事務所だより一覧へ(旧)  事務所だより一覧へ(新)
次ページへ

■管区事務所だより第196号もくじ■

Page1 □核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加して □CCA幹部職員募集のお知らせ □ACTのイラク復興支援活動報告 □人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)から
Page2 □会議・プログラム等予定  □主事会議 □各教区・修道院・逝去者他 □人事・移動


 
管区事務所だより
2005年5月25日 第196号
Page1/2

核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加して CCA幹部職員募集のお知らせ
ACTのイラク復興支援活動報告 人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)から


核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加して

管区事務所総主事 司祭 ローレンス 三鍋 裕
   4月も半ばになって世界宗教者平和会議日本委員会(WCRP)から非武装和解委員会代表として5月1日からニューヨークの国連に行って欲しいという電話が来ました。

 ちょうど連休期間で会議もないので気楽に引き受けましたが、大変なお仕事でした。核不拡散条約とも核拡散防止条約とも呼ばれますが、六法全書の条約集では核兵器の不拡散に関する条約となっています。法律や条約はどれも同じですが、字が細かく内容がわかりにくい。もしお暇で困っておられたら、この条約の前文だけでもご覧ください。カンマはあるけれど、最後にしかピリオドのない不思議な文章です。私も慌てて勉強したのですが、簡単に言うと1968年に署名され、1970年に発効した条約で米、英、仏、ロシア(当時のソ連)と中国には軍縮努力を条件に核兵器の保有を認め、他の国には核の平和利用の権利を条件に核兵器保有を認めないという条約。これを5年ごとに再検討を加えるのが再検討会議です。冷戦時代の危機にはそれなりの意義があったとの評価もありますが、所詮俺は核兵器を持つけれどお前は持つなという条約ですから問題は多いのです。何かと話題の多いインド、パキスタン、イスラエルは加盟していませんし、北朝鮮は脱退を宣言しています。各国の主張が対立して、議題さえ決まらないのに開会するという奇妙な会議でした。

 とにかくNGOのオブザーバーとして参加した訳です。登録されたNGOは約190団体、私は間に合いませんでしたが、5月1日にセントラルパークで行われた反核集会の参加者が4万人。日本からも被爆者団体や平和運動グループから千人がニューヨークに集まったと言われています。ニューヨーク在住の聖公会員を中心にしたMJM(メトロポリタン・ジャパニーズ・ミニストリー)の人々も、その日本からの参加者の通訳ボランティアとして大活躍していました。諸宗教合同の平和祈祷会もありましたし、広島・長崎の被爆者の証言もありました。幸いにも生き延びた者として、自分だけ生き残ってしまったと感じる人も含めて、自分たちが生きている間に、自分たちが本当に体験してしまった核兵器の恐ろしさを語り伝えなければとの使命感を感じさせられました。彼らの声に本当に耳を傾けているのは各国の利害を代表する外交官ではなく、「市民」であったように思えるのです。

 国連本会議場とはガラガラの空間でした。どの演説も印刷して配布されるからでしょうが、傍聴席の方が熱気があります。平和市長会議というのもありました。広島・長崎をはじめ日本の市長も参加していました。こちらは熱心でした。カリフォルニアの中国系女性市議の日本の戦争責任を指摘する発言を含めて、本会議場とは全く違う熱心さでした。言い過ぎかもしれませんが、国家は力ある者の利益を国益と称して考えます。全部ではないでしょうが、市長レベルには市民の生活、市民の小さな平和が身近なのではないでしょうか。自分の利益だけではなくお互いを大切にし、本当に平和を願い、本当に平和を作り、本当に平和を守るのはお上の力、国家の駆け引きではなく市民の力、私たち一人ひとりなのではないかと感じるのです。

 戦後60年、人間でいえば還暦ですよ。戦後の歩みを振り返り、新しい歩みを始めるときです。
沖縄慰霊の日(6月23日)から8月6日、9日、15日と続きます。暑さに苦しむ季節です。しかし、60年前、酷暑の中で子どもを抱きながら炎に追われ、水を求めて力尽きた人々の事実を思う日々といたしましょう。そして今でも同じことが世界のあちこちで繰り返されていることを思いましょう。戦争という大きな問題だけではなく、言葉の暴力をも含めて小さな一つ一つの暴力を私たちの毎日の生活から取り除く市民としての努力を進めましょう。深い思いを込めて主の平和をお祈りいたします。




