2021年3月7日     大斎節第3主日(B年)

 

司祭 ミカエル 藤原健久

壊される準備。【ヨハネ2:13−22】

 「この神殿を壊して見よ。三日で建て直して見せる。」イエス様が仰りたいのは、「神殿で商売をしてはならない」ではなく「神殿その物を壊す」と言う宣言です。これは神殿が目的ではなく、神殿を中心とした当時の社会を壊し、新しい、よりよい社会を造るという神様の約束の宣言です。社会でも個人でも、私たちはすぐに凝り固まり、自己中心的になります。私たちは絶えず、今までの自分を壊し、新しい自分を作っていかなければなりません。神様は、必ずより良いものにしてくださると約束されます。
 自分で自分を壊すのは至難の業です。私たちは多くの場合、他との出会いの中で、今までの自分を壊してゆきます。誰かの言葉、交わり、出会いの中で、自分自身のありようが問われ、壊されていきます。最も大きな力を持つのが、イエス様の十字架です。イエス様の苦しみ、またイエス様と同じように苦しんでいる人々の存在は、私たちを変えてゆきます。
 イエス様の復活を信じ、一つ一つの出会いを心を開いて迎え入れ、希望をもって、自分が壊される準備を整えていきたいと思います。