカ聖公会退職主教)、「家族ネットワーク」代表のサリー・トムソン氏(英国)、「正義・平和ネットワーク」を代表してジェニ・テ・パ氏(ニュージーランド)、また「難民移住者ネットワーク」代表イアン・ジョージ大主教(オーストラリア、アデレイド管区)の4人の指導者を招いて行なうという、目新しい方法が採用された。

 この他、主催教会の働きを体験するプログラムでは、香港聖公会の一大特質である学校教育の現場、空港近くの新興住宅街であるトン・ツェンにおける地域サービス・センター、また別の新興住宅街における老人ホームの開所式出席など、クォン大主教の言葉通りサービング・チャーチである香港聖公会の奉仕を中心とした働きのほんの一端に触れることができた。

 今回のACC総会は非常に良く組織されている印象を受けた。しかし、議案審議委員に多くの法律の専門家がおり、また規則の解釈も弁護士が担当したため、やや法律主義に傾いたきらいがないではない。特に、議長を引退することになったチワンガ主教や、新たに議長に選任されたジョン・パターソン大主教(ニュージーランド)などの議長・副議長の選任資格が、通常の代議員資格である3回の総会出席という任期を越えるものであることに疑問が提出され、今後規則全体の見直しを行なうことが決議された。この他、「タンザニア聖公会の成長に伴い代議員を4人とする」、「法律顧問ネットワークを承認する」、「全聖公会大学協議会をネットワークにすることを承認する」「HIV/AIDSのための全聖公会の基金設立を総主事に要請する」など36におよぶ決議が採択された。

 最後に、今回のACC総会で生じた一つの特別な出来事について述べておきたい。それは、カンタベリー大主教の総裁演説に関連していた。先述のように、ケアリー大主教はその総裁演説の後半部分で、カナダ聖公会ニュー・ウエストミンスター教区とマイケル・インガム同教区主教の名前を挙げて、「独断的に決断した」と批判した。これに対してインガム主教は「個人名や教区名を挙げて名指しで批判するのは、総裁演説として適切ではなく、特に議席を持たないためにその場で反論できない人々にとってまことに不平等である」とコミュニケを発表した。また、18日午後の休憩時間に、アイルランド聖公会のロビン・イームズ大主教を議長とし、カナダ聖公会マイケル・メイズ大主教、カナダ聖公会法律顧問、ブリティッシュ・コロンビア管区大主教、同法律顧問、インガム主教を発話者とする「同性の共同生活祝福を承認するニュー・ウエストミンスター教区の決断に関する」公聴会を開催した。それによると、カナダ聖公会主教会は1976年に既に「現代社会における同性愛」の問題にどう対処するか模索しはじめた。

 1979年に「同性愛者の人格は神の子として平等に認められるべきである」が、「同性愛的な共同生活(結合)の祝福を受け入れない」とするガイドラインを作成した。その後、再三にわたってこのガイドライン変更が提案されることとなった。その結果、部分的な変更は生じたが、「同性愛者の共同生活の祝福を受け入れない」という条項の変更は生じていない。しかし、1998年5月に開かれたニュー・ウエストミンスター教区の教区会は179対170で「契約による同性の共同生活を祝福するよう主教に求める決議」を可決した。インガム主教はその決議を保留し、その間にニュー・ウエストミンスター教区内の対話過程を開始するとともに、カナダ聖公会教会法委員会に法的な障害の有無を問い合わせることとした。カナダ聖公会教会法委員会は、「同性愛者の共同生活の祝福の可否は教区主教の権限に属する」と答申(2001年)。その結果を、インガム主教はカナダ聖公会主教会に報告したろころ、この決議が再度教区会を通過した場合、カナダ聖公会総会と協議の上執行するよう要請を受けた。2001年6月に行なわれた同教区会は226対174の多数で同議案を可決したが、インガム主教は全聖公会的な影響を考慮して再度これを留保した。本年6月に開催された同教区会では215対129の多数で再度同議案を決議したため、同主教はこの決議を承認できない人のための「良心条項」をつけた上で、この議案に初めて同意を示したのだという。

 全聖公会の一致は当然重要なのだが、それを強調する余りに、一致を損なう恐れのあるような決議をした教区や管区の決断にいたるまでの過程は無視されてはなるまい。1980年代後半以来のニュー・ウエストミンスター教区の動きは、首座主教会議でも一再ならず報告されたはずである。インガム主教の「全聖公会の一致は自分も大切にしているが、同時に自分を選出したのは教区の民なのであって、その声にも自分は責任がある」という発言が心に残った。「多様性における一致」を標榜する全聖公会にとって、「多様性に制約はないのか」というカンタベリー大主教の問いは一層切実なものとなっている。

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