■CCA幹部職員募集のお知らせ


CCA (Christian Conference of Asia)は現在香港に事務所を構えていますが、2006年にタイのチェンマイに引越します。それに関連して以下の幹部職員を募集していますのでお知らせ致します。応募希望の方は出来るだけ早く管区事務所までご連絡ください。CCAへの申し込み期限は2005年7月31日です。

Associate General Secretary for Finance
Joint Executive Secretary for Ecumenical Formation, Gender Justice and Youth Empowerment (EGY): Women and Education
Joint Executive Secretary for EGY: Youth
Joint Executive Secretary for Faith, Mission and Unity (FMU): Urban Rural Mission (URM)

職務内容、必要とされる能力等に関する詳細な情報は管区事務所にありますので、興味のある方は管区事務所渉外主事・八幡眞也まで連絡してください。電話:03-5228-3171
イーメール:pim-sec.po@nskk.org


■ACTのイラク復興支援活動報告


 皆様から献げていただいたイラク復興支援のための献金は、直接聖公会関連の機関がイラクに存在しないためACT (Action by Church Together) という国際機関を通して2003年、2004年に奉献しました。
ACTの本部はスイスにありWCCと密接にコンタクトを取って、世界中の天災・人災の救援復興活動を展開しています。活動の特徴は、出来るだけ現地の人材と組織を活用することで、そのためには対象になる地域に常時コンタクトを維持しています。
 イラク復興支援活動の主な内容は、1)飲料水確保及び衛生関係施設の整備 2)被災者の心のケアー、です。戦闘終了後は治安が不安定であるために、一時期は現地での活動を制限し、隣国のクエートから支援をする状況にあったようです。そのために復興活動が手間取ったとはいえ、当初の計画は完了し、第一次活動は終了しました。そのための資金は約5百万ドルでした。
 第2次活動が既に開始されていて、イラク復興支援活動とそれに関する募金活動は継続されます。この活動の中心的組織はNCA(Norwegian Church Aid)という北欧の組織です。なお更に詳しい情報はACTのHP(www.act-intl.org/) でみることができます。 (渉外主事 八幡真也)


■人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)から


 JAHDSは先月、満7年の誕生日を迎えることが出来ました。1998年3月、アジアの地雷除去を欧州のNGOのみにまかせるべきではないとの思いを共有する、経済界や学識経験者の方々のご賛同を得て発足したJAHDSですが、その後、多くの企業や団体や大勢の個人の方々の絶大なご支援のおかげで、試行錯誤を経ながらも成長を続け、ここまで活動を継続することが出来たことを誠に有り難く思っております。

 JAHDSは、現在、「自らが汗を流す」「顔の見える」プロジェクトの第2弾を実施中ですが、これまでの活動を振り返ってみますと、「民間の企業・団体・個人の力を結集しての国際人道貢献」「地中レーダー型地雷探査機開発のための民生技術の応用」「複数の欧州の地雷除去NGOとの協働」「日本のNGO自らの手による地雷除去プロジェクトの実施」「アジアでのNGO設立の働きかけと協働」「講演会活動を中心とする積極的な啓発活動」「ピース・ロードを合い言葉とする平和のメッセージの発信」等々、これまでのNGOがほとんど経験したことのない新しい活動領域にチャレンジして参りました。

 JAHDSが誕生丸7年を迎えたことを機会に全員が初心に帰り、さらに心を引き締めて人道目的の地雷除去活動と、微力ではありますが、「ピース・ロード」を合言葉とする平和のための活動に一層注力したいと思いますので、引き続き、ご指導、ご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人 「人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)」 理事長 飯田 亮
ホームページ: www.jahds.org
※ 日本聖公会は2003年、2004年に「地雷除去」指定献金を献げてJAHDSの働きを支援しています。



管区事務所だより Mar. 01

Page2 ...□会議・プログラム等予定  □主事会議 □各教区・修道院・逝去者他 □人事・移動