2021年2月7日     顕現後第5主日(B年)

 

執事 ルカ 柳原健之

 今年は2月2日に節分を迎えました。「鬼は外、福は内」と豆を投げられた方、豆を年の数だけ食べられた方もおられるかと思います。豆を用いるのは「魔(ま)を滅(め)する」からだと言われています。

 顕現後第5主日の福音書には、イエスが病気にかかった大勢の人を癒し、また、多くの悪霊を追い出されたことが記されています。古代においてしばしば病気は悪霊によって引き起こされるものと考えられていました。そのことを考えると悪霊退治の記事のようにも読むことが出来るかと思います。

 さて、記事では町中の人がイエスのもと集まったとされています。それだけ病気に、また悪霊に苦しんでいる人がいたのです。また、苦しんでいたのは当人たちだけではなかったでしょう。彼らの家族なども共に苦しみの中にあったのではないかと思われます。彼らは救いを求めて、イエスのもとへ病人たちを連れて行ったのです。イエスは自分のもとに集まった全ての人を癒されました。苦しみの中にあった人達にとってどれだけ光が差し込んだことでしょう。もし、今この世界にイエスがおられたら、それこそたくさんの人の手を取られて、癒しの業を行われただろうということは想像に難くありません。この後、イエスはガリラヤ中を周り宣教し、悪霊を追い出されていきます。既にイエスの評判はガリラヤ地方の隅々にまで広まっていたようですから、行く先々で迎え入れられたことでしょう。

 イエスは癒しの業を通して、人々を福音の中に入れようとしてくださっています。「神の国は近づいた」(マコ1:15)と宣言されているように、その事実を明らかにしようとされているのです。神の愛がもうそこまで来ているということを示してくださっています。「悪霊」もまたそのことを示しています。「悪霊はイエスを知っていた」(マコ1:34)、また「ナザレのイエス〜正体は分かっている。神の聖者だ」(マコ1:24)と答えていることからも分かるように、神の子が本当に到来していることを告げているのです。節分の豆まきではありませんが、悪霊を追い出すことによって、福音が近くに来ていることが知らされているのです。

 しかし、残念ながら癒しの業をもってしてもイエスのことを信じることが出来ない人々が存在しました。イエスはそのような人達をも救うために十字架に架かってくださいました。どんな状況にある人にも神の愛が示されるようにしてくださっているのです。この世にいる人は皆既に神の愛に捉えられています。どうか全ての人の内に福音が響き渡りますように。