2021年9月5日     聖霊降臨後第15主日(B年)

 

司祭 エレナ 古本みさ

わたしたち一人ひとりを知ってくださる神にゆだねよう
【マルコによる福音書7章31−37節】

 マルコによる福音書には、イエスによる奇跡物語、特に病人をいやす物語が数多く含まれています。汚れた霊に取りつかれた男、熱を出すシモンのしゅうとめ、思い皮膚病を患う人、中風の人、手の萎えた人、悪霊に取りつかれた人、ヤイロの娘、12年間出血の止まらない女、シリア・フェニキアの女の娘、耳が聞こえず舌の回らない人、ベトサイダの盲人、ひきつけを起こす子ども、バルティマイ。記事になっているだけでもこれだけあり、そのほかにもイエスは寝る間も惜しんで数えきれない人たちの病気をいやし、悪霊を追い出す奇跡を行われました。そのいやしの方法は様々です。直接手を触れられた時もあれば、言葉だけの時もあります。そして、遠く離れたところにいる病人を、その人を愛する別の人の信仰を仲介としていやされたときもあります。
 今週の福音書に描かれているのは、耳が聞こえず舌の回らない人をいやされた出来事です。人々はその人をイエスのもとへ連れてきて、その上に手を置いてくださるようにと願ったのでした。するとイエスは、そのいやしを必要とする人だけを群衆の中から連れ出し、二人きりになられました。そしてご自分の指をその人の両耳に差し入れ、唾をつけてその舌に触れ、天を仰いで「エッファタ」(開け)と言われたのです。するとたちまち耳が開き、舌のもつれが解けたとあります。なんて独特ないやし方でしょう!人々は、イエスがどんな病状であれ、ただその人に手を置いてくれさえすればいやされることを信じていました。まるで彼がいやしマシーンであるかのように。
 主イエスは、わたしたち一人ひとりを知っておられます。そして、その他大勢ではないあなたという個人と向き合って二人きりになり、その時々に必要ないやしを与えてくださいます。主を信じ、すべてをゆだねて、神さまがわたしたちのかたくなな心を開いてくださるよう願い続けましょう。