2022年2月13日     顕現後第6主日(C年)

 

司祭 ダニエル 鈴木恵一

 今日の顕現後第6主日はハンセン病問題啓発の日です。日本聖公会の総会でハンセン病問題への理解が深まるために、そのための祈りをささげる日として2004年の総会で決められました。日本聖公会の歴史をみると、ハンセン病に対する聖公会の取り組みは草津のコンウォール・リーや熊本のハンナ・リデルなど宣教師の実践があります。彼女たち宣教師たちはハンセン病患者によりそい、献身的に働かれました。ハンセン病は医薬品の開発によって治癒可能な病気であることを知られるようになりましたが、根深い差別と偏見は日本の社会の中に残っています。ハンセン病療養所に入所されている方々の多くは、家族との絆を断ち切られるなどの経験をされています。社会への復帰が困難な状況もあります。入所者の皆さんは高齢となり人権の回復は緊急の課題となっています。宣教師たちの働きに甘えることなく、今のわたしたちの取り組みが必要な課題にむかってわたしたちも心を向けていくことが求められています。
 今日の福音書はイエスさまの山上の説教と呼ばれる箇所が朗読されました。イエスさまの有名な言葉ですが、改めて聞くと、わたしたちの常識と思われることとは全く逆のことが言われています。イエスさまの言葉を聞いた人々も、驚きながらイエスさまの言葉に注目していたのではないでしょうか。考えてみれば、ハンセン病患者に寄り添う宣教師たちの姿も、当時の常識からは驚かれるようなものだったのではないでしょうか。しかし、その姿は人の心を動かすものでした。わたしたちもイエスさまの言葉に信頼を置いて、ともに歩んでいきましょう。